日蝕の夏

にっしょくのなつ|----|----

日蝕の夏

レビューの数

4

平均評点

63.7(9人)

観たひと

12

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 文芸
製作国 日本
製作年 1956
公開年月日 1956/9/26
上映時間 87分
製作会社 東宝
配給 東宝
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督堀川弘通 
脚色石原慎太郎 
井手俊郎 
原作石原慎太郎 
製作金子正且 
撮影山崎一雄 
美術村木忍 
音楽佐藤勝 
録音保坂有明 
照明石川緑郎 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演石原慎太郎 三島直樹
平田昭彦 三島正樹
山村聡 三島浩三
三宅邦子 三島明子
司葉子 杏子
若山セツ子 妙子
本郷淳 礼一
高峰三枝子 節子
伊豆肇 浜崎
千石規子 寿美
田中稔 松井
桐野洋雄 山形
上村幸之 友見
椎原邦彦 小柳
佐藤充 武田
北野八代子 看護婦A
江幡秀子 看護婦B
岡豊 コーチ
津田光男 レフリー

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

“太陽”映画の原作者として話題を一身に集めた石原慎太郎が、別冊文芸春秋に発表した同名小説を「飯沢匡作「二号」より ある女の場合」の井手俊郎と共同脚色、自ら主演する話題篇。監督は「あすなろ物語」の堀川弘通、撮影は「現代の欲望」の山崎一雄。出演者は石原慎太郎に加えて「飯沢匡作「二号」より ある女の場合」の司葉子、「鶴八鶴次郎」の山村聡、「野郎ども 表へ出ろ」の高峰三枝子、「青春の音」の若山セツ子、「へそくり社員とワンマン社長 ワンマン社長純情す」の平田昭彦、その他伊豆肇、千石規子など。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

三島直樹の兄正樹は妙子と婚約していたが、父浩三の横槍で、一方的に婚約を破棄し、改めて由美子と婚約。以来、直樹と無二の親友だった妙子の弟礼一は、直樹に口を利こうともしない。幼な友達の杏子と久しぶりに顔を合せた直樹は、彼女に対する感情がかつての妹に対するような気持以上に進んでいるのを意識する。直樹はその後も相変らずモーターボートやオートバイで夏の生活に興じていたが、ある日のタ暮、三十五、六の美しい節子と知り合う。程なく、杏子が直樹の家を訪ねて来た。喜んだ直樹は、だが友人の武田やヨットクルーザの男達が彼女を見知っているらしい事実に不安になる。信州へ行くと立去った杏子も、実の処行かなかったらしい。何か取返しのつかぬ気持になった彼は、海浜のバーで仲間と共に気狂いじみたゲームのあげく、ホテルの節子の部屋で目を覚す。泥酔した彼を節子が運んできたのだ。以来、二人の仲は急速に進んだ。処が二人の訪れた那須のホテルには、高崎へ行った筈の父の車が止っていた。いぶかる直樹の前に現われたのは父に寄り添う妙子の姿。兄の婚約破棄の裏面を知った彼は以後、執拗に父親を憎む。そうした或る夜、節子と秘密舞踏会に出掛けた直樹は、仮面をつけて踊る杏子と礼一の姿を見、「お前の親父だって……」という礼一の言葉にうなだれるだけだった。家に戻った彼はガレージに入り、父の車の車輪のネジを全部外してしまう。翌朝、父の車が出た後、来客の気配に直樹は眼を覚す。窓から覗く母親の部屋には母明子と抱き合う男の姿。女中の話では情人とのつき合いは二年に及んでいる。父と母の反目は母に原因があったのだ。程なく、重傷を負い熱海の病院に収容された父の病床に駈けつけた直樹は、自分の仕業を告白。だが浩三は微笑を浮べるだけだ。直樹は到着した兄と入れ違いに、あてもなく海岸に出た。後から追って来た節子の車に拾い上げられた直樹は「何だかバカに睡いや」と呟いてグッタリとしてしまった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1956年12月上旬号

日本映画批評:日蝕の夏

1956年10月下旬号

石原文学と「日蝕の夏」:

1956年10月上旬秋の特別号

日本映画紹介:日蝕の夏

1956年9月下旬号

新作グラフィック:日蝕の夏

2017/06/09

2019/06/18

62点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


慎太郎が主演しています

 あの石原慎太郎が主人公を演じていることに驚き。この人にもかつては役者をやっていた時期があったのか。政界なんかに移るより、こっちの世界に留まった方が良かったんじゃない?させ、作品の方はというと、鑑賞当時のプリントの損傷があまりに激しく、コマ落ちなんかも目立って話について行くのに苦労した…。
 家族も、友人も、恋人も信用できなくなって慎太郎が自暴自棄に走る、みたいなストーリーじゃなかったっけ、確か?最後は絶望した慎太郎が砂浜に立ち尽くし、海を見つめているところで幕を閉じる。いずれにせよ、救いようのなさそうなラスト。
 本作は俗に言う「太陽族映画」。ただし、日活ではなく東宝の作品である。その出来は堀川監督にとって不本意なものになってしまったようだ。御本人が後に「失敗作」だとおっしゃっていたように、確かにあまり出来の良い作品とは思えなかった。この方にはこういうキザな青春モノは似合わないようだ。
 お父さん役は山村聰で、お兄さん役が平田昭彦。んで、平田の婚約者でありながら、山村パパと密かに付き合っていた女性が若山セツ子だった。この人は谷口千吉のふたり目の奥さん。しかし後に谷口に捨てられ、後年幾度か不幸に見舞われていくことになる。そんな彼女の運命を考えると、どうしても辛くなる。

2017/06/10

2017/07/10

55点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


飛ぶ鳥を落とす勢い

ネタバレ

ラピュタ阿佐ヶ谷の東宝特集、元都知事が原作・脚本・主演を担った「日蝕の夏」を初めて観ました。オートバイを乗り回す能天気なプチブル家庭の大学生・石原慎太郎が、打算的な兄・平田昭彦が婚約者を棄てて直ぐに金持ち娘に乗り換えたことに腹を立て、兄が棄てた婚約者・若山セツ子に同情を寄せるものの、なんのことはない、若山は兄・平田と別れたあと、慎太郎の父である山村聰の愛人の座に収まっていることを知り、父・山村への反発を強める一方、慎太郎が想いを寄せていた幼馴染・司葉子が、実は若山セツ子の弟で慎太郎とはラグビー部の仲間であった本郷淳と付き合っていることを知り、慎太郎は有閑マダム・高峰三枝子のツバメ役におちぶれる中、父・山村聰の浮気を知らぬ母・三宅邦子が可哀想だと思っていたら、その三宅も伊豆肇という愛人と口づけを交わしているところを慎太郎が目撃してしまい、その時には慎太郎は父・山村が運転する車の車輪が外れるようボルトを抜くという仕掛けをしてしまった後で、父・山村は慎太郎のせいで瀕死の怪我を負う有り様、といった具合に、お坊ちゃまくん慎太郎がひと夏の間に人生の痛みを味わうというお話。
ここでの石原慎太郎は、高峰三枝子の愛人役となるものの、彼女との愛欲場面が生々しく描かれるでもなく、東宝らしい健全ぬるま湯映画という枠内に収まっているあたり、スタジオのカラーが作品に反映するという当たり前の事実を改めて思い知るのですが、それにしても1956年の石原慎太郎は、5月に初映画化の「太陽の季節」が公開されたあと、6月市川崑の「処刑の部屋」、7月中平康の「狂った果実」、そして第4作で初主演を兼ねた「日蝕の夏」が9月公開、11月公開「婚約指輪」(松林和尚監督)で再び主演兼務、そして原作のみ提供の「月蝕」(井上梅次監督)が12月公開と、ほぼ半年間に6作が公開されるという、まさにそれこそ飛ぶ鳥を落とす勢いだったのでした。

2017/06/10

2017/06/12

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『日蝕の夏』。石原慎太郎主演。カミナリ族のようにバイクを乗り回す。裕福な家庭だが家族はバラバラ。水着姿の高峰三枝子は鞭を持った女王様みたい。お手伝い(千石規子)はすべてを知りながら知らないふりをしている、冷たい感じ。不良っぽく見せているが石原は真面目な考えの持ち主。湘南の海。

2012/02/28

2012/03/07

70点

映画館 


現都知事の豹変

#144 新文芸坐にて。
石原慎太郎が原作から脚本、主演までを担当した太陽族映画の一本。ノーヘルで湘南海岸をぶっ飛ばし、他人の迷惑も省みず酒場で大暴れする姿と、若者に説教を垂れる現都知事が同一人物とはどうしても思えない。問うべきは我より他になしと言いたい。