螢火

ほたるび|----|----

螢火

レビューの数

3

平均評点

63.3(18人)

観たひと

34

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1958
公開年月日 1958/3/18
上映時間 124分
製作会社 歌舞伎座
配給 松竹
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督五所平之助 
脚色八住利雄 
原作織田作之助 
製作加賀二郎 
内山義重 
撮影宮島義勇 
美術平川透徹 
音楽芥川也寸志 
録音竹川昌男 
照明藤来数義 
編集長田信 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演淡島千景 登勢
伴淳三郎 伊助
森美樹 坂本竜馬
若尾文子 お良
三好栄子 お定
水原真知子 
須賀不二夫 五十吉
福田公子 お貝
沢村貞子 おとみ
石井富子 おまつ
尾上菊太郎 巳之吉
近森美子 お京
初音礼子 おこと
三島雅夫 「小六」のおやじ
三井弘次 商人源吉
東野英治郎 医者玄以
佐竹明夫 有馬新七
中村是好 門付の老爺

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

織田作之助作の「蛍」の映画化。脚色は「負ケラレマセン勝ツマデハ」の八住利雄、監督は「挽歌(1957)」の五所平之助、撮影は「海の野郎ども」の宮島義勇が担当。主演は「負ケラレマセン勝ツマデハ」の淡島千景、伴淳三郎、「侍ニッポン」の森美樹、「新婚七つの楽しみ」の若尾文子。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

伏見の船宿「寺田屋」の女将登勢は、甲斐性なしの夫伊助を助けて店を切りまわすしっかり者だった。伊助の継母お定は、実の娘お椙がならず者の五十吉と通じ、お光をのこして駈落してしまったので、仕方なく伊助に寺田屋をゆずった関係から、嫁の登勢につらく当った。彼女はその中で夫をたすけ、貧しい子のお良を引きとり、お光には実の母のように対して、登勢の死後は一そう店の中心となって働いた。伊助は京都にお民という妾を囲い、足繁く通っている。時代は次第に勤王佐幕の、ぶっそうな世の中と変って行った。その頃台所からヌッと入ってきた坂本竜馬という男、その風格にすっかりひかれてしまった登勢であった。だが、捕手に追われ、お良の機転で逃れた竜馬は、お良に対して自分の思慕を打ちあけ、それを知った登勢は、再び殺到する捕手を身を以て守りながら、竜馬とお良を逃すのだった。それから数日後、お民との間を清算してもどった伊助と登勢は、「坂本竜馬暗殺さる」という瓦版を読んだ。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1958年3月上旬号

新作グラビア:螢火

1958年1月上旬新春特別号

特別グラビア:「螢火」の五所組

2021/11/14

2021/11/14

80点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 


伏見・寺田屋から見た幕末

国立映画アーカイブの五所平之助監督特集にて鑑賞。
幕末、寺田屋の跡取りと結婚した登勢(淡島千景)が、たよりない亭主や意地悪な継母の仕打ちに耐え、動乱の時代のなかでもお客を大事にし宿と従業員を守る名女将として成長していく。
地に着いた庶民の目で歴史的事件を描く設定が面白い。そして、しっかりもので気配りあり知恵がまわる登勢像が素晴らしく、淡島千景の代表作のひとつに違いない、と思う。ダメ夫とのやりとりは同じ原作者の「夫婦善哉」のまんまですけどね。伏見港のロケセットの壮大さも見どころ。
おりょうが入浴中に追手の姿を見つけて坂本龍馬に知らせる、という大好きなエピソードは、若尾文子が演じるので期待したが、そんなにたいしたことはなかったです。。。。

2021/10/28

2021/10/28

80点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 


寺田屋を舞台にした若尾文子出演作

京橋の国立映画アーカイブにて鑑賞。

若尾文子の出演作だから観に行った。
「京橋フィルムセンター所蔵作品」であり、未ソフト化の映画。

本作は、幕末の伏見にあった船宿「寺田屋」を舞台にしたドラマ。
現在また、「竜馬がゆく(全8巻)」(司馬遼太郎著)を読んでいるところなので、寺田屋は「竜馬がゆく」で描かれている雰囲気が克明に記憶していて、「坂本龍馬」や寺田屋の女主人「お登勢」、養女の「おりょう」の人間関係の流れも司馬遼太郎の描いた世界を基本形だと思っている。
この映画では、坂本龍馬が「女性に惚れたら一途」だとか、「おりょう」は竜馬が寺田屋に養女にしてもらったはずだが違っていたり……と、司馬遼太郎作品とは異なるドラマが多々ある。まぁ、これはこれでコンパクトに描かれているので良いかも……。

さて、物語は寺田屋を切り盛りしている女主人お登勢(淡島千景)、養女のおりょう(若尾文子)、お登勢の亭主(伴淳三郎)がまず描かれるのだが、お登勢の亭主は浄瑠璃や女遊びなど道楽にふけっていてダラシない。
そんな折、薩摩藩の寺田屋事件が起こる。それなりにポイントを押さえた事件の顛末になっている。
そして坂本龍馬がやって来るが、龍馬を演じているのは森美樹という俳優だが、雰囲気はとても龍馬らしくて良い。亭主がだらしないお登勢が龍馬に秘めた恋心を描くのだが、おりょうも龍馬に惚れる。
おりょうを若尾文子が演じているのは驚いたが、いつぞやのNHK大河ドラマで真木よう子が演じた雰囲気とは全く異なり、本作では可愛い感じ…。

五所平之助監督は、寺田屋のオープンセットを組んで本作を撮影したそうだが、このセットは見事であった。

なかなか見応えのある幕末ものであった。未ソフト化なのが勿体ない。

[追記]個人的に、若尾文子出演作として鑑賞済は133本、未見作は残り28本となった。

<映倫No.10479>

2013/08/30

2013/08/31

52点

映画館/大阪府/シネヌーヴォ 


多くの人の目に触れてほしい名画です。

幕末の伏見の船宿「寺田屋」を舞台に、女主人お登勢(淡島千景)、養女のお龍(若尾文子)と坂本龍馬(森美樹)、それにお登勢の亭主・伊助(伴淳三郎)が絡らむ。

若尾文子の演じるお龍は、『龍馬伝』などで描かれる楢崎龍とは違う、普通のお嬢さんキャラなので、今見ると随分と違和感を感じるのだが、本作は“幕末もの”というよりも“世話物”に近く、生さぬ仲の親子(寺田屋の主筋の姑と嫁のお登勢、子のないお登勢と養女のお龍)に生まれる情愛や、一人の男(龍馬)を想うお登勢とお龍の葛藤などが主軸で、史実は二の次というところ。それでも、淡島千景はもちろんのこと、伴淳の世捨て人的な亭主ぶりが、オダサクの世界の住人然としていて意外に好かった。

龍馬役の森美樹は、草刈正雄風のバタ臭い二枚目だが、26歳とは夭折だったんですね。こういうスターに出会えるのも、旧作を観る愉しみですね。