製作時期を考慮すると、なかなか良く出来た作品と思います。新東宝という枠内でのキャスティングに問題はありますが、原作が良いのか、物語の骨子がしっかりしています。
冒頭と終盤は裁判での法廷シーンとなっていますが、検察・弁護・判事のいづれも役作りがかなり甘く、特に検事と弁護士の質問内容はまるで立場が違っていて、論争の場とは思えないお粗末さ加減です。
それでも、最後まで格調を保てたのは、検事と被告という、立場に違いはあるものの、二組の似た境遇にあった兄弟愛の描写が秀逸であったからだと思われます。
ただ盛り上げる為とはいえ、名曲ではありますが「人生の並木路」をテーマ曲として何度も用いるのはベタすぎて、少し引いてしまいました。