仮面の女(1959)

かめんのおんな|----|----

仮面の女(1959)

レビューの数

3

平均評点

59.9(7人)

観たひと

11

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1959
公開年月日 1959/2/24
上映時間 95分
製作会社 日活
配給 日活
レイティング
カラー シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督阿部豊 
脚色松浦健郎 
原作芝木好子 
企画児井英生 
撮影岩佐一泉 
美術木村威夫 
音楽佐藤勝 
録音米津次男 
照明岩木保夫 
編集辻井正則 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演筑波久子 辻亜美子
葉山良二 朝吹順一
岡田眞澄 菊川勝郎
内藤武敏 梶原光
大坂志郎 押野典吾
奈良岡朋子 洋子
南田洋子 琳子
南寿美子 朝吹富士子
久木登紀子 マユミ
東恵美子 頼子
川村昌之 タミ子の亭主
神山勝 城東大学助手
弘松三郎 花馬車に来る刑事

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

週刊サンケイ連載の芝木好子の同名小説から松浦健郎が脚本を書き、「大阪の風」の阿部豊が監督した。撮影も「大阪の風」の岩佐一泉。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

朝吹順一は城東大学の助教授だ。東南アジア旅行から帰ってきたばかりだ。友人たちが飯坂温泉でその歓迎会を開くという。汽車の中で、隣席の若い女性が魅力的だった。そのまま別れた。--この女、亜美子は友人の琳子の病床をたずねたのだ。恋人の菊川が仲間のマユミと浮気をしたといい、別れることにしたといった。じじつ、東京へ帰ると、菊川のアパートから柏木へ移った。亜美子は赤線出の女だ。菊川のために身を落した。今は前歴をかくして、銀座のバーへつとめている。琳子やマユミは昔の仲間なのだ。--菊川が亜美子を追ってきた。彼女の肉体が彼を許した。朝吹が友人の記者・梶原に連れられてバーに現れた。思いがけぬ再会。朝吹は通いはじめた。二人はひかれ合った。朝吹の妻はもう二年も胸を患っていた。朝吹は亜美子のアパートへ行った。が、その翌日、亜美子はバーをやめてい、アパートも引きはらっていた。なぜか?仮面の女。琳子が朝吹に電話した。二人のためを思って。夕方の青森行きの列車に乗るはず、しっかりつかまえてやって。朝吹は間に合った。故郷へ帰るつもりの女を上野駅でつかまえた。亜美子は泣いた。ぼくと結婚しよう。わたし駄目な女よ。愛して下さるだけでいいの。朝吹は結婚をあきらめ、生活を援助するにとどめたのである。菊川はまた彼女のアパートを探しだした。こんどは亜美子は抵抗した。自分の力で自分を守りきれる自信がついた。--昔の仲間で、街娼の洋子が殺され、貯めこんだ三百万円が奪われた。菊川が高飛びの金をつくってくれといってきた。菊川との仲が清算できるならと、亜美子は指定の場所へ急いだが、警察に菊川もろとも捕った。が、真犯人は別にいた。二人ともすぐ帰されたが、朝吹に前歴が知れてしまった。ぼくには救えない。朝吹は冷く去って行った。行かないで、と彼女がいうのに。亜美子は青森行きの汽車に乗るほかなかった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2024/01/17

2024/01/19

70点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


溝口健二「赤線地帯」の女たちのその後

ネタバレ

芝木好子原作で、溝口健二監督の遺作「赤線地帯」の続きの話として見ることができる(キネノート「赤線地帯」のスタッフ欄には芝木好子の名前は無いが映画のクレジットには有る)。因みに川島雄三監督の「洲崎パラダイス赤信号」も芝木好子の原作によっている。

売春防止法の成立によって転職した女たちの、その後の生き様が描かれる。
男(大阪志郎)を雇って金貸しを営みながら、本人自身も街娼をやって旅館の開店資金を稼いでいる女(奈良岡朋子)。亭主にねんねこ半纏で赤ん坊を背負わせている女(福田トヨ)、スナックを自営しているが借金で苦労している女(東恵美子)、そのスナックに雇われてあまり深く考えていない女(小園容子)、ヒモ(岡田真澄)と縁を切って自立しようとしてなかなか別れられない女(筑波久子)、二号になって店を持たせてもらっている女(南田洋子)、それぞれが何とか新たな生活を送っている。
筑波久子は偶然列車に乗り合わせた大学教授の葉山良二と親しくなっていく。ヒモの岡田真澄は嫉妬して、彼女の前歴を暴露すると脅かして関係を繋ぎ止めようとする。
赤線廃止の法律を成立させたところで、そう簡単に生き直しができるほど人間はメカニックではない。その確執を、「赤線地帯」の若尾文子、木暮実千代、京マチ子が演じた女たちのその後に繋げている。ただし、因習から抜け出せない女たちの心的状態は葛藤の奥にある心の襞まで描ききれていない。ただ陰陰滅々と葛藤し続ける風俗描写の域を出ないので、観ているこちらもだんだんつらくなって苛立つばかりで、心的緊張感や心理力動のスリル感は湧き起こってこない。

大学教授の葉山良二側に、その妻・南寿美子、秘書・渡辺美佐子を絡めることで、彼の葛藤を映像化しようと試みている。
しかし、彼についてもダメ男描写の域を出られなかった。ヒロイン筑波久子への愛情や性愛と、社会的な立場を守ろうとする利己心と、妻への罪償感と、それらをないまぜにしたコンプレックスまで、この脚本(松浦健郎)は切り込めなかった。せいぜい、「僕はエゴイストだ」と彼が言うと、秘書の渡辺美佐子がすかさず「私もそう思います」と切り返すやり取りがあるくらいまででそれ以上にメスは入らなかった。良い素材だったのにいかにも惜しい。

阿部豊の演出はテキパキして、いつもながら安定している。この映画が公開された1950年代末の頃は、増村保造、中平康、岡本喜八らの切れ味の良いスピーディなカット割りが流行っていたが、それに与(くみ)することもなく、円熟した淡々とした映像に風格を見せる。キャバレーやバァの雰囲気描写も悪くない。

ところで、この映画、キネノートレビュー数は2でした。

2024/01/11

2024/01/11

65点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


妻ある男

妻ある男がキャバレーの女給に入れあげて・・・。と言うのが根底にあるストーリー。
朝吹(葉山良二)は大学の助教授。妻は病気がち。その朝吹が温泉に行く途中で知り合いになった女辻亜美子(筑波久子)と再開し、惚れていく。亜美子は菊川(岡田眞澄)というヒモがいたが、他の女と寝ていたため、愛想を尽かし別れようとしている。また彼女は昔売春婦だった(売春防止法ができる前)。当時の仲間たちは今でも売春をしている洋子(奈良岡朋子)以外はホステスなどをしてなんとか暮らしている。
朝吹は女房に対して後ろめたい思いをしながら、亜美子を囲っていた。菊川は亜美子とヨリを戻したいと周りをうろつく。そして洋子と金のことで揉め、殺してしまう・・・。実は真犯人は他にいるのだが、ここでは詳細には踏み込まない。
他に女優として南田洋子や渡辺美佐子などが出ている。
戦後の世相を反映していて、当時の風俗などがよくわかる。朝吹が亜美子が元売春婦だと知ったときの亜美子に対する言動が不愉快。そのくせ別れるつもりが君を愛していると歯浮くようなセリフ。なんか煮え切らない男で好きになれない。亜美子は元売春婦にしては気立ての良い女。

2022/02/19

2022/02/19

-点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 

『仮面の女』(1959年、日活)。赤線出身の辻亜美子(筑波久子)と既婚の大学教授の朝吹順一(葉山良二)。浮気男のくせに「君は汚い」と相手を罵る男、なんとも身勝手。列車の車内販売は台車を使用していない。赤木圭一郎が通行人役で登場。菊川(岡田真澄)が住むアパートは渋谷の桜丘のようだ。