ひかげの娘

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ひかげの娘

レビューの数

3

平均評点

67.6(8人)

観たひと

23

観たいひと

5

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1957
公開年月日 1957/6/5
上映時間 98分
製作会社 東京映画
配給 東宝
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダ-ド
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督松林宗恵 
脚色新藤兼人 
原作野口赫宙 
製作永島一朗 
撮影三村明 
美術小島基司 
音楽斎藤一郎 
録音矢野口文雄 
照明森康 
編集庵原周一 
助監督平山昭夫 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演香川京子 房子
山田五十鈴 お絹
塩沢登代路 綾子
小沢経子 お染
三好栄子 おつた
東野英治郎 繁雄
仲代達矢 本橋(学生)
伊藤久哉 篠崎(紙問屋社員)
中村伸郎 山岸(評論家)
佐原健二 高野(土産物屋)
岩崎加根子 幸子(房子の友人)
田中春男 守田
加藤春哉 健太郎(守田の息子)
千秋実 えり菊の主人
中北千枝子 お愛(小浜の仲居)
音羽久米子 おきく(小浜の仲居)
淡路恵子 政代
北川町子 以久子
福子(葭町) 筆右
お千代(葭町) 菊江
若山セツ子 千代香
守田比呂也 安川(篠崎の友人)
堺左千夫 岡元(篠崎の友人)
恵ミチ子 敏子(篠崎の友人)
小泉澄子 智恵(篠崎の友人)
石山竜嗣 老紳士
田辺元 紙問屋の課長
清川玉枝 蔦乃家の女将
馬野都留子 若梅の下働きの婆さん
津山路子 笑香(病気の芸者)
花房一美 えり菊の奥さん
坂内英二郎 産婦人科の医師
背山哲子 産婦人科の看護婦
田中志幸 三等重役(立花)

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

小説新潮所載の野口赫宙の同名小説の映画化。「倖せは俺等のねがい」の新藤兼人が脚色、「美貌の都」の松林宗恵が監督した。撮影は「おしどりの間」の三村明。花柳界に育った女の苦悩を描く。主演は「大阪物語」の香川京子、「東京暮色」の山田五十鈴、「山鳩」の三好栄子、「あらくれ(1957)」の東野英治郎、仲代達矢、「東京だョおッ母さん」の伊藤久哉。ほかに中村伸郎、淡路恵子、若山セツ子、中北千枝子、千秋実など。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

修善寺で芸者屋の一人娘として育てられた房子の家は、母も祖母も芸者上りで、母は彼女をおいて情夫と駈落ちした。ある日その母を未練がましく追う父の繁雄を激しく責める祖母おつたの口から房子は意外のことを聞いた。「房子だって誰の子か判りやしない。」-感受性の強い年頃の彼女は以来、自分が日蔭の子という劣等感をもつようになった。祖母と折合のつかぬ繁雄は房子を連れて上京、彼女の伯母お絹の経営する“小浜”へ頼って行った。房子は帳場を預ったが日夜目にする社会の裏面に激しい嫌悪を感じた。が彼女は店へ来る客で四十七、八にもなる評論家山岸に惹かれた。山岸も芸者の子であった。房子は、また戦後派的な紙問屋の社員篠崎に好感を持っていたが、彼と逢引して店へ帰ると、お絹から、情夫と行方を昏ましたアプレ芸者政代が男に逃げられ湯河原で自殺未遂の身を保護されているから迎えに行くよう頼まれた。湯河原には房子の幼友達、高野がいたので、彼女は彼にも会いたいと湯河原に出かけた。高野は駅に出迎えていた。が、「結婚したい、どこかへ行って話を……」という高野に房子は総ての男に共通するものを感じて、そのまま別れた。房子は政代を連れて帰京した。が、その夜、馴染の芸者と泊っていた同業の“えり菊”の主人が房子の部屋へ忍び込んできた。翌朝、彼女は自殺を計った。しかしそれは未遂に終った。数日後、房子は山岸に会った。心のより処を山岸に求め房子は総てを彼に許した。だが山岸も彼女の肉体を求めるだけの男だった。山岸から遠去かった房子は、今度は篠崎に誘われ山中湖へ行き、彼と関係を結んだ。それは結婚を前提としていたが、房子は捨てられた形となった。が彼女の体には山岸のか篠崎のか何れとも判らぬ子が宿っていた。遂に房子は、このいやらしい社会から逃出す決心をした。こっそり病院に行き堕胎した房子は、涙とともに人生の再出発を誓うのであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1957年7月下旬号

日本映画批評:ひかげの娘

1957年6月下旬号

新作グラビア:ひかげの娘(こ)

1957年6月上旬号

日本映画紹介:ひかげの娘

1957年臨時増刊号 春の名作シナリオ集

「名作シナリオ大集」東京映画:ひかげの娘

2020/02/17

2020/02/19

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『ひかげの娘』。読みは「ひかげのこ」。芸者の娘であるがゆえに人から蔑まされる主人公(香川京子)。修善寺温泉で高校時代を過ごす。祖母のおつた(三好栄子)も芸者あがりでかなりきつい性格。お絹(山田五十鈴)は守田(田中春男)に対して「注射一本打ってよ」。浜離宮はアベックのメッカ。

2016/07/09

2016/09/12

60点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


観ておいて損はない

シネマヴェーラの“女性が選ぶ女性映画特集”で上映された「ひかげの娘」。先日フィルムセンターの木下忠司特集、渡辺祐介監督「牝」で、中村伸郎が久保菜穂子と二度もキッスを交わす場面に遭遇し、こんな映画があったのかと驚愕したばかりなのに、その中村伸郎が濃厚なキッスを3回(4カット)も見せ、しかもその相手が香川京子だというのですから、映画史は奥が深いと言わざるを得ません。
香川京子は、母も祖母も芸者という境遇で、“誰の子か判りやしない”という陰口を叩かれ続けて育った“ひかげの娘”を自認する娘であり、水商売を嫌い、実業の男に添い遂げることを夢見ながら、結局は叔母・山田五十鈴がやっている芸者置屋で働くこととなり、幼馴染の土産物屋・佐原健二、言い寄ってくる紙問屋の社員・伊藤久哉、置屋の常連客・千秋実、お互いに似た境遇だと愚痴り合う年上評論家・中村伸郎らと浮名を流し、中村の種か伊藤の種かわからぬ子供を宿した結果、ようやく誠実な学生・仲代達矢と知り合い、彼の励ましで堕胎を耐えた末、新しい人生を歩き始めるという、東宝配給にしては珍しい、かなりドロドロした題材ですが、脚本が新藤兼人だというので、納得します。
手放しで面白いと言える映画ではありませんが、観ておいて損はありませんでした。

2016/07/09

2016/07/10

55点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


生まれた時が悪いのか

清純役が多い香川京子だが、汚れ役とまでは言えないものも、精神的にはかなり汚れてしまう女性を演じる。
房子は芸者置屋の娘として育ち、望むと望まざるとにかかわらず、女将として切り盛りする母を手伝うようになる。周囲の眼は必ずしも彼女を清純な娘としては見てくれない事を意識し、それまで護ってきた処女性が危うくなり、老練の男に身を委ねてしまう。
結局は古い因習から一歩も抜け出していない女性を具現した物語と言え、運命を打破するほどのパワーや、独立心を持つまでにはまだ時間が必要であったと思われる。