フランキーの僕は三人前

ふらんきーのぼくはさんにんまえ|----|----

フランキーの僕は三人前

レビューの数

1

平均評点

62.1(7人)

観たひと

12

観たいひと

1

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル コメディ
製作国 日本
製作年 1958
公開年月日 1958/10/14
上映時間 85分
製作会社 東京映画
配給 東宝
レイティング
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督瑞穂春海 
脚本井上薫 
新井一 
製作永島一朗 
撮影岡崎宏三 
美術小島基司 
音楽松井八郎 
録音酒井栄三 
照明今泉千仭 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演フランキー堺 上野晋吉
香川京子 時子
吉川満子 時子の母お徳
藤木悠 猿山三郎
十朱久雄 山村新之助
河内桃子 新之助の娘サヨ子
左卜全 鶴野亀吉
中田康子 はるか
田武謙三 田貫外務員
坂内英二郎 三浦人事課長(金融)
田辺元 営業部長(金融)
増田順二 城研究所長(製薬)
三宅一 営業部長(製薬)
田中志幸 西郷平八郎(倉庫守衛)
沢村いき雄 渋谷八太郎(倉庫班長)
加藤寿八 木口公平(倉庫)
盤木吉二郎 管理課長(倉庫)
ジョージ・ルイカー ジョージ宮田
須永康夫 外務員A
三谷勉 外務員B
佐藤乙四郎 外務員C
氏家真紀 女給A
谷美也子 女給B
光丘ひろみ 女給C
中原成男 研究所所員
出雲八重子 研究所看護婦
瑞木伸枝 山村家の女中
歌川千恵 旅館の女中
早野由起夫 レストランのボーイ
天津敏 青年

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

就職難の世相を諷刺的に描いた喜劇。井上薫・新井一の脚本を、「恋は異なもの味なもの」の瑞穂春海が監督、「暖簾」の岡崎宏三が撮影した。主演は「駅前旅館」のフランキー堺、「杏っ子」の香川京子。その他中田康子・河内桃子・藤木悠らに新人の谷美也子が出演。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

下宿の窓から「求職」の風船を上げて、果報を寝て待っている晋吉の所へ、三つも傭い口が転がりこんだ。新々製薬では新薬のモルモット代用、鶴亀金融は出資者集めの外交員、下宿の娘時子の勤務先昼夜倉庫は夜警。時子にどやされて、晋吉は三つともやることに決めた。彼は三人前になったのである。早朝から外交に出向き、山路はるかなる女性をたずねると、なんとこの女、鶴亀金融社長の情婦であった。彼ははるかの御意に叶つた。と、社長鶴亀氏の御入来。這々の体で新々製薬に駈けつけると、スリーマン・デラックスなる精力回復剤を飲まされた。と、利き目は確か、晋吉は疲労を回復したのである。この新薬はジョージ宮田なる居留外国人の密輸品だが、たまたま昼夜金庫に品物を置いているため、取引したい新々製薬が資金に困っていることを時子が耳にしてくる。新々製薬と鶴亀金融の間をとりもち出世の道を計るべきだと、時子の速断は下った。晋吉は、はるかから鶴野社長を攻略、契約を取りかわす所までこぎつけた。金策の出来た新々製薬では、ジョージ宮田と会って取引をまとめるため、熱海へ向った。功により係長の席を与えられた晋吉も同道したが、熱海ではるかに出会ってしまった。その時、彼は夜警の勤務を思い出し、その場を逃れた。が、その夜スリーマン・デラックスは密輸品として警察に押収された。ために、晋吉への風当りがきびしくなった。勝手なことをいわれてむかっ腹を立てた晋吉は、新々製薬に辞表をたたきつけた。鶴亀金融もやめた。時子は時子でいうのである。「夜警の退職届出しておいて上げたわ。結婚しても夜のお勤めじや味気ないもの……」プロポーズだった。また明日から風船を上げるさ--職を失ったが、至極晋吉はのんきである。時子がそばに附いているかららしい。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1958年8月上旬号

日本映画紹介:僕は三人前

2016/08/14

2016/10/05

55点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


まずまずの瑞穂春海

ラピュタ阿佐ヶ谷で始まったフランキー堺の特集で観た「僕は三人前」は、就職が決まらずにいたフランキーの元に、一気に三つの採用通知が届き、取り敢えず三つとも体験しようと、製薬会社、金融会社、倉庫会社を掛け持ちする事から起きるすったもんだを描いたコメディです。
製薬会社では社長・十朱久雄の娘・河内桃子に親切にされ、金融会社では社長・左卜全の愛人・中田康子から色目を使われ、倉庫会社を紹介してくれた下宿の大家の娘・香川京子も何かと親身になってくれるなど、女性関係でも満更ではないフランキーが、製薬会社と金融会社の契約をまとめたり、製薬会社の密輸騒動に巻き込まれたりする中、大家の娘・香川京子を伴侶と選ぶことにして、警備会社1本に絞ろうとしたところ、香川に“辞表を出しておいたわよ”と言われて、再び無職に逆戻りするというオチがつきます。
雪村いづみの「あんみつ姫」や柳家金語楼の「おトラさん」シリーズなど、東宝傍流の東京映画や宝塚映画を手掛けた新井一が、井上薫(この人はあまり多く書いていません)と一緒に書いた脚本は、大した出来ではないものの、大きく破綻している訳でもないというもので、ここ数年で手堅い映画を観た瑞穂春海の監督ぶりは、笑わせようとして滑っているところが散見するとはいえ、ここでもまずまずの腕前を見せています。
瑞穂春海の映画は、わたくしが観たものがたまたま出来の良い部類だったのだろうとは思いますが、侮れない出来のものを観続けている印象であり、ここ暫くは上映作品をみつけたら追いかけたいと思います。