京橋の国立映画アーカイブにて鑑賞。
若尾文子の出演作だから観に行った。
「京橋フィルムセンター所蔵作品」であり、未ソフト化の映画。
本作は、幕末の伏見にあった船宿「寺田屋」を舞台にしたドラマ。
現在また、「竜馬がゆく(全8巻)」(司馬遼太郎著)を読んでいるところなので、寺田屋は「竜馬がゆく」で描かれている雰囲気が克明に記憶していて、「坂本龍馬」や寺田屋の女主人「お登勢」、養女の「おりょう」の人間関係の流れも司馬遼太郎の描いた世界を基本形だと思っている。
この映画では、坂本龍馬が「女性に惚れたら一途」だとか、「おりょう」は竜馬が寺田屋に養女にしてもらったはずだが違っていたり……と、司馬遼太郎作品とは異なるドラマが多々ある。まぁ、これはこれでコンパクトに描かれているので良いかも……。
さて、物語は寺田屋を切り盛りしている女主人お登勢(淡島千景)、養女のおりょう(若尾文子)、お登勢の亭主(伴淳三郎)がまず描かれるのだが、お登勢の亭主は浄瑠璃や女遊びなど道楽にふけっていてダラシない。
そんな折、薩摩藩の寺田屋事件が起こる。それなりにポイントを押さえた事件の顛末になっている。
そして坂本龍馬がやって来るが、龍馬を演じているのは森美樹という俳優だが、雰囲気はとても龍馬らしくて良い。亭主がだらしないお登勢が龍馬に秘めた恋心を描くのだが、おりょうも龍馬に惚れる。
おりょうを若尾文子が演じているのは驚いたが、いつぞやのNHK大河ドラマで真木よう子が演じた雰囲気とは全く異なり、本作では可愛い感じ…。
五所平之助監督は、寺田屋のオープンセットを組んで本作を撮影したそうだが、このセットは見事であった。
なかなか見応えのある幕末ものであった。未ソフト化なのが勿体ない。
[追記]個人的に、若尾文子出演作として鑑賞済は133本、未見作は残り28本となった。
<映倫No.10479>