主君に忠義を尽くし、財政が厳しかった仙台藩を救おうと懸命に努めて来た家老・大友柳太郎の悲劇を描き出した力作。「大地の侍」(1956年)のような大作時代劇に才を発揮した佐伯清監督だからこそしっかり作ってはいるが、ラストの展開に向かうまでの緊張感が乏しい点は否めず、勿体無い。
「ゴジラ」(1954年、本多猪四郎監督)のヒロインで有名な河内桃子が本作でもヒロインとして出演している。この人はやはりこういう上品なお嬢様役がとても良く似合う。時代劇でもしかり。立派に成長はしているものの、雨風に激しく揺さぶられ、今にも折れそうな松の枝が、主人公の悲劇的な運命を思わせる。