万五郎天狗

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万五郎天狗

レビューの数

3

平均評点

57.8(7人)

観たひと

10

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1957
公開年月日 1957/8/6
上映時間 87分
製作会社 大映京都
配給
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督森一生 
脚色土屋欣三 
原作野村胡堂 
企画高桑義生 
製作酒井箴 
撮影本多省三 
美術太田誠一 
音楽宅孝二 
録音大谷巖 
照明中岡源権 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演市川雷蔵 徳川万五郎
小野道子 お夏
浦路洋子 深雪
阿井美千子 文字花
舟木洋一 乙女之助
千葉登四男 尾張継友
若杉曜子 美津
香川良介 成瀬織部
清水元 小川東馬
潮万太郎 半助
荒木忍 津田近江守
水原浩一 猿ヶ瀬兵庫
伊達三郎 鬼塚藤太
葛木香一 六兵衛
志摩靖彦 藪田信濃守
西岡タツオ 庄蔵
浜田雄史 中川左内
横山文彦 嘉七
玉置一恵 旗本一
菊野昌代士 旗本二
清水明 旗本三
福井隆次 旗本四
藤崎正雄 旗本五
越川一 音造
河田好太郎 天神丸船頭
大杉潤 川本三吾
武田竜 富田主馬
遠山泰裕 松吉
郷登志彦 百々力武平
高原朝子 芸者甲
三藤愛子 芸者乙
君島鶴代 芸者丙

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

野村胡堂の原作『万五郎青春記』から「誉れの陣太鼓」の土屋欣三が脚色し、「弥太郎笠(1957)」の森一生が監督、本多省三が撮影した。主演は「弥太郎笠(1957)」の市川雷蔵、浦路洋子、「怪猫夜泣き沼」の阿井美千子、「残月講道館」の小野道子。ほかに舟木洋一、千葉登四男、潮万太郎、若杉曜子、香川良介、清水元など。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

享保年間--幕府は尾張家の動向に異常な神経をはらい、隠密を放って名古屋城に潜入させていた。それというのも、尾張の当主継友と将軍吉宗とは、かつて将軍の職をめぐって激しい抗争を行ったからである。隠密支配藪田信濃守の命を受け尾張に赴いた隠密の一人小川東馬は、苦心の末完成した名古屋城の防備図を旧知の江戸役者坂東半助とその妹お夏に信濃守に手渡すように頼み、みずからは尾張の家中の手にかかった。兄妹は海路江戸へ向ったが上陸直前になって尾張家の厳重な取調べを逃れるため積荷の中の鳴海絞の一反に、預った密書を押込んだ。この密書をめぐって、信濃守一派と、尾張家の争奪戦が始まった。積荷の鳴海絞はすでに売り捌かれ、密書の行方も不明。継友の弟万五郎は、兄が吉宗に反抗するのを無謀と思い、身をもって尾張六十二万石を譲ろうとした。密書はやがて、文字花と名乗る常盤津の師匠の手に入り、これを知った万五郎が勇躍彼女の家を訪れたが、その間に尾張家家老の娘深雪が現われ、万五郎が訪れたとも知らず密書を奪って逃げた。しかし、そこには藪田の輩下が待伏せており、彼女は捕われの身となったが、密書は途中、神社の賽銭箱に投げ込んだ。一方、ようやく藪田の卑劣さに気附いたお夏は、万五郎たちに味方しながら、例の賽銭箱から密書を発見したが、藪田方に捕えられ、遂に密書は幕府方の手に陥ちてしまった。そして、この密書を証拠に、継友は幕府への謀心を激しく追及されたが、そこへ突如万五郎が小川東馬を伴って姿を現わし、一度改修した城も既に旧に復してあり、この度の事件は全て藪田の野心を遂げるための陰謀であることを明らかにした。かくて悪人滅び、吉宗もこれまでのいきさつを一切水に流し、継友と膝を交えて語り合った。一方、万五郎は深雪と共に尾張へ帰って行った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1957年9月下旬号

日本映画批評:万五郎天狗

1957年8月上旬号

日本映画紹介:万五郎天狗

2019/08/02

2023/05/11

75点

選択しない 


尾張六十二万の危機を救ふ

 野村胡堂「万五郎青春記」を原作とする1957年公開の「万五郎天狗」。監督はヹテラン森一生、脚本は土屋欣三、音楽は宅孝二であります。主演は市川雷蔵。

 享保年間、八代吉宗の治世、幕府は将軍の座を巡り敗れた尾張の動向に目を光らせてゐました。勝手に名古屋城の改修をしてゐる疑ひがあり、事実なら尾張筆頭家と雖も只では済みません。藪田信濃守(志摩靖彦)の命を受けた隠密・小川東馬(清水元)は、名古屋城の改修箇所を示した図面を作成しますが、尾張の手中に落ちます。で、図面を旧知の役者・半助(潮万太郎)とその妹お夏(小野道子=長谷川季子)に託します。

 兄妹は江戸への船内で、尾張家による取り調べを逃れる為、積荷(鳴海絞)の中に図面を忍ばせます。しかしその後直ちに荷は売り捌かれ、図面の行方も不明となりました。この「密書」を巡り、幕府側の信濃守と、尾張家の藩主・尾張継友(千葉登四男=千葉敏郎)とその弟・万五郎(市川雷蔵)の兄弟で、奪ひ合ひが勃発したのです......

 万五郎とは後の徳川宗春。幼名なので、既に将軍吉宗が誕生してゐるこの時代は、「通春」と名乗つてゐたのではないかと思ひますが、まあいい。吉宗×宗春の争ひは良く時代劇のネタになりますが、実際には両者はそれ程敵対してゐた訳ではないさうです。でも物語としてはそれでは詰らないので、色色創作されてゐます。

 天下の御法度である城の改修を示す密書が尾張を揺るがします。雷蔵演じる万五郎が尾張六十二万の危機を救ふと云ふストオリイです。皆が城の図面を血眼になつて追ひます。女優陣の動きが目立ち、結果的にワルに騙された小野道子、常磐津の師匠・阿井美千子、尾張側で密書を奪ふ浦路洋子と揃ひました。小野道子の雷蔵に対する思ひが切ないのでした。知つてか知らずか雷蔵は「良い婿を探せよ」みたいな無神経な発言をしてゐました。

 雷蔵はまだ若いけれど、既にスタアとしてのオーラが感じられます。敵方に図面が渡り、絶体絶命の兄・継友のピンチに颯爽と現れ、信濃守の仕組んだ悪事であることを暴露、そして見せ場の殺陣は、上手さよりもその敏捷さに目が行きます。カツシンが「俺が一人斬る間に、雷ちやんは三人斬る」と讃へたスピードであります。

 「万五郎青春記」は、後に東映京都で、「尾張の暴れ獅子」として再映画化されてゐます(監督・河野寿一、主演・大友柳太朗)。雷蔵のスマアトな万五郎に対し、大友の豪快な万五郎も中中良い。見比べてみるのも一興と申せませう。

2015/01/14

2015/01/14

65点

テレビ/有料放送/時代劇専門チャンネル 


ちょっと白塗りが目立つ

どこかで見たようなストーリーと思ったら、大友柳太朗の「尾張の暴れ獅子」と同じだった。と言っても作られたのはこちらの方が早い。
物語の方は尾張の次男坊の若さまが、お家の一大事を救うべく活躍する話だが、大友版と比べると若さまが白塗りの二枚目で、ちょっと豪快さに欠ける。代わりに若さまらしい上品さは見られる。
大映は現代劇には良い女優を抱えているが、時代劇ではあまりいない。阿井美千子がよく出ているが、今回は小野道子という女優を見つけた。活躍期は長くなく、1956年から1960年までの5年間だ。なかなか時代劇の雰囲気にも似合う現代的な感じの好感の持てる女優だった。調べたら長谷川季子という芸名でも出ており、長谷川一夫の娘だった。
映画は大友版と甲乙付けがたし。

2013/08/06

2013/08/07

56点

テレビ/有料放送/時代劇専門チャンネル 


市川雷蔵

女優陣や脇役名を少しずつ覚えようと努力しています。