狐と狸

きつねとたぬき|----|----

狐と狸

レビューの数

9

平均評点

68.8(19人)

観たひと

32

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1959
公開年月日 1959/4/28
上映時間 126分
製作会社 東宝
配給 東宝
レイティング
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督千葉泰樹 
脚色菊島隆三 
原作熊王徳平 
製作藤本真澄 
撮影西垣六郎 
美術河東安英 
音楽黛敏郎 
録音小沼渡 
照明金子光男 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演加東大介 青島京太
小林桂樹 湯舟吾市
三井弘次 飯塚半五郎
山茶花究 天中軒瓢右衛門
清川虹子 お玉後家
夏木陽介 倉掛三郎
団令子 ゴンドラのヒロ子
草笛光子 ゴンドラのカヅ子
三好栄子 ゴンドラの女将マツ
南道郎 ジープの売人浅田
水野久美 佐川加代子
左卜全 安福秀松
堺左千夫 秀松の息子
安芸津広 百姓中村
中野トシ子 中村の女房
飯田蝶子 すぎ
中北千枝子 つる子
中村是好 米田権之助
中山豊 息子英夫
上野明美 娘はる子
本間文子 サダ
谷晃 高沢太郎兵衛
千石規子 女房とみ
伊藤久哉 深谷
柳谷寛 村山多七
若山セツ子 夫人とし子
東郷晴子 北浦旅館女房しづ
森繁久彌 額田丹平
北川町子 相原てる子
塩沢とき 椿油売りの保江
木匠マユリ 椿油売りの初子
土屋詩朗 土屋
多々良純 平手医師
三條利喜江 平手夫人
上田吉二郎 黒坪正兵衛
佐田豊 奥村
花井蘭子 京太の女房常子
織田政雄 カヅ子の亭主梅吉
河美智子 上州屋の女中おきみ
若水ヤエ子 百姓女ヤエ
広瀬正一 漁師仙吉
清川玉枝 半五郎の女房みつ
瀬良明 郵便配達夫
有島一郎 二人組のスリ
三木のり平 二人組のスリ

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

熊王徳平の「甲州商人」を「隠し砦の三悪人」の共同執筆者の一人、菊島隆三が脚色、「弥次喜多道中双六」の千葉泰樹が監督した、しぶとい甲州行商人の生活を描く風刺ドラマ。撮影は「続社長太平記」の西垣六郎。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

茨城県の水郷付近に仲間と洋服のバイ(売り)に来た甲州の行商人たち、通称シューコーの中で青島京太は親分格として、インテリ崩れの湯舟吾市、酒飲みの飯塚半五郎、元浪曲家の天中軒瓢右衛門、後家のお玉、京太の甥で大学卒業というのに就職難からここへ来た倉掛三郎などとともに、連日、化繊を純毛とごまかして強引に行商をやっている。もっとも買う方の農家も、これ強欲の塊でまさに狐と狸の化かし合い。若い三郎は京太の後についてバイの方法を覚えていったが、京太の図太いやり方に目を丸くして驚く、とともに商売の難しさと生きることの難しさを知った。彼の初めてのバイは巡査の妻君に本絹だと云って人絹の着物を売りつけたことだったが、帰ってきて三郎の報告を聞いた京太は驚いた。相手が悪い。ばれたら一大事と京太は仲間を連れ出し北浦という旅館に本拠を変えた。と、そこで彼は、昔なじみの額田丹平に出会った。丹平は、もと二十人からの売子を使うバイ人だったが、女と酒に使って今は商売のタネ(材料)さえない有様。京太は早速、友情からタネを貸して丹平に商売をさせた。そんなある日、京太は、瓢右衛門の売った人絹の着物がばれて刺青のある若い者に怒鳴りこまれた。男の連中は青くなって宿の押入れに逃込んだが、そこは女ながら度胸のいいお玉後家がうまく追い返した。が、こんどは、そのお玉の妊娠騒ぎ。彼女は一晩だけ相手にした男の子を妊ったのだ。京太は彼女を病院へ連れて行った。吾市も息子が病気で故郷へ帰った。悪いことは重なるもので、京太も、儲けた金で競輪場へ行ったのが運のつきで、競輪では儲けたが有金そっくりスラれてしまった。鞄には仲間への配当金も入っていた。仲間に会った京太は必ず穴埋めすると約束、問屋から借りられるだけ品物を受取るや、倒産したデパートの品物だと云って一か八かの勝負に出た。京太は仲間にも手伝わせ、農協の理事をうまく抱き込んだおかげで品物は一ぺんに売れた。意気揚々とこの村を引揚げる京太たち。ところが、一行の耳に突然はげしく鳴る半鐘の音。インチキな品物がばれたのだ。皆バラバラに逃げ出した。京太は心配して迎えにきた丹平に売上金を預けた。が、これが失敗だった。丹平は預った金の半分を取って行方をくらましたのだ。悄然とする一同。しかし、これでヘコたれる京太ではなかった。北海道へ行こう!雪深い北海道の人たちは、さぞかし金を貯めていることだろう。--翌朝、新天地を求めて出発する京太たちの姿が見られた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1959年6月上旬号

日本映画批評:狐と狸

1959年5月上旬号

新作グラビア:狐と狸

日本映画紹介:狐と狸

1959年4月下旬号

シナリオ:狐と狸

2024/01/02

2024/01/08

60点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


新春からニコニコ

ネタバレ

そのタイトルから、詐欺師と詐欺師の騙し合いの映画かと思っていたら、ちょいと違った。でも名脇役のオンパレード。次々出て来る芸達者たちに新春からニコニコ。いい年を迎えられそうだ。森繁に現金預けるなんて危ないぞと叫んでみたら案の定…。

2024/01/04

2024/01/06

60点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


甲州行商人のバイ

まがい物の背広や着物を口八丁でバイ(売る)する甲州の行商人団のコメディ。リーダーは加東大介。映画はその行商人団に加東の甥っ子夏木陽介が加わるところから始まる。他のメンバーは小林桂樹、三井弘次、山茶花究、清川虹子という曲者俳優がずらり。さらに、加東の先輩売人の森繁久彌が重要な役で絡む。行商人の宿の向かいの三好栄子が経営する飲み屋の酌婦に団令子と草笛光子。団は加東、草笛は小林といい仲。松林宗惠監督で「新・狐と狸」('62)の続編あり。このラピュタ阿佐ヶ谷の特集に関し、尾形敏朗氏がキネ旬2024年1月号で、「1964年ころ東宝の重鎮、藤本真澄は自社の監督を野球の打順になぞらえた。一軍メンバーは、1.千葉泰樹/2.川島雄三/3.成瀬巳喜男/4.黒澤明/5.稲垣浩/6.久松静児/7.松林宗惠/8.杉江敏男/9.豊田四郎/ピンチヒッター円谷英二、という(高瀬昌弘『東宝監督群像 砧の青春』)」と書いている。今回の特集で上映される映画のうち、「東京の恋人」「大番シリーズ(全4作)」「沈丁花」「二人の息子」「みれん」「裸の重役」「春らんまん」と観ているが、千葉監督が東宝の中でも高く評価されていることを初めて知った。【最高の職人(アルチザン)こそ芸術家(アーティスト)。千葉泰樹 至高の世界!】

2019/02/04

2019/02/05

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『狐と狸』。茨城の水郷地方を回る行商人たち。水路を行きかう小船や嫁入り船などが写る。民俗学的な資料でもある。天中軒瓢右衛門役の山茶花究の浪花節が聴ける。何と曲師は清川虹子。実際は三味線を弾いていないけど…。演目はご当地ネタ「天保水滸伝」水野久美はウテナ化粧品の販売員。卵丼80円。

2018/07/01

2018/07/06

70点

映画館/大阪府/シネヌーヴォ 


偽物を掴ませる手口。

ネタバレ

<シネ・ヌーヴォ 名画発掘シリーズ リクエスト特集>のプログラム。

この頃の東宝喜劇映画はサラリーマンを描いたシリーズが王道であったが、本作のように詐欺師の類を描いた作品も何本かある。都会ではサラリーマンが闊歩していても、ちょっと田舎に目を向ければ農家が圧倒的に多かった時代、そんな人たちの箪笥に仕舞いこまれた小金を巻き上げようと、人間の欲を刺激して偽物を掴ませる手口が描かれる。村民全部を騙す大仕事がバレてしまって村民一同が追いかけてくるが、乗ろうと思ったバスがなかなか来ない辺りでハラハラさせてくれる。

横糸と縦糸で化繊と純毛を区別して織られた衣類は、人が抜きやすい糸だけ純毛にして買い手を騙す手口なのだが、これって行商人だけではできない組織的な犯罪であろう。品物の流通者や黒幕などが描かれないのは、その辺りが敏感な部分なのかも。

2016/03/31

2016/04/11

70点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


観応えたっぷりだが長過ぎる

シネマヴェーラ千葉泰樹特集、「狐と狸」は、2005年に三百人劇場の千葉特集で観て以来で、細部はすっかり忘れていましたが、北関東の田園地帯を舞台に、化学繊維製品を絹や羊毛だと偽って売り付けようとする行商人たちと、そんな行商人から一円でも安く買おうと値切る農民たちとの、狐と狸の化かし合いを題材に、名手菊島隆三が脚本を書いていますので、話は面白いし、加東大介を中心に、小林桂樹、三井弘次、山茶花究、清川虹子、団令子、草笛光子、三好栄子といった芸達者たちに若手代表として夏木陽介が絡んだ上、東宝脇役陣総出演による芝居合戦は、さすがに観応えたっぷりです。
しかし126分は長過ぎます。行商人たちの口八丁の騙しと農民との攻防は、同じ事の繰り返しとの印象を拭えず、あと20分エピソードを刈り込んだほうがすっきりすると思いました。とはいえ、騙した農民たちに追い掛けられながら、農民出身の加東大介が米倉庫の火事を見て見ぬふり出来ぬあたり、狐と呼ばれる商人たちの中に流れる百姓根性に実感があり、そうしたちょっとした描写に巧さを感じさせます。

2016/03/31

2016/03/31

65点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


人間 vs 人間

今の基準に照らしてみると、この映画は農村を蔑視し、百姓という職業を明らかに差別しているとしか思えない。大いなる誇張があるものの、フリーハンドで笑う訳にはいかない。
それでも、選りすぐりの東宝喜劇陣が詐欺商売に精を出すというストーリーが面白くない訳はない。だが、あまり具体的に手口を紹介する内容は、さすがに不味いと思ったのか、愛情を絡めての人情話の要素が勝ってしまったのが逆にマイナス要因なのではと思う。