新世界東映(日劇会館)にて鑑賞。
東千代之介、美空ひばりのコンビ作。時は幕末、火消しの頭の娘で、父親に代わって組をまとめているのがひばりで、千代之介は、侍を捨ててふらっと火消しになった謎の男の役。体に入れたその彫物を見るまでもなく観客は彼が只者ではないことを知っている、お約束の明朗時代劇。江戸の町火消しを束ねるのは、貫禄の大河内傳次郎。
火消し奉行が買い占めた米の値上がりのために、江戸を火の海にしようとするのを千代之介、ひばりらが止めるクライマックス。ゲスト出演の力士が、悪い方の火消したちを廻し姿と丸太を抱えてやっつけるのは正月興行らしい大サービス。また“唄祭り”とタイトルにつくだけあって、ひばりも千代之介も唄う、全編ではないが。深みはないが飽きさせもしない撮影所に活気があった頃の仕事。
ところで千代之介の役名が秋月新太郎、「隠密剣士」は秋草新太郎。他の時代劇でも似た名前を聞いたことがあるが何か原典があるのだろうか。