お馴染み旗本退屈男シリーズ、戦後版第十五作目であります。佐々木康監督作品。脚本はシリーズ唯一の池上金男。マンネリに新しい血を入れやうとしたか。しかし結局パタンは同じなのです。
湯島聖堂建立の祝ひに、清国の曲芸団が招かれました。特段に目新しい芸は無いやうですが。その行列が通過した後、筆頭老中が何者かに殺されてゐました。これはキリシタンの仕業だと目され、その後もキリシタンを名乗る賊どもが軍用金を徴収する名目で強盗を働いてゐたのです。
まあこれは明らかにキリシタンに罪を着せやうとの魂胆ですね。わざわざ「我らはキリシタンだ!」などと名乗る強盗はゐないよね。
例によつて探索を始めた早乙女主水之介(市川右太衛門)。キリシタンたちはあらぬ疑ひをかけられ、怯えてゐました。実際に命を奪はれた者、精神に異常を来たした者もゐます。退屈男は一芸に秀でた者どもを集め、事件の真相を探るのであります。そのメムバアは、すつ飛びの又八(トニー谷)、おさらばお由(三浦光子)、石川五郎衛門(上田吉二郎)、嫌がらせのお杉(武智豊子)ら一癖も二癖もある面面。
結局はワルの親玉は進藤英太郎であり、山形勲(由比正雪の遺児・道雪)であり、曲芸団を利用して綱吉公(徳大寺伸)を暗殺する腹だつたのであります。
京弥の北大路欣也、菊路の山東昭子、喜内の堺駿二らレギュラー陣も快調。特に御曹司・北大路の扱ひは益益大きくなつてゐますね。
これまた例によつて、「謎の南蛮太鼓」とは何だか良く分かりませんでした。そもそも清国は「南蛮」なのか? などと考へたらいかんのでせうね。退屈男のスーパーヒーローぶりを堪能すればそれでいいのでせう。プハッ。