女真珠王の復讐

おんなしんじゅおうのふくしゅう|----|----

女真珠王の復讐

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レビューの数

4

平均評点

63.9(14人)

観たひと

21

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル アクション
製作国 日本
製作年 1956
公開年月日 1956/7/5
上映時間 89分
製作会社 新東宝
配給
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督志村敏夫 
脚色相良準 
松木功 
原案青木義久 
企画松崎啓次 
小野沢寛 
製作星野和平 
撮影友成達雄 
美術朝生治男 
音楽松井八郎 
録音片岡造 
照明秋山清幸 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演前田通子 香川夏岐
藤村昌子 母まさ
宇津井健 木崎芳男
三ツ矢歌子 妹雪子
藤田進 浅村健二
丹波哲郎 野口吾郎
天知茂 山内雄三
沢井三郎 石塚良平
芝田新 五味大助
宮原徹 坂巻銀次郎
菊地双三郎 のっぽの虎
遠山幸子 石塚の娘アキ
光岡早苗 戸田美代
保坂光代 青木蘭子
有田淳子 女事務員A
藤田博子 女事務員B
高村洋三 とんびの松
林寛 水野松左衛門
小倉繁 経理部長松井
山田長正 人事課長大林
石川冷 小使
若月輝夫 
村山京司 横田刑事
竹中弘直 沖刑事
国創典 警官吉川
有馬新二 殿村
倉橋宏明 捜査主任
築地博 ホテルボーイA
原聖二 ホテルボーイB
信夫英一 事務長

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

不正を憎む若人の、恋と冒険を描くアクション・ドラマ。“小説と読物”に掲載された青木義久の原案を、相良準と松木功が脚本化し、「続・君ひとすじに」のコンビ志村敏夫が監督、友成達雄が撮影を担当した。主な出演者は「続・君ひとすじに」の前田通子が抜擢されている他、「暴力の王者」の宇津井健、丹波哲郎、「思い出月夜」の三ツ矢歌子、「銀蛇の岩屋 (前後篇)」の藤田進、他に天知茂、新人宮原徹など。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

三信貿易の社員木崎芳男が箱根に養生中の社長に重要書類を届けて帰った夜、社長は何者かに殺され、さらに数時間後には会社の金庫から現金千五百万円が紛失した。その日、社長の部屋に入ったのが木崎一人であることから嫌疑は彼に掛り、木崎は浅沼専務に同行渡米する恋人香川夏岐を見送った直後、逮捕された。同時に洋上を走るシビリア号にも、夏岐を殺人共犯容疑者として拘束せよとの急電が届いたが、彼女に好色の眼を向ける浅沼専務は、自分の証言で事はどうでもなると夏岐を説きつけようとした。だが夏岐は、木崎のポケットにあったという金庫の鍵は専務が持っていた筈と不審を抱いた。夏岐は浅沼の手を逃れるはずみに足を踏みはずし、激浪の中に姿を没した。南海の孤島に打ち上げられた夏岐は、同じく漂着していた難破船の乗組員五人に救われた。孤島では彼女をめぐり異様な生活が始った。男達は夏岐を争い、揚句の果て、石塚老人及び彼の娘アキと結婚する筈になっている山内雄三、そして夏岐の三人が残った。だが或る日、海底に潜った夏岐は真珠貝の宝庫を見出した。数年後、外国船に助けられた夏岐は変名し、真珠王ヘレン・南として日本に戻った。恋人木崎は今だに拘置所生活、妹雪子や両親も冷い眼で見られていると知った夏岐は、雪子に真犯人を見つけだすと誓った。調査の末、今は三信貿易の社長に納る浅沼と子分野口が会社乗っ取りの陰謀をめぐらし木崎を陥入れたことが判明した。夏岐は孤島生き残りの二人の手を借りて浅沼の事業を妨害した。だが浅沼の疑惑で野口が夏岐の素姓を見破った日、真相を妹に聞いて復讐の念を燃やした木崎が突如、脱獄した。夏岐と対決した浅沼と野口は数々の証拠に、今はこれ迄と拳銃をつきつけたが、そこに飛び込んで来た木崎に倒された。復讐を成し就げた夏岐と木崎は、今は晴れて抱き合った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1956年9月上旬号

日本映画批評:女真珠王の復讐

1956年7月下旬号

日本映画紹介:女真珠王の復讐

2023/11/13

2023/11/13

-点

映画館/東京都/新文芸坐 

『女眞珠王の復讐』。流れ着いた南海の孤島は真珠の宝庫だったというトンデモ設定。会社秘書(前田通子)が海女の心得があったとは。前田のセクシー場面多数。水中撮影シーンもある。悪役系の澤井三郎は前田を助ける善人役。丹波哲郎の役名は野口吾郎。消音機なしで拳銃撃っちゃダメでしょ。

2010/07/21

2020/11/18

65点

選択しない 


前田通子の女巌窟王

 貿易会社の社員・木崎(宇津井健)は、専務の浅沼(藤田進)に頼まれ、書類を社長に届けます。その晩社長は何者かに殺され、更に会社の金庫から1500万円が盗まれるのです。容疑は木崎にかかり逮捕され、金庫の鍵を預かつたとして木崎の恋人・夏岐(前田通子)も共犯と目されました。

 これは浅沼が初めから仕組んだ芝居で、子分の野口(丹波哲郎)が木崎に扮しワザと目撃されるやうに細工したのであります。浅沼は邪魔な木崎を葬り、夏岐を自分のモノにせんと企んでゐたのでした。夏岐は浅沼の渡米に同行させられ、船上で襲はれます。夏岐は逃れる際に誤つて海に落ちてしまひます。

 無人島に流された夏岐は、五人の男に救はれます。彼らも難船してこの無人島に漂着してゐたのです。夏岐を巡つて彼らは対立、彼女をモノにしやうと迫るワルを、正義漢・雄三(天知茂)が救ふのです。そして夏岐は海底で大量の真珠貝を発見します。
 その後外国船に助けられた夏岐は真珠貝で財をなし、ヘレン南と名乗り雄三と共に日本に凱旋帰国するのであります。死刑が決まつた木崎を救ひ、浅沼たちに復讐をする為に......

 新東宝の大蔵貢は社長に就任するや、それまでの文藝路線を捨て、大衆に受ける俗悪な作品を連打しました。前田通子をヴァンプ女優として抜擢、当時は乳首を出すのは御法度だつたので、ぎりぎりの水着で助兵衛男どもを煽つたのです。そして後ろ姿ながら、日本の女優が初めて全裸を晒すシーンにも前田は果敢に挑戦しました。 
 当然俗悪な映画として「良識派」からは叩かれましたが、客が入つてナンボだと開き直る姿勢を示し、まあ個人的にはこれも一つの選択であらうと存じます。

 作品自体は前述の如く、女モンテクリストの物語であります。役者も案外揃つてゐます。前田の恋人に宇津井健、妹に三ツ矢歌子、協力者に天知茂、ワル側の専務に藤田進(こんな純然たる悪役は珍しいのでは?)、その手下に丹波哲郎といふ塩梅。
 まあ、暇があれば観ても良いかな、といふところか。わたくしのやうな新東宝映画愛好家なら必見と申せませう。

2017/09/23

2017/09/23

65点

レンタル/北海道 


女性版モンテクリスト伯

ネタバレ

 一言で言えばモンテクリスト伯の女性版で、恋人(宇津井健)が無実の罪で刑務所に入れられ、ヒロイン(前田通子)は上司(藤田進)に船の上で襲われそうになって海に転落するが無人島に流れ着き、そこに漂着していた漁師(天知茂)に助けられて真珠を見つけて大富豪になる。日本に帰った彼女は恋人を陥れた犯人に復讐を開始する。藤田進が悪役をやっているのが珍しい。前田通子は孤島へ流れ着いてからは最小限の布を身に着けただけで襲ってくる男たちから逃げ回るが、一瞬乳首が見えるシーンがあった。三ツ矢歌子も出演しているが私は全く気が付かなかった。

2016/06/23

2016/09/09

80点

映画館/東京都/神保町シアター 


見えそうで見えない

神保町シアターの天知繁特集にて、TVでは観たことがあったもののスクリーンでは初めてだった前田通子の出世作「女真珠王の復讐」を観ましたが、お話はご都合主義の塊ながら、無駄な贅肉のない簡潔な作りが、ある種の古典的佇まいを持っているとは思え、特に前田をスターダムに押し上げた、あの孤島の浜辺で横たわる裸身は、やはり神々しく見えました。
1956年夏に公開された「女真珠王の復讐」の前田通子は、砂浜の水辺にうつ伏せで気を失い、背中は露出して胸は砂に埋まる一方、お尻は薄い布が掛かるだけという姿が、モノクロ・スタンダード時代の精一杯のエロティシズム表現を実現しており、当時の観客を熱狂させました。
その1年後に公開された「禁男の砂」の泉京子は、上も下も布を纏っていながら、下着をつけていないので濡れた布から乳首が透けて見えるというふうに、前田通子のケースとは違ったエロティシズムが試みられており、60年代後半以降のオッパイ丸出し当たり前という時代と違って、50年代の裸は見えそうで見えないというギリギリを狙う工夫が凝らされており、観る者の想像力を掻き立てるのでした。