たつまき奉行

たつまきぶぎょう|Vanished Gold Case|----

たつまき奉行

レビューの数

6

平均評点

68.2(19人)

観たひと

34

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1959
公開年月日 1959/3/10
上映時間 95分
製作会社 東映京都
配給
レイティング
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督マキノ雅弘 
脚色鈴木兵吾 
原作陣出達朗 
企画玉木潤一郎 
撮影三木滋人 
美術鈴木孝俊 
音楽高橋半 
録音佐々木稔郎 
照明田中憲次 
編集宮本信太郎 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演片岡千恵蔵 遠山金四郎
喜多川千鶴 お半
山村聡 藤堂佐渡守
加賀邦男 郡源太夫
月形龍之介 杉戸屋平右衛門
柳永二郎 榊原越前守
進藤英太郎 虎鮫
明石潮 手塚久兵衛
佐久間良子 美鈴
多々良純 屑安
千原しのぶ お千代
片岡栄二郎 伊之吉
加藤浩 村井甚五右衛門
八汐路佳子 てい
阿部九洲男 梅次
吉野登洋子 お新
尾上華丈 木賃宿の亭主
東千代之介 渡会三四郎

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

小説倶楽部連載の陣出達朗原作の同名小説を「あばれ大名」の鈴木兵吾が脚色し、「鞍馬天狗」のマキノ雅弘が監督した娯楽時代劇。撮影も「鞍馬天狗」の三木滋人が担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

遠山の金さんこと、北町奉行遠山金四郎の所へ親友佐渡奉行藤堂佐渡守が来た。用件は佐渡金三百貫を輸送中、大竜巻のため御用船佐渡丸が行方不明になったことだ。町人姿の金さんは佐渡に出発した。同じ事件を究明するため南町奉行の与力渡会三四郎、それに佐渡に行って消息不明になった与力手塚久兵衛の娘で、三四郎の恋人美鈴も佐渡へ向った。佐渡に着いた金さんは、佐渡丸の遺族の面倒をみている、島の酒造家杉戸平右衛門と支配組頭郡源太夫の二人に目をつけた。杉戸屋のやっている飲み屋に、美鈴が住込み情報を集めた。同じ店のお半は金さんに惚れこんだ。その頃、佐渡丸の生残りの一人伊之吉が帰って来たという噂が立った。拾い屋の屑安がドブ川で一両小判を拾った。その小判には“テヅカ”と刻んであった。その屑安を物陰からみている杉戸屋を、金さんと美鈴は知っていた。金さんは佐渡守に、佐渡丸事件は杉戸屋実は名うての海賊と、源太夫の仕組んだ芝居だといった。源太夫に化けて牢に入った金さんに、佐渡守が来て明日の暮六つに助けてやるといった。明け六つ、それは金さんが廃坑内に閉じ込められている、美鈴の父を救出すると佐渡守にいった時刻だ。金山祭りの唄声がこだまするうち、佐渡守の合図で鉱夫頭の虎鮫が導火線に火をつけた。その時、金さんを初めとする、三四郎虎鮫こと北町奉行与力鮫島重蔵らの捕物陣が、佐渡守を包囲した。事件の張本人は佐渡守であった。金さん一行を乗せた船が出る。船が出る寸前、金さんの跡をしたうお半が飛び乗った。舟は帆を上げて、まっしぐらに沖に出ていった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1959年6月下旬号

日本映画批評:たつまき奉行

1959年3月下旬号

日本映画紹介:たつまき奉行

1959年3月上旬号

新作グラビア:たつまき奉行

2023/07/04

2023/07/04

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『たつまき奉行』。遠山の金さん(片岡千惠藏)、佐渡へ出張す。半年も前に配下の者を佐渡へ送ったと言うが、それらしい人は登場しない。誰かと思ったらラストで判明、まさかのあの方々、何だか嬉しい人選。ツンデレお半(喜多川千鶴)に求婚しちゃうとは…、独身だったっけ。画面が暗いのが難点。

2013/10/12

2021/10/28

75点

選択しない 


やや上品なマキノ版金さん

 いれずみ判官シリーズ、堂堂の14作目「たつまき奉行」であります。監督はマキノ雅弘、「女賊と判官」以来のシリーズ参加(単独では初)となつてゐます。脚本は鈴木兵吾、音楽はいつもの高橋半。

 佐渡で採れた金塊三百貫を輸送中の御用船が沈没し、その船名「佐渡丸」と書かれた木片が打ち上げられました。天候は穏やかだつた為、竜巻によるものと目されます。責任を感じた藤堂佐渡守(山村聰)は江戸へ出て、進退伺を出しますがそれは受諾されませんでした。古くからの友人である遠山の金さんこと、北町奉行遠山金四郎(片岡千恵蔵)は調査の為、佐渡まで出向く事に。

 同時に対抗心に燃える南町奉行は、与力の渡会三四郎(東千代之介)を佐渡に派遣します。佐渡で行方不明となつた与力の手塚久兵衛(明石潮)の娘・美鈴(佐久間良子)も同行しました。しかし彼らは身分を隠すのが下手糞で、金さんに直ぐに正体を見破られます。

 サテ佐渡では商人の杉戸屋平右衛門(月形龍之介)が佐渡丸の遺族たちの面倒を見るなど、美談の主となつてゐます。ところが此奴は飛んだ喰はせ者で、実は海賊で佐渡丸遭難も杉戸屋の仕組んだものだつたのです。そして佐渡守の腹心の部下、郡源太夫(加賀邦男)と結託してゐました。金塊は廃坑内にあり、手塚久兵衛も監禁されてゐました......

 金さん自身が「たつまき」ではなく、竜巻で船が沈んだ(とされた)話でした。出張版「いれずみ判官」ですな。東千代之介がやや頼りなげながら、南町奉行の面子をかけて活躍します。

 女優陣を魅力的に撮るのに定評があるマキノ監督ですが、ここでは喜多川千鶴以外は見せ場に乏しいと存じます。探索する佐久間良子に、片岡栄二郎を待つだけの千原しのぶ。しかし金さんは喜多川千鶴を騙してはいけない。あれは結婚詐欺ではないのでせうか。

 ワルは月形・加賀に加へ、山村本人まで......逆にワルと思はれた虎鮫こと進藤英太郎が金さんの部下・北町奉行与力と逆転劇を魅せます。佐渡出張といふ事で、目玉のお白州場面はありません(それでは寂しいと感じたか、回想場面でお白州のいれずみ披露あり。ファンサアヸス)。月形も山村も裁かれる前に自ら命を絶ち、金さんから「見事!」と声を掛けられます。

 ラストで金さんは「金山まつりだ、皆踊れ~」と鼓舞しますが、月形や山村が死んだばかりで遺体もまだそこにあるのに、人々は祭りだと騒げるものでせうか。マンネリ打破を意図したか、シリーズのルーチンから色色外れた要素があり、飽きさせぬ工夫が感じられるるのです。マキノ作品として最上のものではないけれど、十分愉しめる一作と申せませう。

2015/01/14

2015/04/10

80点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


至福の戯れ言

 フィルムセンターの東映時代劇特集。わたくしがまだ観たことがなかったマキノ雅弘「たつまき奉行」です。
 映画が終わってフィルムセンターの階段で合流した時のO先輩の一言が「阿波踊りの佐渡おけさ」。マキノは、舞台が佐渡島であろうと、ラストのクライマックスでは、バックに祭り神輿が“ワッショイ、ワッショイ”と何台も躍る中で、モブに佐渡おけさの旋律に乗せて阿波踊りの振り付けをしてしまう人なのであり、わたくしたちマキノファンはその場面をこの上ない喜びで受け止めるのです。
 「たつまき奉行」は、幕府の金塊を運ぶ途中で遭難して行方不明になった輸送船の謎を巡って、べらんめえ金さんこと江戸北町奉行の遠山金四郎が、旧友の佐渡奉行・山村聰に頼まれて佐渡に乗り込み、真相を探るというお話ですが、ラストの強引な遠山裁きに向かって全篇が伏線みたいなもので、話はどうでもよろしい。
 「たつまき奉行」の魅力は、マキノらしい細部を見つける愉しさにあり、陸揚げされた船の脇で夕暮れをバックに繰り広げられる千恵蔵御大と喜多川千鶴の痴話戯れ言など、おおやってるやってる、とマキノファンを嬉しくさせる場面です。例によって両者を背中合わせにしたり、位置を入れ替えたりしながら芝居を組み立てます。千恵蔵御大はまず“おめえに惚れた、俺の女房になってくれ”などと、いきなり核心に入りますが、喜多川はそんな言葉を信じないという芝居を続けつつ、千恵蔵が本気らしいと知ると、“嬉しい”などと抱き付く癖に、その直後には、“あんたなんか嫌い大嫌い”という話になってしまうマキノ的な矛盾した作劇の妙。この間、千恵蔵御大と喜多川は、背中合わせになったと思うと、喜多川が振り向き、また彼女が背中を向けると御大が喜多川の背中越しに語りかけ、と、お互いの位置を頻繁に替えながら、痴話戯れ言を繰り広げるという、典型的なマキノ節の愉しさ。わたくしたちマキノファンにはこの戯れ言が至福の時です。
 「たつまき奉行」には、マキノ映画には珍しい佐久間良子も出演していますが、マキノ的な艶っぽい場面は少ない中、相手役の千代之介と繰り広げる二人の会話場面で、いきなりしゃがんでしまうあたりの身振りが、マキノ直伝の演出を感じさせました。
 「たつまき奉行」にはさらに、遭難船の被害者女房という役で千原しのぶも出演しているのですが、中盤過ぎまでなかなか見せ場がなくて千原ファンをやきもきさせたものの、被害者の弟として村にやって来たという触れ込みながら、実は被害者本人という設定の片岡栄二郎と一緒に、マキノ的な敷居際の芝居を展開します。
 お話はどうでもいいと書きましたが、御大の遠山金さんシリーズ第14作目にマキノが担ぎ出された背景には、マンネリ化したシリーズの活性化という狙いがあったのではないか、というのがO先輩のご意見で、定番のお白州での諸肌脱ぎをやらず、回想場面にとどめた作りなど、その現れかも知れません。
 「たつまき奉行」を観たことで、わたくしにとってのマキノ東映コンプリートは、あと「銀次郎旅日記」「酔いどれ八万騎」「不敵なる反抗」以上3本で完遂ということになるのですが、この3本は上映も放映もされたことがないそうなので、コンプリートは夢のまた夢なのかも知れません。夢は追い続けますけどね。

2015/01/14

2015/01/16

72点

映画館/東京都 


マキノらしさが足りない

たつまきで佐渡金山から採掘した金を積んだ船が沈没。金さんが乗り出し、陰謀を暴く。しかしいつもの軽快なマキノ節ではない。脚本の推敲が足りないのか、女性の描き方が凡庸、喜多川と金さんの関係がまるで結婚詐欺。佐久間良子はただの危機発生装置、千原しのぶに至ってはいなくてもいい存在。東千代之介は鈍感。金さんは重要な手紙を紛失して、すべてを台無しにする。たぶんわざと落としてとぼけているのだろうが、こうでもしないと話が終わらない。しかし大殺陣にはならず、金さんは真犯人に刀を渡して腹を切らせて終わるのだ。ちっともスカッとしないのだ。

2013/09/14

2013/09/14

50点

テレビ/有料放送/WOWOW 


ツンデレのやりとりが見どころ

 遠山の金さんが身分を隠して潜入捜査する話だが、意外に立ち回りのシーンが少ない。(クライマックスも悪者の正体を暴くだけ。佐渡島なので、当然お白洲もない。)
 代わりに、金さんに密かに好意を抱いていながらいつもツンツンしている居酒屋のお半に対し、逆に冷たい態度をとると途端に彼女がデレデレしだすという、2人のやり取りが面白い。

2012/03/29

2012/05/21

76点

テレビ 


遠山の金さん、出張す。

マキノ雅弘監督の作品は無条件で見ることにしている。たまたまWOWOWにて放映されたので、チェックした。ご存じ遠山の金さんの佐渡への出張編。事件の真相を究明するために、潜伏し偵察する。今回はお白洲もなく、奉行所もないので、例の桜吹雪はどうなるのかと思いきや、回想シーンで名せりふが登場する。