からたち日記

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からたち日記

レビューの数

5

平均評点

66.1(15人)

観たひと

29

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1959
公開年月日 1959/4/14
上映時間 119分
製作会社 松竹
配給 松竹
レイティング
カラー シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督五所平之助 
脚色新藤兼人 
原作増田小夜 
製作加賀二郎 
撮影宮島義勇 
美術平川透徹 
音楽芥川也寸志 
録音岡崎三千雄 
照明平田光治 
編集長田信 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演高千穂ひづる つる
水原真智子 かるた
泉京子 竹千代
紫千代 竹実
南風洋子 静花
田代百合子 天満里
村田知栄子 せつ
浦辺粂子 一力の女将
田村高廣 本山
東野英治郎 ロンパリ
磯野秋雄 竹の家の父さん
関千恵子 咲枝
不破たか子 道子
織田政雄 おじの勘太
飯田蝶子 おば
殿山泰司 松村
清村耕次 ガン兄い
柴田昭雄 忠夫
島倉千代子 民子
伊藤雄之助 東作
吉川満子 本山の母
永田靖 豊科の医者
小林十九二 竹実の実父
菅井きん かよ

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

信州の貧農の家に生れた一人の女性の一生を描いたもの。増田小夜の原作を「才女気質」の新藤兼人が脚色、「蟻の街のマリア」の五所平之助が監督した。撮影は「人間の条件 第1・2部」の宮島義勇。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

つるはものごころついたとき、長野県塩尻に近い村の地主の家で子守をしていた。彼女が知ったのは、ひもじいは辛いもの、人間とは恐ろしいもの、ただそれだけだった。ある日、叔父の勘太につれられ、諏訪の芸者屋に売られていった。途中、母という人に会わせてくれた。母はつるを生んだのち山間の貧農へ嫁したのだ。芸者屋・竹の家で因業な主人せつや先輩芸者たちにこきつかわれた。竹実姐さんが無理なお座敷づとめで腹膜をこじらせて死んだとき、かるた姐さんはせつの仕打ちをののしり、店をやめた。やがてつるは半玉になった。せつが彼女を呼んでいった。今夜、一人前になるんだよ。相手は土地の興行師ロンパリである。つるは驚かなかった。運命に捨身で従おうと思った。翌日、つるはみじめだった。いつか半玉の天満里と一緒に登った城趾の大木にしがみつき、大声をあげて泣いた。ロンパリが彼女を身うけし、三号にした。毎日、ぼんやり暮した。戦争が激しくなり、つるは軍需工場につとめた。女工たちは彼女に冷たかった。その鼻をあかそうと、人気のある青年将校本山に近づいた。それが、いつか恋していた。生れて初めての恋。だが、本山は戦地に発った。つるはさえぎるロンパリをふりきり、駅へ走ったが、遅かった。ロンパリをしくじってはこの土地にいられない。つるは弟の忠夫をつれ、千葉のかるた姐さんをたずねた。戦災、敗戦、生活苦が待っていた。ヤミの石鹸売りをして暮した。たのみの弟が栄養失調から腸結核になった。彼は姉に苦労させたくないと自殺してしまう。つるは昔せわになった一力の女将を頼って、また諏訪へ行った。本山は市会議員になっていた。妻があったが、つるにはそれでもよかった。が、彼の妹民子の頼みで、つるはすべてをあきらめ、天満里のいる町へいった。酒におぼれる日が続いた。真昼間から酔って暴れたとき、百姓の東作から思い切りなぐられた。それがつるを目覚めさせた。一日一日を人間らしく生きよう。本山が力になりたいとたずねてきた。つるは自分一人で生きていけるといった。本山と峠で別れた帰途、つるは東作が麦ふみをしているのを見た。彼女ははだしになって麦ふみを始めた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1959年5月上旬号

日本映画紹介:からたち日記

1959年4月下旬号

新作グラビア:からたち日記

1959年臨時増刊 名作シナリオ集(春)

特別グラビア:からたち日記

「名作シナリオ集」松竹作品:からたち日記

1959年4月上旬春の特別号

特別グラビア:「からたち日記」の五所組

2020/02/20

2020/02/21

79点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


後味の良い女の半生モノ。高千穂ひづる、素晴らしい。

 島倉千代子が唄う心地良い主題歌で幕を開ける。しかし実際にはかなり深刻な物語だ。まぁ、こういう女の半生モノって、たいていそんなもんで、主人公の女優の悲劇のヒロインっぷりを終始観ているのが辛くなる。後味もそんなに良くない。
 しかし、本作はそんな私の知っている典型的な女の半生モノとは違っていた。高千穂ひづる、本当に素晴らしい。お姫様女優というイメージのあるこの方にあの役柄が相応しいのかどうか心配していたが…見事な演技であった。貧困、戦争、愛する人たちとの死別…様々な困難を乗り越え、力強く生きる気丈な女性を見事に演じ切っていた。
 酒におぼれ、死のうとするも伊藤雄之助に制止されて正気に戻り、初恋の人・田村高廣と別れを告げて駆け足で峠を駆け下りて行った後、裸足になって伊藤の麦踏みを手伝う―という終盤の展開が何と清々しいことか。後味の良いラストに、心から良い映画を観た、と思える。伊藤の笑顔も良い。

2020/02/17

2020/02/19

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『からたち日記』。主題歌、挿入歌は島倉千代子の「からたち日記」。本人も民子役で出演。幼い頃から苦労続きの女性つるの半生。つる(高千穂ひづる)がひとりで生きていこうとする決意を音楽で表現する。音楽は芥川也寸志。ややアップテンポの行進曲風。加良立峠で別れて別の道を歩む二人。

2014/11/03

2014/11/03

60点

映画館/東京都/神保町シアター 


和製メロドラマの典型フォーマット

演出の五所平之助と脚本の新藤兼人。本来もう少し作家性の高いふたりの日本映画の最盛期における職人としての堅実ぶりを確認させてもらった一編。ヒロインに次々に振りかぶる不幸を手際よく捌いて当時の最大多数たる観客に受けるメロドラマを構築してゆく。長く思いを寄せた田村高廣の誘いを振り切って峠を駆け降りる高千穂ちずる。本作が唯一の本格主演だった彼女最大の名場面でとなっていた。







2014/05/08

2014/05/08

70点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


掘り出し物

歌謡映画特集の一本でしたが骨太の作品でした。確かに高千穂ひずるの代表作かもしれません。新藤兼人のシナリオも良いのかも。どんな映画でも見てみるものですね。

2011/02/28

2012/01/17

70点

映画館 


シネマヴェーラ渋谷の五所平之助特集にて1959年製作「からたち日記」を初めて観ました。増田小夜という人が書いた「芸者」という小説を新藤兼人が脚色した、貧しい下女から芸者の道に入った女性の一代記で、タイトルは59年当時に大ヒットしていた島倉千代子の歌に便乗したものです。
女性一代記として、なかなか堂々たる映画になっており、懸命に生きる主人公への慈愛の視線が貫かれ、五所亭の誠実さがよく出ています。高千穂ひづるにとって代表作の1本と言っていいでしょう。後味の良い映画でした。
今回の特集で何本か観てきて思う五所平之助という監督の特徴は、真摯なる誠実さということです。それは、この映画を含む何本かのクレジットで、監督本人の名前をしんがりに置かず、プロデューサーや脚本家のあと、キャメラマンと並列する形で名前を示す点に、如実に表れています。現場を統率する指揮官として己を誇示するのではなく、スタッフの一員として同列に並ぶこと。こうした姿勢は、田坂具隆にも見られるものですが、田坂も五所も、誠実な作りが特徴です。