人間の壁

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人間の壁

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レビューの数

12

平均評点

68.3(37人)

観たひと

53

観たいひと

10

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1959
公開年月日 1959/10/18
上映時間 146分
製作会社 山本プロ
配給 新東宝
レイティング
カラー シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督山本薩夫 
脚色八木保太郎 
原作石川達三 
製作伊藤武郎 
制作補宮古とく子 
撮影前田実 
美術久保一雄 
音楽林光 
録音安恵重遠 
照明平田光治 
編集河野秋和 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演香川京子 志野田ふみ子(尾崎)
宇野重吉 沢田先生
高橋昌也 一条先生
宇津井健 穴山先生
高橋とよ 須藤先生
大町文夫 竹越先生
三ツ矢歌子 神倉先生
長浜藤夫 北見先生
清水一郎 熊井校長
福原秀雄 松下校務主任
武内文平 大久保先生
中村歌 大谷(給仕の女の子)
広田新二郎 安藤用務員
南原伸二 志野田健一郎
沢村貞子 庄司春子
永田靖 吉沢委員長
北林谷栄 和田澄江
殿山泰司 澄江の夫
松本克平 与田消防団長
岸輝子 与田消防団長の夫人
三戸部スエ 奥田夫人
多々良純 山岸勘吉
菅井きん 山岸夫人
文野朋子 長田夫人
岬たか子 松山夫人
中村栄二 金山の父
東野英治郎 浅井の父
松山照夫 浅井の兄
小沢栄太郎 有馬教育長
三島雅夫 直木薬局店主
嵯峨善兵 大川市会議員
伊藤雄之助 新井代議士
松本梁升 雲海和尚
井上昭夫 刑事A
木下葉 刑事B
水戸光子 キヨ子(未亡人)
黒田幸子 知恵子(キヨ子の娘)
福地悟郎 駅長
伊藤宗高 浅井吉男
中森博重 内村

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

朝日新聞に連載された石川達三の同名小説を、「鹿島灘の女」の八木保太郎が脚色し、「荷車の歌」の山本薩夫が監督したもので、日教組を背景とした異色ドラマ。撮影も「荷車の歌」の前田実。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

S県津田山市。活気のない炭鉱と貧しい漁場の間を街なみが走り、山の麓に小学校があった。新学年が始った。ふみ子は五年三組の担任に決った。夫の健一郎はS県教組の執行委員である。出世主義者で、家庭では横暴だった。数日後、ふみ子は同僚の須藤とともに校長に呼ばれ、退職を勧告された。共稼ぎを理由にして。退職勧告は全国的な規模で行われS県では二六〇人の教師に出された。県当局は、教師の整理で赤字財政を解決しようとしたのだ。国会には教育委員の官選化をめざす法案が提出されていた。--ふみ子と須藤の退職勧告は、組合を通じて正式に拒否された。健一郎は役員改選が迫ると、委員長に立候補した。家を飛び出し、選挙運動に狂奔した。しかし、ふみ子には子供たちがいた。--豪雨が襲った。その雨の朝、教え子の吉男が貨車にひかれて死んだ。普通より三円安いノートを買うために遠い踏切りを渡って行く途中の事故だった。--夏休みの間に、ふみ子は正式に離婚した。選挙に落選した健一郎は東京へ行き、今は立場を変え反動的な論陣をはっていた。ふみ子は、少しずつ組合の仕事に力を注ぎ始めた。最近妻を亡くした沢田先生の級で事故が起きた。小児マヒで足の不自由な内村という子を、同級の与田ら三人がからかったのだ。沢田はこれを見て思わず三人を突きとばした。与田の父親は市の消防団長だった。追従する父兄たちが騒ぎ出した。背後には市のボスたちがいた。沢田は辞職を要求された。組合の力は無力だった。そして、追討ちをかけるように、須藤に四回目の退職勧告が出された。沢田が退職届を出した夜、ふみ子は彼のもとを訪れた。海辺を歩きながら、沢田は言葉少なく自分の考えを語った。ふみ子はその声を聞きながら幸福を感じた。翌朝、須藤から辞表を出すことを書き記した手紙が来た。ふみ子は立ち上った。「わたしは今月から、須藤先生の退職勧告をやめさせるために働きます」と宣言した。ふみ子は校長に会うために廊下へ出た。女の先生が皆立ち上った。ふみ子を先頭に彼女たちは歩いて行った。ふみ子は、強く校長室の扉を叩いた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1960年1月下旬号

映画サークル評:「人間の壁」とサークル

1959年12月上旬号

日本映画批評:人間の壁

1959年11月上旬号

特集 映画と日本の政治 「真昼の暗黒」から「人間の壁」まで:日本映画の政治意識

特集 映画と日本の政治 「真昼の暗黒」から「人間の壁」まで:対立の中の人間像 「人間の壁」を見て

特集 映画と日本の政治 「真昼の暗黒」から「人間の壁」まで:政治小説と政治映画

1959年10月下旬号

新作グラビア:人間の壁

日本映画紹介:人間の壁

2002/05/18

2023/09/12

75点

映画館/神奈川県/シネマジャック/ベティ 


出でよ!現代の山本薩夫

九州のさびれた炭鉱町で教壇に立つ、香川京子演じる志野田ふみ子は共働きを理由に退職の勧告をされます。
やがては組合運動に関わる内に教育者としての自覚に目覚めてゆきます。

社会派の監督として知られた山本薩夫作品で、教職員の勤務評定問題で、当時の岸内閣と日教組が対立していた中で、製作に日教組も資金を出していて、政治的な内容の作品である事を隠そうともしていませんが、決して単なるプロパガンダの内容ではありません。
女性教師ふみ子の周囲に起き、巻き込まれてしまう様々な問題に直面するエピソードはドラマとしても充分に面白いです。

2023/02/14

2023/02/14

-点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 

『人間の壁』。フィルム状態は良くない。画像が全体的にぼやけている。地方都市の小学校の教員が予算削減の煽りで退職勧告される。都市名は架空だが政党名、新聞社名は実在するものが登場。色々なタイプの教員がいる。北林谷榮はお高くとまった嫌な感じの役を見事にこなす。視力検査は動物の影絵で。

2019/08/16

2019/08/17

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『人間の壁』。教職員のリストラ勧告を阻止しようとする教職員組合。佐賀県津田山市(架空)が舞台。香川京子が聴いていたラジオは、落語「居酒屋」(はめもの入り)ではなかろうか。当時、教科書は親が購入するものだったらしい。萬來軒のラーメンは25円。香川京子は煮炊きに石油コンロを使用する。

2019/08/15

2019/08/16

78点

その他/ツタヤ渋谷、DVDレンタル 


1959年の小学校。

1960年に小学校へ入学した私よりは、ちょい上の団塊の世代が、ズバリこの映画に登場した子供達と同年代か。
それにしても木造校舎を見ているだけで懐かしい。
廊下の雑巾がけ、教室のバラバラの大きさの机や椅子、校舎を背にしての馬飛び(?)、など見ているだけで、いや~、こうだったなと思う。

主演は香川京子さん、当時27才で女優として難しい年にさしかかった頃と、インタビューで仰ってる。
あとは、演技以前に子供達と仲良くならなければならず、それが子供が苦手な香川さんには、ちょっぴり苦労の種だったとのこと。
    (DVD特典インタビュー、7分弱。)

2時間26分の長尺、特に優れた脚本とは思わないが、教師という職業の大変さが良くわかる。
あまり長さは感じさせなかった。
 (ただし、こういう独立プロ映画は、志のある俳優たちが手弁当で駆け付け過ぎるキライがある。結果、そういう俳優たちの見せ場・出演シーンを作らざるを得なくなり、長尺になる傾向があり、かえって完成度を落とすことになる。)

映画は、日教組が金を出しただけあって、そういう映画になっている。
宇津井健、宇野重吉、三ツ矢歌子(若い!)、高橋昌也、高橋とよ、が同僚の先生。
北林谷栄が、老け役ではなく、髪の毛真っ黒のリアル実年齢のおばさん役で、かえって楽しめる。

日教組の組合歌が聴ける映画なんて珍しいだろうな。
イデオロギー的には、なんだかなと思うところもあるが、香川さんの独立プロでの真摯な演技がタップリ見れるので楽しめた。

2000年代

2019/04/18

70点

レンタル 


面目躍如

生徒や教師が抱える諸事情をキッチリと描き込むことで、作品のプロパガンダ臭を薄め、観る者を物語世界にグイグイと引き込むこなれた語り口は社会派監督山本薩夫の面目躍如といったところ。ただ、残念だったのは146分という長尺で、せめて120分程度であればもう少し引き締まったドラマ展開になったと思うけど・・・。

あと、香川京子、宇野重吉の役にはまった好演が光る。

2018/12/09

2018/12/09

80点

レンタル/東京都/TSUTAYA/新宿 TSUTAYA/DVD 


山本薩夫監督が教育現場を描いた佳作

石川達三の同名小説を山本薩夫監督が映画化した「先生と生徒の教育現場、日教組、そして教育に対する政治のあり方」を描いた幅広い問題意識を提示する作品であった。
この映画を観ようと思ったのは、現在読んでいる香川京子の自伝本『凛として~女優香川京子』にこの映画の章があり、映画未見なので自伝本を先に読むよりは映画を観てから読もうと思ったから…。

この映画、明確には何県という明示は無く、津田山という地名だけは駅名とともに出て来る。原作小説は、佐賀県の実話をベースにした物語とのこと。


津田山市。炭鉱と漁業が行われているいるようだが寂れた雰囲気。
山の麓の小学校の新学年から始まる。志野田先生(香川京子)は明るく一生懸命に担任を務める。夫(南原伸二)は県教組の幹部、出世第一主義のため、家庭を顧みず活動している。
そんな折、志野田先生は同僚教師と2人呼ばれて、退職勧告を受ける。理由は、2人とも夫との共稼ぎだから。この頃、退職勧告は全国的な規模で行われており、教師に支払う予算を削るためだった。2人の退職勧告は組合決議の上で正式に拒否。

こうした出来事の合間に、教師と生徒の関係が描かれる。そんな中で素晴らしいのは志野田先生の隣のクラスの教師=沢田先生(宇野重吉)である。彼は生徒との意志の通じ合いを重んじながら、生徒と接する素晴らしい先生であった。
豪雨の時には、志野田先生のクラスの生徒が3円安いノートを買うために踏切を渡っていて電車との接触事故で死んでしまう。泣き崩れる志野田先生。その横で、幼い息子のためにお棺作りをする父親(東野英治郎)。この父親の存在感も寡黙であるが故の見事さ。

また、突然画面が「忌中」の文字を映し出すので「誰の葬儀か?」と思ったら、沢田先生の奥さんの葬儀だった。そんな沢田先生は相変わらず、愛情を持って生徒に接していたが、小児麻痺で片足がきかずチ○バと同級生から虐げられている生徒を見て、いじめていた33人を叩いてしまう。(ぶん殴るほど強くはない…)それが体罰問題となり辞任問題へ発展する。沢田先生が志野田先生に言うには「闘わない者は負ける」。名言である。山本薩夫監督は、このセリフを言わせたくてこの映画を作ったのではないか、と思うほど。

途中、国会審議での教育法案の成立を巡っては、群衆のデモするモブシーンがあるが、こういうシーンを見ると「山本薩夫監督は、本当に凄いな~」と思う。
山本薩夫監督が教育現場の在り方を描いた佳作であった。