旗本退屈男 謎の南蛮太鼓

はたもとたいくつおとこなぞのなんばんだいこ|The Sword against the Intrigue|----

旗本退屈男 謎の南蛮太鼓

レビューの数

6

平均評点

57.6(16人)

観たひと

31

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1959
公開年月日 1959/1/9
上映時間 87分
製作会社 東映京都
配給
レイティング
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督佐々木康 
脚色池上金男 
原作佐々木味津三 
企画坂巻辰男 
撮影伊藤武夫 
美術吉村晃 
音楽山田栄一 
録音武山大蔵 
照明山根秀一 
編集宮本信太郎 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演市川右太衛門 早乙女主水之介
北大路欣也 霧島京弥
山東昭子 菊路
堺駿二 喜内
三浦光子 おさらばお由
トニー谷 素ッ飛びの又八
上田吉二郎 石川屋五郎衛門
宮崎照男 鼻利き小僧
武智豊子 厭がらせのお杉
内海突破 権三
渡辺篤 助十
徳大寺伸 綱吉
進藤英太郎 酒井美濃守忠勝
澤村國太郎 隆光
香川良介 後藤広三郎
山形勲 由比道雪
佐久間良子 呉翠玉
吉田義夫 王宗江
国一太郎 せむし男
桜町弘子 浅倉加代
柳永二郎 浅倉三左衛門
関根英二郎 秋月
加賀邦男 大久保将監
堀正夫 赤松紋太夫
高松錦之助 寺沢兵庫
梅沢昇 稲葉越前守

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

おなじみ旗本退屈男ものの一篇。佐々木味津三の原作から池上金男が脚本を書き、「修羅八荒(1958)」のコンビ佐々木康・伊藤武夫がそれぞれ監督と撮影を担当した。音楽は「伊賀の水月」(大映)の山田栄一。「修羅八荒(1958)」の右太衛門のほか、三浦光子などの出演。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

五代将軍綱吉の時代に、清国から大曲芸団を招いた。湯島聖堂建立を祝すためである。が、この行列の中から奇怪な飛道具が放たれ、老中筆頭稲葉越前守の首を射抜いた。--退屈していた早乙女主水之介が京弥をつれて事件解明に乗り出す。老中酒井は切支丹宗徒の仕業と主張した。その頃切支丹を名乗る一団が出没し、軍用金徴発と称して強盗殺人を働いていたのだ。切支丹の町人が曲馬団の天幕のそばで、首を射抜かれて死んでい、謎は深まった。退屈男はこの町人の残した言葉に従い下谷に秋月という浪人を訪ねたが、彼は何者かにおびえ、発狂して施薬院に入っていた。この秋月も、彼に差入れする娘・加代も、彼女の世話をする両替屋山惣も、みんな切支丹だった。退屈男が山惣を訪ねると、彼は家に放火された上、惨殺されていた。退屈男は切支丹の会合場所である谷中の五重塔へ行く。彼らは強盗団には関係なかった。次々と仲間が殺されおびえきっていた。その場でも会合主・浅倉が短銃で殺されたのだ。退屈男は曲馬団の清国の含み針を見物した。日本古来の霞流含み針の術だった。老中や山惣が殺されたのはこれを使ってだろう。退屈男は曲馬団の内部を探った。--彼を襲った刺客たちの中に酒井の部下がいた。これらぜんぶの事件の黒幕に、酒井がいたのだ。酒井は退屈男を閉門にし、その行動を封じた。退屈男は彼を慕って集ってきた変り者たち--おさらばお由、素っ飛びの又八、石川屋五郎衛門、鼻利き小僧、厭がらせのお松などを使って、ついに事件の真相をつかんだ。酒井は由比正善の遺児道雪一味を利用し、将軍綱吉が曲芸団を呼ぶ日を期にして暗殺し、天下を奪おうとしていたのだ。上覧の日、退屈男は綱吉を救い、酒井・道雪一味を滅した。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1959年新年特別号

日本映画紹介:旗本退屈男 謎の南蛮太鼓

2013/10/15

2021/01/31

65点

選択しない 


謎の曲馬団と名付けた方が良い

 お馴染み旗本退屈男シリーズ、戦後版第十五作目であります。佐々木康監督作品。脚本はシリーズ唯一の池上金男。マンネリに新しい血を入れやうとしたか。しかし結局パタンは同じなのです。

 湯島聖堂建立の祝ひに、清国の曲芸団が招かれました。特段に目新しい芸は無いやうですが。その行列が通過した後、筆頭老中が何者かに殺されてゐました。これはキリシタンの仕業だと目され、その後もキリシタンを名乗る賊どもが軍用金を徴収する名目で強盗を働いてゐたのです。
 まあこれは明らかにキリシタンに罪を着せやうとの魂胆ですね。わざわざ「我らはキリシタンだ!」などと名乗る強盗はゐないよね。

 例によつて探索を始めた早乙女主水之介(市川右太衛門)。キリシタンたちはあらぬ疑ひをかけられ、怯えてゐました。実際に命を奪はれた者、精神に異常を来たした者もゐます。退屈男は一芸に秀でた者どもを集め、事件の真相を探るのであります。そのメムバアは、すつ飛びの又八(トニー谷)、おさらばお由(三浦光子)、石川五郎衛門(上田吉二郎)、嫌がらせのお杉(武智豊子)ら一癖も二癖もある面面。

 結局はワルの親玉は進藤英太郎であり、山形勲(由比正雪の遺児・道雪)であり、曲芸団を利用して綱吉公(徳大寺伸)を暗殺する腹だつたのであります。
 京弥の北大路欣也、菊路の山東昭子、喜内の堺駿二らレギュラー陣も快調。特に御曹司・北大路の扱ひは益益大きくなつてゐますね。

 これまた例によつて、「謎の南蛮太鼓」とは何だか良く分かりませんでした。そもそも清国は「南蛮」なのか? などと考へたらいかんのでせうね。退屈男のスーパーヒーローぶりを堪能すればそれでいいのでせう。プハッ。

2020/08/30

2020/08/31

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『旗本退屈男 謎の南蛮太鼓』。やや黄色かかっており、画面が全体的に暗いフィルム。途中で眠くなり、ついウトウト。ジョージ・ルイカーは呼び込みの男役だがもう少し胡散臭さが出ると面白い。吉田義夫はヒールの王道を行く雰囲気。沢村国太郎もさすが。江戸にも南蛮屋敷があったんだ。

2015/02/13

2015/04/13

45点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


妙味の薄さ

 フィルムセンター東映時代劇特集で初めて観た“旗本退屈男”シリーズ第24作「謎の南蛮太鼓」は、将軍綱吉による湯島聖堂建立のお祝いという名目で、清国からやって来た曲技団が、歌や踊りを繰り広げる様子を京都御所でロケした、このシリーズらしい派手な行列場面で始まり、あとは例によって次々と起きる謎の怪事件を右太衛門御大=旗本退屈男が解決してゆくというお馴染みのパターンです。
 “天下御免の向こう傷”という、葵の御紋に匹敵する切り札を次々と使って、江戸で起きる殺人事件の数々の謎に迫ってゆく右太御大。派手な作りがこのシリーズの売り物ですが、清国の曲技団のサーカスを随所に織り交ぜながら物語られる派手さは、映画を一層華やかにしていますし、御大の殺陣も誠に派手です。
 しかしながら話の中身はと言えば、前半から張ってきた伏線をラストに向けて回収してゆくというだけの展開で、観る者の心を動かす妙味の薄いものだったと言わざるを得ません。実は日本人という設定の清国の歌い手・佐久間良子が死ぬ場面で、佐々木ズーらしいメロドラマが観られると思ったのに、あっさり死んでしまい、こちらの期待がはぐらされたのは残念でした。
 ちなみに、タイトルに謳われている“南蛮太鼓”は、冒頭の曲技団による行列の場面でそれらしきものが映っていた以外、本篇の中には一切登場しません。

2015/02/08

2015/02/09

40点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


来たの、御大

映画がジャンルを問わず作れば観客が押し寄せた良き時代、大いなるマンネリシリーズである事は間違いのない「旗本退屈男」の24作目。それでも北の御大右太衛門の決めのセリフとポーズは当時の子供世界に充分浸透していた事は間違いない。
ストーリー自体はかなり強引に悪人を造りあげてしまい退治するというお馴染みのパターンで、出演者が出そろった時点で結末が予想できた展開だったが、昔はそれでもハラハラドキドキして観る事が出来たのは見る側が純情だった事に他ならない。
題名の「謎の南蛮太鼓」は何かと最後まで気を持たせられたが判らず仕舞い。作品で登場する相手国は清国で、南蛮と呼ぶのはやや無理があると思うが、これもご愛嬌だろう。

2015/02/08

2015/02/08

55点

映画館/千葉県 


池上金男唯一の「退屈男」

「旗本退屈男」シリーズは多くの脚本家が参加しているが、池上金男は本作1本のみである。「謎の…」とつくからにはミステリー要素も盛り込まなくてはと、苦労の跡がうかがえるが、退屈男が探偵というよりも超人のように事件を解決する。しかも偶然が多い。偶然に火つけと娘の連れ去るところにばったり、いくら退屈とはいえ、なんで深夜に徘徊しているのか。しかも「傷が疼くワイ」とか、「旗本直参云々プワッ」と権力をカサにきた見栄を切るナルシスぶり。今回も「南蛮太鼓」は出てきなかった。

2014/06/01

2014/06/01

60点

テレビ/有料放送/東映チャンネル 


セオリー通りの運び

どこと行って取り柄はないが、悪くもない。見ていても簡単に筋が読めるくらいだからさほどのわくわく感もない。いわば市川歌右衛門の軽快な太刀さばきと三日月傷の啖呵を楽しみに見るような映画である。
堺俊二は早乙女家の用人役で出ているが、一心太助の大久保家の用人とキャラクターが同じ。これは脚本家なり、監督なりの責任であろう。堺俊二のコミカルな役回りを考えるとここに落ち着くのかもしれないが、芸達者な堺俊二には気の毒だ。
佐久間良子はまだクレジットもその他大勢、桜町弘子や山東昭子、三浦光子などと同列で出ている。売り出し途中の2年目なので仕方がないか。
沢村國太郎が出ているが、声としゃべり方は津川雅彦と間違うほどだ。さすが親子と意外なところで感心した。