市川馬五郎一座顛末記 浮草日記

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市川馬五郎一座顛末記 浮草日記

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レビューの数

7

平均評点

71.3(20人)

観たひと

38

観たいひと

6

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1955
公開年月日 1955/11/15
上映時間 106分
製作会社 山本プロ=俳優座
配給 独立映画
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督山本薩夫 
脚色八住利雄 
原作真山美保 
企画浅野龍磨 
佐藤正之 
撮影前田実 
美術久保一雄 
音楽芥川也寸志 
録音安恵重遠 
照明平田光治 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演東野英治郎 市川馬五郎
津島恵子 市川弥生(けい)
松本克平 中村扇蔵
菅原謙二 市川吉次
福原秀雄 中村音蔵
花澤徳衛 市川弥太
上田茂太郎 坂東月太郎
江幡高志 市川伝助
佐藤茂美 大空ひばり
中村美代子 お民
小沢栄 玉木屋
仲谷一郎 朝田
高橋昌也 中村新之助
加代キミ子 美佐子
岸輝子 太田の婆さん
東山千栄子 楽屋番の女
岩崎加根子 田舎娘
島田屯 小屋主
田中筆子 おかみさん
浜田寅彦 沢田

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

真山美保の原作を「夫婦善哉」の八住利雄が脚色し「愛すればこそ」第三話の山本薩夫が監督、「太陽のない街」の前田実が撮影を担当した。主なる出演者は「名月佐太郎笠」の津島恵子、「珠はくだけず」の菅原謙二、「獅子丸一平」の小沢栄、「幼きものは訴える」の東野英治郎など。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

旅廻りの市川馬五郎一座。馬五郎には、おきゃんだが心の優しいおけいという養女がいた。おけいと一座の市川吉次とはお互いに惚れているが、口にはしかった。一座は玉木屋という悪興行師にあって、出演料も貰えず、貧乏のどん底におちてしまった。解散の一歩手前、炭鉱町に乗り込み座員の必死の呼込が効を奏して小屋は久々に満員となった。しかし幕を開けたとたんに炭鉱町はストに入り、そのどさくさに玉木屋は売上げの金を持ち逃げしてしまった。一座はストに入った組合と対立するが、組合員の温かい思いやりに心をうたれた。今まで古い義理人情の芝居の世界にのみ生きて来た一座の人々には、すべてが新しい人間愛をよびおこす交流であった。一座の者は、興行師の手を離れて、自分達だけの新しい出発に向うのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023/08/17

2023/08/17

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『浮草日記』。悪徳興業主に翻弄される旅役者の話。炭鉱組合員と協力し合って舞台を作る。興業主役は小沢栄でさすがにうまい。若かりし日の仲代達矢が組合員役で登場、台詞もある。少女歌手大空ひばり役の佐藤茂美はとっても可愛らしい。道路端に電車の軌道があるが、どこでロケしたんだろう。

2019/04/14

2019/04/15

77点

その他/ツタヤ渋谷、DVDレンタル 


山本プロ+俳優座+常磐炭鉱労組。

前半の、旅芸人一座の雰囲気が、ホントにいい。
東野英治郎と小沢栄太郎が並ぶと、ほんとに役者やのうと思う。
津島恵子さんは、見るたびに変幻自在だ。
舞台上で、私生活の恨みがでるところは、けっこう可笑しかった。

後半の、一座と炭鉱労組との合体は面白いのだが、ちょっと型通りか。
山本監督としては、こちらがホームグラウンドなのだが。

仲代達矢氏が、4つか5つ台詞を言う。
前年の「七人の侍」の《通りすがりの浪人役》がセリフ無しならば、本作が仲代氏の映画初セリフのようだ。

DVD特典では、高橋昌也氏の12分のインタビューがあるが、DVD発売時の収録とすると、83才で亡くなる半年前のものということになる。
死ぬまで役者、ほんとにすごい事だ。

1955年キネ旬9位。

2018/12/13

2018/12/13

70点

レンタル/東京都/TSUTAYA/代官山 蔦屋書店/DVD 


社会派旅芝居

社会派の山本監督らしからぬドさ回りの旅芸人一座だったが、最後は炭鉱のプロレタリアートと統合する社会派面を披露した。

2017/07/22

50点

選択しない 


大衆演劇から一転、社会派映画が山本薩夫らしい

 真山美保の戯曲『市川馬五郎一座顛末記』が原作。
 旅回りの芸人一座がヤクザな興行師に公演料ももらえず、不景気な炭鉱町で興行を打たされ、解散に追い込まれそうになるというのが前半の物語。
 座長に東野英治郎、娘に津島恵子、その恋人に菅原謙二、悪徳興行主に小沢栄太郎という布陣で、山本薩夫には珍しい大衆演劇を描いた娯楽作ながら、舞台を含めて手慣れた演出ぶりを見せ、ちょっと驚かされる。
 この一座が炭鉱町で売り上げを持ち逃げされ、労働組合の支援を受けるあたりから俄かに山本薩夫らしい社会派映画になっていく。
 初めは組合をアカだと毛嫌いしていた無学な座員たちが、組合員の労働教育の結果、搾取するのが資本家ではなくヤクザだという違いだけで、搾取される立場は同じだという階級意識に目覚めていき、同じプロレタリアート同士が連帯するという流れになる。
 組合が一座に労働劇の公演を依頼し、慣れない新劇を大衆演劇の台詞回しで演じるのがユーモラス。いささかプロレタリア臭が鼻に突くものの、山本の演出が冴える。
 一座が興行主の支配を断ち切って、自主公演に旅立つというラストとなる。
 組合員に扮する小沢昭一、仲代達矢が如何にもな感じで、ちょっとした見どころ。(キネ旬9位)

2017/04/26

2017/04/26

65点

レンタル/北海道 


連帯する貧しき者たち

  ドサ回りの芝居一座が悪徳興行主の搾取といじめに合い、無理やり炭鉱の町で興行させられる。客が来なければ一座は解散しなければならないので必死に客を集めたが、芝居の最中に組合がストに突入してしまう・・・。前半が旅の一座の悲哀が描かれる人情劇で、後半は貧しい者同士の連帯を呼び掛けるプロパガンダ映画風になる。水と油のような素材を巧みに繋ぎ合わせた作品だが、ちょっと違和感も覚えた。東野英治郎が人情家の座長を演じて素晴らしく、まだ殆ど無名だった仲代達矢がチョイ役で出ている。

2014/10/25

2014/10/25

85点

レンタル/DVD 


山本薩夫監督作品

市川馬五郎一座なるドサ回りを軸にして、市川馬五郎(東野英治郎)に居る座員(菅原謙二と津島恵子)や二枚目色男(高橋昌也)などを描きながら進んでいく物語だが、序盤はドサ回りの芸人たちを描いたものになっていたので「山本薩夫監督らしからぬ作品っぽいな」と思っていたら、後半は「さすが山本薩夫監督!」と思える以外な展開に…。

市川馬五郎一座が悪徳興行主(小沢栄)に搾り取られる様と、炭鉱における炭鉱主に搾り取られる会社員をシンクロさせながら、一座とスト社員の交流を描くあたりは素晴らしい。

スト社員の「貧乏人どうしが手を取り合って自分たちを守るしか無いんです!」という力強いセリフが心に響く。

小沢昭一、仲代達矢など、脇を固める俳優も見事であった。(俳優たちも皆若い!!)

なかなかの佳作であった。