幻の馬(1955)

まぼろしのうま|Phantom Horse|Phantom Horse

幻の馬(1955)

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レビューの数

5

平均評点

65.1(16人)

観たひと

26

観たいひと

1

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1955
公開年月日 1955/7/20
上映時間 90分
製作会社 大映東京
配給
レイティング 一般映画
カラー カラー/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督島耕二 
脚本長谷川公之 
島耕二 
企画塚口一雄 
製作永田雅一 
撮影高橋通夫 
美術高橋康一 
音楽大森盛太郎 
島耕二 
録音米津次男 
照明久保田行一 
色彩技術横田達之 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演見明凡太朗 白石弥助
若尾文子 雪江
遊佐晃彦 一郎
岩垂幸彦 次郎
柳永二郎 大西兵五郎
三宅邦子 萩野
北原義郎 時男
千葉直志 
千田是也 浜村
岡村文子 吉田
伊沢一郎 石川
二本柳俊夫 斎藤
山田一雄 村山
原田玄 尾崎
谷謙一 
荒木靜男 天野
小川虎之助 西山
八木沢敏 桜井
潮万太郎 為七
星ひかる 景正
酒井三郎 吉松
宮島健一 安田組合長
高堂国典 六造爺

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「お嬢さん先生」の島耕二と「皇太子の花嫁」の長谷川公之とが共同で執筆したオリジナル・シナリオを、島耕二が監督する大映カラー映画。撮影は「「春情鳩の街」より 渡り鳥いつ帰る」の高橋通夫、音楽は「悪魔の囁き」の大森盛太郎と島耕二の担当による。出演者は「娘の縁談」の若尾文子、「薔薇いくたびか」の北原義郎、見明凡太朗のほか、少年騎手の遊佐晃彦、本職の二本柳、山田騎手、荒木調教師などである。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

次郎の家の白石牧場でタケルが生れたのは、真白な冬の野原に朝日がさし始める頃だった。母親は千鳥という大人しい馬である。隣の大西牧場でもワカアラシが生れたところである。次郎の父の弥助も、姉の雪江も、又将来騎手になりたがっている兄の一郎も大喜びだった。大西の時男は東京の獣医学校を卒業して帰って来たので、彼と好き合っている雪江も嬉しそうである。大西牧場へは東京から競走馬を買いに来て、ワカアラシは買われて行った。その頃、近くの林が火事になり、千鳥と若草を喰べていたタケルは煙の中に巻きこまれた。弥助は火中に飛びこみタケルを救ったが、木の切株につまずいたのが因になって死んだ。やがてタケルも、騎手養成所に入る一郎と共に東京の石川厩舎に行くことになった。次郎は悲しかったが、タケルが立派な競走馬になるためと思って我慢した。やがて、中山競馬に出場したタケルは、あの恐しい山火事を思い出すらしく、どうも巧く行かなかった。一郎は騒音に馴らそうと努力していた。ダービイも近くなった時、厩舎の近くに火事がありタケルの様子が又変になった。介抱のために雪江は上京した。残された次郎もいたたまれず、保と東京へ来てしまった。ダービイの日、タケルは遂に一位となったが、腸の工合が悪くなり直ぐ死んでしまった。次郎はオイオイ泣いて、一等にならなくても生きていた方がよかったのにと、雪江や皆を責めるのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1955年7月下旬号

日本映画紹介:幻の馬

1955年7月上旬夏の特別号

新作グラフィック:幻の馬

2020/07/18

2020/07/24

70点

購入/DVD 


児童文学のような映画

大映社長の永田雅一の愛馬であり、日本競馬史に残る名馬トキノミノルをモデルにした映画。トキノミノルは十戦十勝し、ダービーで勝利した後に夭折した幻の馬。映画界で言えば、ジェームズ・ディーンのようなものか?本作はこのトキノミノルを偲んで永田雅一氏が制作した。
ワンマン社長の独りよがりの映画だろうと予想して観たが、これが意外と良く出来ている。良質な児童文学のような映画だ。北海道の白石牧場で生まれた馬タケルと、牧場の次男坊次郎の交流を軸に、牧場経営の難しさや競走馬の育て方、そしてそこでの人間たちの暮らしぶりを北海道の四季を背景に描いている。非常に素直で素朴な映画で好感が持てる。
起承転結しっかりとした安定感のあるシナリオも良いが、それよりも目を瞠るのは映像である。タケルが林で火事に巻き込まれるシーンはなかなかの迫力であり、それよりもすごいのが、ダービーのレースシーンである。日本中央競馬会協力によるこのシーンは、本物さながらの大迫力で、普段の競馬中継では見られないような角度からの映像もあり、必見だ。
子役たちの活き活きとした演技、デビューして間もない若尾文子の初々しさ、そして高堂国典をはじめとする脇を固める俳優たちの味のある演技、出演者たちも良い。そんな出演者たちの中に、本物の騎手や調教師も居り、正しく“真実は細部に宿る”である。本作は名作などといった大そうなものではないが、大変性格の良い映画と言える。
トキノミノルの死後、作家の吉屋信子が、
「トキノミノルは天から降りて来た幻の馬だ。競馬界最高の記録をうちたて、馬主にこの上ない栄冠を与えたまままた天に帰って行った。強く後世まで印象に残るだろう。」
という文章を残している。本作はこの吉屋信子氏の文章を映像にしたような、タケルが天に帰っていったと思わせるような美しい空を映して終わっている。そこに永田雅一氏のトキノミノルへの愛情を強く感じる。

2007/02/25

2015/12/30

50点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


永田だけのためのワンマン映画

島耕二はすべての作品がダメとはいわないが、これはいかん。長谷川公之も、彼に向いている題材ではないためか、いいとこなし。永田雅一のワンマン企画だが、児童映画的作風でいい映画を装っている感じが不快。

2015/08/03

2015/09/18

45点

映画館/東京都/角川シネマ新宿 


実話のほうが良かったのでは

 若尾文子映画祭で10数年ぶりに観た「幻の馬」は、もう一度観たいと思った訳ではなく時間的繋がりで観ることにした映画ですが、戦前の「風の又三郎」や「次郎物語」など児童映画に実績のある島耕二に、馬と少年の友情ものを撮らせるという狙いは分かるものの、馬が田舎の厩舎にいた頃に体験した山火事の記憶が、競走馬となった今も脳裏に蘇るなど、人間的な理屈を押し付ける点は閉口しました。
 「幻の馬」はそもそも、永田ラッパが馬主だったダービー馬“トキノミノル”が、キャリアの絶頂期に病気で急死したことを受けて、そのトキノミノルを偲んで作られた映画でしたが、実話ベースの話にするのは余りにも手前味噌だと思ったのか、少年と馬の友情ものに脚色しており、実話と離れ過ぎていることが逆効果だったように思います。島耕二としては、少年ものに翻案することで、己の得意な世界観に引き寄せたかったのかも知れませんが、素直にトキノミノルの実話を映画化したほうが良かったようにも思えます。

2014/04/16

2014/04/16

50点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


若尾文子が出演しているというだけの「つまらない映画」

2014年4月16日、京橋フィルムセンターで鑑賞。(「日本の初期カラー映画」特集上映)

若尾文子が出演しているというだけの映画であった。
笑えないジョークは滑りまくっているし、いかにも善人どうしのエピソードもありきたり…。。。
はっきり言って、全く面白くない作品で、若尾文子ファンしか観る価値ない残念な映画。
この後(1959年)に製作された『花の大障碍』があるが、馬中心の映画ということで本作と『花の大障碍』は似ている感じだった。

四季が移り変わる前半シーンが約1ヶ月で撮影されたというのはやや驚き、また山火事シーンは迫力あった。
しかし、如何せん物語がつまらないのは致命的。

「未ソフト化作品」というのも納得。

2012/12/03

2013/07/05

66点

映画館/大阪府/梅田ガーデンシネマ 


大映映画

今回の大映映画特集は渋い選定です。この映画は初めてだと思います。難しい題材をきっちり見せる。大映の底力ですね。