天国はどこだ

てんごくはどこだ|----|----

天国はどこだ

レビューの数

9

平均評点

66.2(23人)

観たひと

34

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1956
公開年月日 1956/4/23
上映時間 91分
製作会社 新東宝
配給
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督松林宗恵 
脚本瀬川昌治 
企画本田延三郎 
小野沢寛 
製作星野和平 
撮影西垣六郎 
美術進藤誠吾 
音楽宅孝二 
録音中井喜八郎 
照明関川次郎 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演木村功 岡村健
泗水誠一 岡村滋
沼田曜一 古沢清
津島恵子 矢島昌子
織田政雄 矢島大造
田原知佐子 みどり
加藤嘉 塚田寅吉
織本順吉 中島棟二
阿蘇孝子 西原三枝
西村晃 万ガラの鉄
清村耕二 キスグレの秀
三村恭二 マンボの六郎
梅津栄 良助
高松政雄 井上
山川朔太郎 三島
和田愛子 やす
大沢幸浩 三平
橘田勇 
櫻井将紀 清一
岡竜弘 署長
山田長正 呑み屋の親爺
武村新 松村
邦千代子 焼芋屋の娘
倉橋宏明 基準署係員
広瀬康治 校長
信夫英一 現場監督

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「君美しく」の共同脚色者の一人、瀬川昌治のオリジナル・シナリオを、「風流交番日記」の松林宗恵が監督した、暴力否定の方向に新生面を拓こうという作品。撮影は、「社長三等兵」の西垣六郎が担当した。主な出演者は「雪崩(1956)」の津島恵子、木村功、「真昼の暗黒」の加藤嘉、「大学の武勇伝」の沼田曜一、「何故彼女等はそうなったか」の田原知佐子、「びっくり捕物帖 女いれずみ百万両」の阿蘇孝子など。プロ野球・国鉄の金田、町田両選手が、特別出演している。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

東京湾に面した貧民集落。この集落には、塚田組というヤクザの一団がいて、集落を暴力で牛耳り、住民は行動の自由さえ奪われ、牛馬のような生活をしていた。集落の施療所に赴任して来た古沢医師は、集落の実態を見て驚き、敢然と粛正に立上り、保育園の矢島昌子と一緒に、無気力な集落民の志気を鼓舞して歩いた。寝食を忘れた二人の努力が実り始めた頃塚田組の奸計で刑務所に入れられていた岡村健というヤクザが戻って来た。義侠心の強い健は、集落の実情が変らぬのを知ると再び塚田組に挑戦した。しかし、それ迄の生活体験から“暴力には暴力を”の信念を持った彼の凶暴な行動は逆効果を生み、集落民の生活はまた元に戻り、古沢医師の暴力否定の夢も空しかった。これではならぬと、健を恋する幼馴染の昌子の必死の願いで健は暴力を止め更生、塚田組の悪罵にも耐え懸命に働き、一方、古沢医師の奔走で塚田組の悪事の証拠固めが進むとともに、集落民は塚田組の暴力的使役から離れ海運会社の雇員にして貰うところまで漕ぎつけた。そうしたある日、健は塚田組の罠にかかり、振ってはならぬ暴力を振ってしまった。体面を汚すと集落民の全員は海運会社をクビになり、またも元の生活へ戻ってしまった。健を見る集落民の冷い眼、事情を知った健は怒りとともに塚田組を襲い幹部を次々と刺していった。古沢医師と昌子それに確証を握った警官隊が駈けつけた時は既に遅かった。自らを抑制できなかった健は「俺ァこんなことしか出来ねえんだ」と叫び続けるのだった。彼は再び刑務所へ、「いつまでも待つわ」という昌子の言葉を後に戻って行った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1956年5月下旬号

日本映画批評:天国はどこだ

1956年4月下旬号

新作グラフィック:天国はどこだ

日本映画紹介:天国はどこだ

2021/01/23

2021/01/23

88点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


背景には部落差別

 同じ松林宗恵監督の作品とは思えない(!)。殺伐としたアバン・タイトルがかなりショッキング。最初から最後まで、もう目が離せない。
 部落差別という深刻な社会問題を背景に、その出身者である若い男女の悲恋、ヤクザによる弱き者への制圧、法の力の限界等々を巧みに絡め、見応えある作劇を展開。人間が、真に人間として生きて行くとは、どういうことかを問う。
 同じ松林監督の「人間魚雷回天」(1955年)、鈴木英夫監督の「彼奴を逃すな」(1956年)等でお馴染み、木村功・津島恵子のペアの演技ももうすっかり熟練したような印象を受ける。特に木村が素晴らしい。ヤクザ稼業から足を洗い立ち直ろうとするも、とうとう自分自身の弱さに負けてしまい、追い詰められ、弱音を吐き散らす木村の名演は泣かせる。
 物語はユニフォーム姿の子どもたちが元気いっぱいに野球の練習をする場面で幕を閉じるが、決してハッピー・エンドにはなっていない。

2019/04/07

2019/04/09

-点

映画館/東京都/新文芸坐 

『天國はどこだ』。沼田曜一は診療所の医者役で正義感溢れる青年。木村功を慕う子供たちは意外に冷淡。金の切れ目が縁の切れ目。職安は大繁盛。求人に対して応募者が多数。津島惠子と木村功の恋人同士って別作品でも何回か見たような。貧民集落の住民の中に五月藤江らしきおばちゃんがいる。

2017/03/07

2017/03/08

72点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


松林宗恵は社会派だった

松林宗恵をリアルタイムで観たのが「恋の空中ぶらんこ」「喜劇 百点満点」「関白宣言」「連合艦隊」で、後追いで「社長」シリーズを観たものだから、本作を観て驚いた。暴力団が支配する貧困と搾取の部落を舞台に、正義感だけで融通の利かない青年医師と、ムショ帰りの暴力とカネで何でも解決できると思っているチンピラを主人公にした社会派ドラマ。ヤマサツが少し入っているが、子どもたちの描き方がイキイキしている。カネの切れ目が縁の切れ目と割り切るガキどもを乾いたタッチで描写する松林と瀬川昌治の脚本(兼助監督)が素晴らしい。

2017/03/04

2017/03/06

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『天國はどこだ』。沼田曜一がまさかの善人役。スワローズの金田正一がゲスト出演してるが、棒読み台詞が何とも言えない。田原知佐子(原知佐子)は露出度少ないがなかなかの美形。木村功は大人なのにガキ大将的。織田政雄のぐうたらおやじ、加藤嘉の親分はさすがにうまい。梅津栄は見つけられず。

2017/03/04

2017/03/04

60点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


泥濘の中

戦後10年経過したと思えないような、荒んだ東京湾岸のスラム地区の施療所に赴任してきた医師の古沢の眼を通して、地域を浄化しようと努力する過程が綴られる。
内容は古沢の周囲に現われる出所したてのヤクザも恐れないゴロ巻の健、健を更生させたいと心を痛める保育所保母の昌子の3人を軸にストーリーが展開してゆく。
本人も自覚して、改めようと何度も試みるも挫折してしまう健の荒ぶる心が痛々しく、破滅的な結末へと進んでいく。
出口の見えない地域で、泥沼にはまったように身を絡めとられ、結局以前よりも悪い結果に陥ってしまう非情さは、何が悪かったのか解らぬままになってしまった。

2016/03/13

2016/03/13

70点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


子どもは鏡

「貧民窟」で生きる難しさを子どもにとってのロールモデルという形で描きます。荒削りながら、佳作でした。

やっていることはやくざそのものだけど、地回りの本職とは敵対する男に木村功、外からやって来た若いインテリ医師に沼田曜一、木村功の幼なじみで幼稚園教師に津島恵子。

貧しい時代ゆえにおやつを食べさせたりただで映画を見せたりしているうちは慕ってついてきていた子どもたちがある時をきっかけ手のひらを返す様が残酷。子どもは大人の生き方を見て育つ。

子犬に石を投げて遊ぶような子どもたちを変えようと野球が登場。国鉄スワローズの金田正一投手が本人役で出演しました。