ラピュタ阿佐ヶ谷の東京ロケ映画特集で、1959年に製作された東京タワー映画2題を2本立てで観賞。大映東京製作、阿部毅監督、「たそがれの東京タワー」は、前に観た「東京ロマンス・ウェイ」がロケ主体の映画だったのに対して、タワー内部は明らかにセット撮影でした。展望台のセットは良く作ってありながら、窓をナメて外が見えるカットがないので、セットだとわかりますが、ヒロインの仁木多鶴子が相手役・小林勝彦と一緒に東京タワーの階段を降りる場面のセットは巧く作ってあって、なかなか感心しました。階段を降りる様子をクレーンで並走するカットがあったので、ロケではあり得ずセットだとわかりますが、クレーンを使っていなければロケだと勘違いしたかも知れません。
お話は、ブティックの針子をしているヒロイン仁木多鶴子が、お洒落なお嬢様になる夢を叶えようと、店の商品であるドレスを拝借して東京タワーに出かけたところ、小林勝彦と知り合って恋仲になり、その小林が実は自動車会社の社長御曹司だったという、明らかに“シンデレラ”の翻案を意識したものですが、奇しくもヒロインの相手役が自動車会社の社長御曹司という設定が、この直前に観た「東京ロマンス・ウェイ」とかぶっていました。東京タワー、夜のデート、お姫様と王子様、などという発想が似通うのかも知れません。
尤も、映画としての出来においては、「東京ロマンス・ウェイ」よりこちらのほうがマシだったと思え、というのも睡魔に負けることなく最後まで観てしまったからですが、シンデレラものという“器”がはっきりしていたせいかも知れません。