天下の副将軍 水戸漫遊記

てんかのふくしょうぐんみとまんゆうき|----|----

天下の副将軍 水戸漫遊記

レビューの数

2

平均評点

61.5(6人)

観たひと

10

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1958
公開年月日 1958/4/28
上映時間 78分
製作会社 新東宝
配給
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督中川信夫 
脚本仲津勝義 
土屋啓之助 
企画津田勝二 
製作大蔵貢 
撮影河崎喜久三 
美術梶由造 
音楽渡辺宙明 
録音片岡造 
照明折茂重男 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演古川緑波 水戸中納言光圀
天城竜太郎 佐々木助三郎
中村竜三郎 渥美格之丞
坂東好太郎 勝田主膳正
宇治みさ子 鳥追のお町
小倉繁 九紋竜の長次
和田桂之助 五代将軍綱吉
岬洋二 柳沢吉保
坂内英二郎 仏生寺竜之介
水原爆 侍飛脚田丸
菊地双三郎 刺客古池
坂根正吾 刺客金貝
中村彰 片桐定政
松浦浪路 姫深雪
丹波哲郎 柳沢甲斐守
若宮竜二 荒川紋太夫
沢井三郎 森脇平馬
松本朝夫 磯貝半四郎
鳴門洋二 松平摂津守
西一樹 江川常太夫
明智十三郎 細川肥後守
倉橋宏明 山内孫兵衛
筑波二郎 町人
石川冷 石屋の藤吉
河合英二郎 墓守りの爺さん
鳥羽陽之助 めうが屋の親爺
小森敏 江戸ッ子
村山京司 柳沢家下郎一
小浜幸夫 柳沢家下郎二
晴海勇三 柳沢家下郎三
三宅実 町人一
池月正 問屋場役人
山田長正 乗客(船)イ
山田直次 乗客(船)ロ
邑井貞吉 講釈師

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「毒婦高橋お伝」の共同脚本を執筆した仲津勝義に、土屋啓之助のオリジナル・シナリオを「将軍家光と天下の彦左」の中川信夫が監督、「毒婦高橋お伝」の河崎喜久三が撮影した、お馴染み黄門漫遊記。「阿波狸変化騒動」の古川緑波、「関八州喧嘩陣」の天城竜太郎、「稲妻奉行」の宇治みさ子、新東宝入社第一回の坂東好太郎などが出演。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

五代将軍綱吉の頃、老中柳沢吉保は片桐家の主君定政が発狂したという理由で、舎弟の甲斐守を片桐家に養子に入れようとしていた。そこで、腹心の部下仏生寺、田丸、お町の三人に密書を持たせて丹波篠山の甲斐守のところに旅立せた。馬入川の渡しでのこと、彼等は舟客に下船を命じた。が、舟客の騒ぎをよそに、三人連れの旅人が平然と背を向けていた。助さん、格さんを従えた水戸光圀だった。刀を抜いて斬りかかる仏生寺らは河に投げこまれ、密書を奪われた。彼等は密書を篠山に着くまでに取り返そうと手をつくすが、助さん格さんの腕にはとても立ち打ちできない。一方、片桐家の家老主膳正は定政が天守閣に幽閉されていることを聞き、仔細を知って切腹を決心した。だが、そこを通りかかった光圀に救けられ、甲斐守を見張るように言われ国表へ帰った。やがて、光圀の来訪が伝えられると、仏生寺が定政の暗殺に向った。仏生寺の兇刃が振り下されようとした刹那、主膳正の手裏剣がとんだ。甲斐守も主膳正に斬られ、駈けつけた光圀、助さん、格さんらの働きで、篠山城には再び平和が訪れた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2012/05/26

2014/08/19

55点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


細部が映画を活性化

ネタバレ

シネマヴェーラの中川信夫特集で観た「天下の副将軍 水戸漫遊記」は、江戸市中で犬を大事にするあまり人間の扱いが疎かになっている事態を見た緑波=黄門様が、和田桂之助扮する将軍綱吉を諌めると、聞き分けの良い将軍が直ちに反省する一方、岬洋二扮する老中・柳沢吉保は黄門のでしゃばりに苦虫を噛み潰すという展開で始まります。
この映画の頃の新東宝は既に大蔵貢の体制になっており、大蔵新東宝というと安っぽいというイメージがありますが、江戸城内のセットはかなりの広さで奥行きもあり、将軍の前に居並ぶ大名たちの数も衣装も立派なもので、中川のフレーミングセンスの確かさと共に感心しました。
このあと緑波=黄門様は、天城竜太郎(のちの「ハレンチ」役者・若杉英二です)扮する助さん、中村竜三郎の格さんを従えて旅に出て、途中で小倉繁扮する胡麻の蝿が弟子入り志願してお供になる一方、岬洋二=柳沢吉保は、篠山藩の藩主・中村彰が狂乱したとでっち上げて幽閉し、吉保の実弟・丹波哲郎を姫の婿として送り込んで篠山藩を手中に収めるべく、密書を配下の坂内英二郎や女間者・宇治みさ子に託します。
この密書が、ひょんなことから緑波=黄門様の手に入ったことから、黄門一行は篠山藩のお家大事を知り、この藩に向かうことにしますし、密書を奪われた坂内英二郎や宇治みさ子も黄門一行を追って密書を取り戻そうとします。他方、篠山藩からは家老・坂東好太郎が江戸に上って、岬洋二=柳沢吉保に主君・中村彰の狂乱は間違いだと伝えますが、吉保にあっさり無視され、藩に戻ることにします。こうして、主要登場人物の全てが篠山藩に向かう形となります。
そして、篠山藩の城では姫・松浦浪路と柳沢吉保が送り込んだ実弟・丹波哲郎の婚礼が行われようとする一方、城の天守閣に幽閉されている藩主・中村彰が坂内英二郎によって斬られようとする時、緑波扮する天下の副将軍・黄門様や助さん・格さんが城に乗り込み、クライマックスのチャンバラを展開することになります。
このクライマックスも、城の広間での丹波哲郎と松浦浪路との婚礼場面にせよ(居並ぶ女官の中には、わたくしの見間違いでなければ、大部屋時代と思しき池内淳子が映っていました)、緑波=黄門様一行が乗り込んでのチャンバラにせよ、セットの立派さに感心するのですが、城の広間を舞台に、前後の奥行きと左右の間口を目一杯利用したチャンバラもさることながら、天守閣に幽閉された藩主・中村彰を巡るドラマを、城の階段を登ってゆく縦の動きによって組み立てて、観客の気持ちも煽るキャメラワーク(セットに金をかけているとは言うものの、何階にも及ぶ高さを実現することはできないので、階段の途中に黒味を作り、そこでカットを割っていますが、キャメラの動きはひと繋がりのように見せています)が絶妙です。
物語の筋立て自体は、まあご都合主義の産物と呼んで差し支えないものですが、演出の細部が映画を活き活きさせるという、中川信夫らしい映画でした。

2012/05/26

2012/06/07

80点

映画館 


物語の筋立て自体は、まあご都合主義の産物と呼んで差し支えないものですが、演出の細部が映画を活き活きさせるという、中川信夫らしい映画でした。