街燈(1957)

がいとう|----|----

街燈(1957)

レビューの数

9

平均評点

68.6(27人)

観たひと

44

観たいひと

5

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1957
公開年月日 1957/2/13
上映時間 91分
製作会社 日活
配給 日活
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダ-ド
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督中平康 
脚色八木保太郎 
原作永井龍男 
製作大塚和 
撮影間宮義雄 
美術松山崇 
音楽佐藤勝 
録音福島信雅 
照明高橋勇 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演月丘夢路 大谷吟子
南田洋子 早川千鶴子
葉山良二 能瀬精一郎
岡田眞澄 小出英夫
草薙幸二郎 三宅慎吾
林茂朗 能瀬雄生
中原早苗 久里目鳥子
細川ちか子 川口夫人
山岡久乃 永田夫人
芦田伸介 久里目所長
北林谷栄 小出の母
小沢昭一 学生木村
武藤章生 学生太田
渡辺美佐子 千代
刈屋ヒデ子 靴磨きの少女
服部千代子 沢さん
渡規子 GINの女の子
佐野浅夫 与太者(見知らぬ男)
竹内洋子 待合の女中

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

永井龍男の原作“街燈”の映画化。脚色は「米」の八木保太郎、監督は「牛乳屋フランキー」の中平康、撮影は「沖繩の民」の間宮義雄。主な出演者は、「哀愁の園」の南田洋子、「最後の突撃」の葉山良二、「女子寮祭」の渡辺美佐子、「お転婆三人姉妹 踊る太陽」の岡田眞澄、他に中原早苗、細川ちか子、北林谷栄、山岡久乃、芦田伸介、草薙幸二郎など。TVとラジオの少女スター刈屋ヒデ子がデビューする。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

洋裁店“ナルシス”を経営する早川千鶴子は、その晩、未知の青年、久里目保険統計研究所員の肩書をもつ能瀬精一郎の訪問を受けた。能瀬は、千鶴子が定期を拾って届けた学生の兄で、その礼に来たのだ。が千鶴子は、弟が定期を故意に落し、拾った人が届けてくれ、相手が女性であればそれを縁に交際を始める魂胆だったという能瀬の言葉にびっくり。更に彼が語る弟の友人の成功談、失敗談に笑い転げる。しかも千鶴子は定期遊びに成功した青年を知っていた。友人の大谷吟子が主の銀座はギン洋裁店に働く小出がそれである。美男子の小出は吟子の若い燕となっている。しかし彼は吟子に隠れて久里目財閥の娘鳥子と交際、それをまたヨタ者三宅に感づかれ事毎にユスられている。吟子には、また大久保という年輩のパトロンがいて、ある夜二人は待合に泊った。すると小出は早速、鳥子と熱海に出かける。ところが翌朝、銀座の火事で吟子の店は焼けなかったが水浸し。店にかけつけるとヨタ者が店を見張っていた御礼を寄越せとユスリに来る。三宅が相手になるが、三宅は仲間らしく、折から千鶴子と駈けつけた能瀬が、これを追払う。翌日、能瀬は千鶴子の突然の訪問を受け、二人の間に心が通い合う。が、その能瀬は、久里目所長から姪の鳥子の行状調査を頼まれ、これを私立探偵の下うけみたいだと怒って研究所を飛出す。一方、吟子は店を建直すが、小出の行状を知り、これを機に小出とも大久保とも別れ再出発の決心をする。その夜、能瀬は火事の一件でヨタ者の恨みを買い三宅らに挑戦され、暗い街灯の下で死闘を続ける。警官の助けで難を逃れるが、彼もまた自分の行動を顧み、田舎へ帰り再生の決心を固める。これを能瀬に聞いた千鶴子は、彼に尊敬の念を覚える。能瀬が帰る日、街灯の下で彼を見送る千鶴子は、いつまでも待っていると告げた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1957年春の特別号

日本映画批評:街燈

1957年2月下旬号

新作グラビア:街燈

日本映画紹介:街燈

1957年1月下旬号

シナリオ:街燈

シナリオ:街燈 作者のことば

2023/11/03

2023/11/04

72点

選択しない 


テンポ良い

中平康の映画 フランス風に作ったか
例によってなんでもない話だが面白い
恋愛はサラッと描く 
岡田真澄の本当の初期
月丘夢路30代半ば 南田洋子20代半ば

2018/02/16

2022/10/07

80点

選択しない 


子供たちに変な奴扱ひされる中原早苗

 1957年の「街燈」。中平康監督作品。原作は永井龍男、脚本は八木保太郎、音楽は佐藤勝、旗照夫が歌ふ主題歌も担当してゐます(作詞は中平康)。衣装デザイン担当に、その訃報も記憶に新しい森英恵さん。劇中のファッションショーも「ハナエモリ・モードコレクション」と銘打つてゐました。

 洋装店を経営する千鶴子(南田洋子)の元へ、能瀬(葉山良二)と云ふ青年が訪れます。彼の弟が落した定期券を千鶴子が拾つて届けてくれたので、そのお礼に来たのですが、実は狙つた女性の前でワザと定期券を落し、それを切掛けにあはよくば仲良くなれたら......と云ふ下心があつたと告げるのでした。

 この作戦は学生間で流行つてをり、能瀬は弟の友人たちの失敗談を語り、それを聞いた千鶴子は大ウケ、笑ひ転げるのでした。失敗談の再現シーンでは、小沢昭一と武藤章生が撃沈する様子を熱演してゐて、可笑しいのです。しかし成功した学生もゐて、その青年・小出(岡田真澄)は偶然、千鶴子も顔見知りでした。

 小出は定期券作戦が成功した後、千鶴子の友人で同業の吟子(月丘夢路)のツバメとなつてゐました。吟子には大久保といふパトロンがゐます。大久保は実際には顔出し無し。そして小出は、能瀬が勤める久里目保険統計研究所の所長(芦田伸介)の娘・鳥子(中原早苗)ともこつそり交際をしてゐまして、それを嗅ぎ付けたゴロツキ・三宅(草薙幸二郎)から強請られてゐると云ふ人間関係です。

 月丘・南田・葉山・岡田の四人を中心としたラヴコメディであります。テクニシャン中平は、当時の日本映画には珍しいシャレオツ(死語か)な演出をしてゐます。否、現在でもかかる洒脱なお芝居は中中お目にかかれません。
 月丘と南田が恋愛体験を「回数券」に例へる会話、中原早苗がイセッタで闊歩する躍動感、靴磨きに扮した刈屋ヒデ子が歌ひ出す場面のカメラワーク、南田が葉山の家を訪ね、焼鮭を二つに分けて食べる場面などは好きなシーンです。
 更に、葉山が草薙と決闘するシーンで、刈屋の呼びかけでキッヅが集結するプロセスが鮮やかです。ビルの谷間を背景に、まるでミュージカルみたいに踊るかのやうに決闘場面へ。

 お話の結末は、火事で店を焼かれた月丘はパトロンとも岡田とも別れ新生活を歩み出し、中原は岡田の質素すぎる実家を見て(母親の北林谷栄が秀逸)幻滅し、葉山は意に反する命令をする芦田の研究所を辞め、南田は葉山の今後を問ふ。

 そのラストシーンが又良いのです。今なら諦められるから自分と別れるならはつきり言つてくれ、と葉山は南田に言ひますが、南田は「私は諦められない」と逆プロポーズの形。驚きの葉山の表情。そして別れの際に南田が、今度会ふ時は髭を剃つてきて、などと云ふ。家を出て街燈の下で口元を拭ふ葉山。ズバリの表現を避けながら、これ以上ない艶つぽい演出で、嘗ての日本映画はかういふ気品があつたな、と思はせるシーンでした。
 この時代の中平康作品をもつと見たいな、と思はせる後味の良いシャシンでした。

2022/06/20

2022/06/20

70点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


昔のフランス映画のような味わいの大人のラヴストーリーで余韻が残りました。

2019/11/10

2019/11/11

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『街燈(1957年、日活)』。旗照夫が歌う主題歌「街燈」がいい雰囲気。中原早苗の車はイセッタだろう。長屋の子供「あっ、変な奴が来た…」に大笑い。渋谷の「ナルシス」はどの辺りだろう。百花園は代官山付近ではなかろうか。街燈の下でハンカチで口を拭く葉山良二。何とも幸せなエンディング。

2018/06/05

2018/08/20

75点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


50年代の中平康のセンスが随所で光る

シネマヴェーラ渋谷の“女優とモード”特集、「街燈」は、まだユーロスペースが桜丘にあった頃の中平康レトロスペクティヴで観ましたが、中平がキレキレだった1950年代の傑作群を次々と観た中では、「街燈」の話は取り散らかって観えたことは否めなかったものの、今回は、取り散らかっていることを前提として観たため、前回より面白く思えました。
冒頭、夜の並木道を歩く男の姿が逆光で捉えられたのち、彼=葉山良二のクローズアップがアオリで映された上、彼が1軒の洋装店に入ってゆくロングショット、その店主である南田洋子に対して、弟の定期券を拾ってくれたことのお礼を述べつつ、最近は学生たちの間で、故意に定期券を落として、それを拾ってくれた女性をナンパするという遊びが流行していることを説明するという、印象的なオープニングです。
葉山良二が南田洋子に説明する定期券落としナンパについて、まずは、学生服姿の小沢昭一が筑波久子に定期券を拾って貰おうとして、わざと落とすものの老婆に拾われてしまい、ナンパに失敗するケース1、学生・武藤章生が八百屋の娘・渡辺美佐子に定期券を拾って貰ったまでは良かったものの、武藤は渡辺の八百屋を手伝わされるべく手荒に扱われるケース2を、ショートコントのようにテンポ良く再現して観せる展開は、まさに中平康がキレキレの50年代らしい演出でした。
こうして弟の定期券をきっかけに知り合った葉山良二と洋装店主の南田洋子が、次第にお互いを想い合うようになってゆくお話の一方、南田と同業の月丘夢路が、パトロンがいるにも関わらず、定期券ナンパを通じて知り合った学生・岡田真澄と深い仲になるものの、岡田のほうも、彼のパトロンを自認する娘・中原早苗と火遊びをするというお話が絡んでゆきます。
日共系の脚本家・八木保太郎のホンは、ヴェテランの割にはまとまりを欠いていると思いますが、南田洋子と月丘夢路の会話で、南田が恋愛体験を回数券に喩え、“最初は使うのを躊躇うけれど、使い始めると調子に乗ってどんどん使ってゆくものの、残り枚数が少なくなると慎重になる”みたいなことを言うのに対し、月丘夢路のほうは“回数券なんて使い切ったらまた買えばいい”みたいなことを言う、そんな対話はリアルでした。八木保太郎が発明した会話ではなく、永井龍男の原作にある台詞かも知れませんが…。
月丘夢路のパトロンは、声が一瞬聞こえるものの(三津田健っぽい)顔は一切出さないあたり、中平康演出の洒落た味付けだと思う一方、例えば葉山良二が、岡田真澄を脅そうとしていた草薙幸二郎と決闘する羽目になり、その決闘に向かう場面で斜めの構図が採用されるあたりは、紋切り型の演出でしたが、逆に、南田洋子が起き抜けにふと思い立ち、自転車で葉山良二の家に押し掛けて、焼き鮭を半分ずつにした朝食を葉山と一緒に摂る場面の途中、立て掛けた自転車の横に佇む子猫をさりげなく捉えたショットなど、素晴らしいと思いました。
50年代の中平康のセンスが随所で光る映画ではありました。

2018/06/05

2018/06/06

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『街燈(1957年、日活)』。おしゃれなワルツの曲が心地よい。音楽は佐藤勝。細川ちか子、山岡久乃のセレブ二人組が面白い。波風立てるのが大好き。中原早苗が岡田真澄の長屋に行った時の子供たちの声にバカ受け。「変な奴が来たぞ」・・・。小沢昭一は学生服が似合う。北林谷栄のマスク。