青春をわれらに

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青春をわれらに

レビューの数

3

平均評点

63.1(14人)

観たひと

19

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1956
公開年月日 1956/3/28
上映時間 98分
製作会社 日活
配給 日活
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督春原政久 
脚色笠原良三 
原作源氏鶏太 
製作岩井金男 
撮影永塚一栄 
美術坂口武玄 
音楽池譲 
録音酒井栄三 
照明三尾三郎 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演伊藤雄之助 南部友助
市村俊幸 南部周吉
斎藤美和 南部頼子
左幸子 南部美奈
森住修平 南部正二
鏑木はるみ ヒロヤ
坪内美詠子 明石八重子
東谷暎子 明石京子
宍戸錠 高井
フランキー堺 森山
平林義典 森山の弟
柳谷寛 山本
汐見洋 遠藤
鈴木三衛門 沼田
中山愛子 典子
植村進 二木
谷川玲子 看護婦A
星野晶子 受付の女子事務員
若原初子 旅館の女中
南寿美子 染丸
新井麗子 山田夫人
北林谷栄 朝倉女史
明美京子 朝倉女史の姪

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

週刊サンケイ連載の源氏鶏太の小説を、「ますらを派出夫会」の笠原良三が脚色し、「幼きものは訴える」の春原政久が監督「丹下左膳(1956)」の永塚一栄が撮影を担当した。主なる出演者は「ビルマの竪琴(1956)」の伊藤雄之助、「銀心中」の北林谷栄、「神阪四郎の犯罪」の左幸子、「港の乾杯 勝利をわが手に」の南寿美子、「裏町のお転婆娘」の坪内美詠子など。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

南部産業の前社長南部友助は有名なカミナリ親爺であった。現社長は息子の周吉で、孫娘の美奈は秘書をしていた。周吉は友助のカミナリを退散させるために朝倉女史との見合を計画し、歌舞伎座で二人は合ったが、社会事業家の女史が、友助にことよせて老人ホーム建設の話をもち出したので、若い気でいる友助は怒り出して計画はおじゃんになってしまった。ある日昔なじみの、小料理屋「八重」のおかみ八重子が友助の家を訪れた。用件は娘の京子の就職のことであった。美奈は建築家の高井青年に恋していたが、当の高井はビル改装工事のことで友助と大喧嘩をしてしまった。八重子の家に心も軽く出かけた友助は途中で京子に会い、恋仲の南部産業社員森山とのことを母に話してくれとたのまれた。八重子にその話をした帰り、友助は偶然朝倉女史の乗った自動車にはねとばされて病院にかつぎこまれたが、大事にはいたらなかった。幾日かたって八重子が家出をしたというニュースが入った。一方、高井青年に裏切られたという美奈の言葉に憤慨した友助は高井のもとに出かけ、二人はまたしても取組みあいの喧嘩を始めたが、結局友助が高井に背負われて帰って来る始末、しかも高井の裏切りは美奈の誤解だと判った。この日、京子からの電話で、八重子が伊豆にいることを知った友助は猟銃片手に出かけたが、彼女が別の男と結婚するときかされ、ひそかに彼女を対象として考えていた友助はゆううつになり自分の頭を殴りつけた。だがこれを機会に友助の心境は一変し、朝倉女史の言葉を思いうかべるのであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1956年6月上旬号

日本映画批評:青春をわれらに

1956年3月下旬号

日本映画紹介:青春をわれらに

2020/09/04

2024/01/01

75点

選択しない 


伊藤雄之助の熱演に尽きます

 源氏鶏太の同名小説の映画化であります。春原政久監督作品。脚本は笠原良三、音楽は池譲。
 南部産業の南部友助(伊藤雄之助)は、社長の座を娘婿の周吉(市村俊幸)に譲つたものの、依然として口うるさくカミナリを落すので周吉らは辟易してゐます。それで社会事業家の朝倉保乃(北林谷栄)と見合ひをさせるのですが、これが大喧嘩になつて失敗。

 その後料亭を営む明石八重子(坪内美詠子)から、彼女の娘・京子(東谷暎子)の就職の口利きを頼まれます。安請け合ひした友助でしたが、周吉は友助自身が決めた情実入社禁止に反すると断ります。さらに周吉の娘(友助の孫娘)・美奈(左幸子)の恋人で建築家の高井(宍戸錠)が、現在の社屋ビルは非効率的なので改装を考へてゐる事を知り、激怒します。今のビルは権威ある有名な建築家によるもので、それにケチをつけるのかとこれまた喧嘩になります。

 友助は八重子に会ひに行く途中で京子から、恋仲で南部産業で働く社員の森山(フランキー堺)との事を母に話して欲しいと頼まれます。その話を八重子にした後、今度は逆に相談を持ち掛けられます。彼女に気がある友助は自分に都合の良い解釈をして御機嫌です。その帰途、何とよりによつて朝倉保乃の運転する車に轢かれてしまひました。幸ひ命に別状はありませんでしたが、それから暫くして八重子が姿を消したとの知らせが入つたのです......

 伊藤雄之助が隠居した老人役で、当時の彼はまだ37歳くらゐと存じますが、全く違和感なくカミナリ爺さんを演じてゐます。理不尽に怒鳴り散らす様子から、可也嫌な男かと思ひきや、実に可愛らしい爺さんでした。源氏鶏太のユウモワ小説が原作なので、安心して見られます。

 振り回される市村俊幸、左幸子が五月蝿い彼の口を封じやうと北林谷栄を紹介するも、直ぐに喧嘩する。そして坪内美詠子に恋心を抱いて、家出した彼女を連れ帰る為伊豆まで迎へに行く。しかし彼女には結婚相手があり、一転して北林谷栄と最接近と忙しいのです。齢相応に落ち着いて欲しいものです。こんな人が実際に身近にゐたら困りますが、映画のキャラクタアとしては爆発力があつて愉快です。

 彼の周囲を固める、如何にも婿養子の市村俊幸、元気一杯の左幸子、豊頬手術前の宍戸錠、社会事業家の北林谷栄、伊藤のマドンナ坪内美詠子らも良い働き。フランキー堺は案外目立ちませんが。
 第一線を退いたらもう隠居、と云ふ時代に「青春をわれらに」とばかりに暴れる伊藤雄之助、改めて器用な役者だと感じた次第であります。

2023/06/10

2023/06/10

65点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


一代で会社を築き上げた前社長はワンマンで、いたるところでカミナリを落としては周りの者を戦々恐々させている。そんな男にも心を寄せる女性がいて・・・。オープニング早々はかなり嫌な老人に見えたが、物語が進むに従って愛すべき人物であることが分かってくる。木下恵介監督の「破れ太鼓」を連想させるカミナリ親爺ものだった。この時代の60代ってこんなに年寄りだったのか。

2020/05/03

2020/05/04

65点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


伊藤雄之助の老け演技。

ネタバレ

源氏鶏太の原作ながらサラリーマン喜劇ではなく、会社社長を引退して隠居生活のはずなのに元気すぎて家族も持て余すカミナリ老人の物語。主人公の老人役は当時まだ30代の伊藤雄之助が老けメイクで演ずる。会社を受け継いだ息子ことグータラ社長にブーちゃんの愛称を持つ市村俊幸。孫娘に左幸子、また彼女と恋仲になる青年には豊頬前の宍戸錠。

見合いでもさせたら大人しくなるだろうと本人に隠してお見合いをさせたら見合い相手(北林谷栄)と議論が高じて大喧嘩するといった始末。そんな彼も小料理屋の女将に娘の就職先を相談されたことをきっかけに急接近。ポーっとしていて車に撥ねられてしまう…

昔の会社を訪れては社員を集めて創立時の昔話をするといった行動が、「老害」などと揶揄される前の時代の物語。振られる結末もパターンとして予想はつくが、伊藤雄之助が恋をしてまた若者と喧嘩する様などが見られる人間喜劇。


(※ BD-R 録画 CATV 衛星劇場)