「夜の青春」シリーズの三作目。次作の「かも」(1965年)もそうだったが、大胆なロケーションが素晴らしい。こういう撮影が出来るなんて羨ましい。そしてカメラワークがなんと流麗なこと(!)。観ていて惚れ惚れする。
金のために散々女をつかまえ、振り回しては裏切る梅宮辰夫の悪役ぶりは「かも」を凌ぐかも…なんちゃって(笑)。そんな彼の悪行も長くは続かず、不幸にも彼は女遊びの出来ない身体に…まぁ、自業自得なんだけど、それにしてもこの展開があまりに急で呆気ないなぁ。
梅宮に振り回される夫婦は杉浦直樹・北あけみ。北が自分の夫の秘密を梅宮から聞かされ、夫と喧嘩する場面、ワンカットの長回しで見せている。あそこが印象に残る。夫を信頼できなくなり、梅宮にまんまと利用されては襲われ、初めて夫婦の愛の尊さに北が気付かされる。この展開がなかなか良かったのだが、夫・杉浦が情けないこと情けないこと…。自分の地位や名誉を守ることだけに精一杯、妻を見捨て、更には妻が死ぬことを望む…。なんてひどい奴なんだ!マジで腹立つわ!男って、本当駄目ねぇ~。
北あけみの友人は宮園純子。村山新治監督の「旅路」(1967年)で夫との関係が上手くいっていないことで悩む女性の役を演じていた方。「旅路」の時とはまた異なった印象の女性を演じている。終盤には大原麗子も登場。知り合って間もないのに梅宮と愛し合うような仲に。しかし梅宮は彼女に呆気なく捨てられる。まぁ、これも自業自得だ。