悪魔の囁き

あくまのささやき|Whispers of the Evil|----

悪魔の囁き

レビューの数

4

平均評点

58.7(17人)

観たひと

25

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1955
公開年月日 1955/5/31
上映時間 91分
製作会社 新東宝
配給
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督内川清一郎 
脚本川内康範 
原案植草甚一 
製作金田良平 
撮影河崎喜久三 
美術黒沢治安 
音楽大森盛太郎 
録音道源勇二 
照明矢口明 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演中山昭二 平田哲夫
筑紫あけみ 久美陽子
上原謙 大山晴久
角梨枝子 朝子
二木まこと 大山マコト
二木てるみ 村越啓子
永井智雄 村越甚吉
細川俊夫 杉山警部
舟橋元 中塚刑事
丹波哲郎 中年者
荒川さつき 谷あき子
松本克平 田中
天知茂 黒眼鏡の男
五月藤江 婆や
若杉須美子 伊藤トモ子

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

植草甚一の原案により「のんき裁判」の川内康範が脚本を執筆、「一寸法師(1955)」の内川清一郎が監督するスリラー。撮影は「春色大盗伝」の河崎喜久三、音楽は「猿飛佐助」の大森盛太郎の担当である。主なる出演者は「慈悲心鳥」の中山昭二、「のんき裁判」の角梨枝子、筑紫あけみ、上原謙(母の曲)、子役に二木まこと、二木てるみのほか、荒川さつき、細川俊夫など。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

イヤホンによる囁く男の犯罪が全都を恐怖に包んでいた。大山晴久は幼稚園を経営し、妻なき後子供のマコトと暮していたが、離れには大山が何かと面倒を見ている平田が居り、平田は幼稚園の先生である久美陽子と恋仲であった。ところが或る日、幼稚園からアパートに帰って来た陽子は、突然背後から何者かに掴まれた。何も知らぬ平田はその頃陽子と約束の喫茶店で待っていたが、ボーイが持って来た陽子からの手紙を見て蒼くなってアパートへ駆けつけた。しかし陽子の室は空であって、隅に木箱に入ったイヤホンがあった。そのイヤホンは平田に、彼の勤める博物館にあるチベットの古仏像を持って来る様に命じた。囁く男の残忍性を恐れた平田は、陽子を救い出す一念で、その古仏像を盗み出し指定された新宿駅西口へ持って行った。そして約束通り陽子はアパートへ帰されたのであった。しかし平田は行き違いになって陽子に会うことができず、囁く男に云われた「アルル」という美容室に行ったが、そこで妖艶な美容師朝子に籠絡され彼らの一味にされかかった。だが美容院に働く谷あき子という女性の殺害をはじめ、囁く男の残忍さは益々その極に達し、遂に平田もそれへの挑戦を決意した。だが遂に彼の前に姿を現わした囁く男とは、師とも仰ぐ大山だったのである。月島桟橋で二人は対決した。見つめる陽子と朝子、路上に展開する死闘、そして最後にキャデラックに乗った大山は列車に衝突して自滅したのであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1955年8月上旬号

日本映画批評:悪魔の囁き

1955年6月上旬号

日本映画紹介:悪魔の囁き

2018/09/02

2018/11/29

65点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


なぜかついつい惹き入れられてしまう

シネマヴェーラ渋谷の新東宝特集で初めて観た「悪魔の囁き」は、何やら電波を使って現金受け渡しの指示を出す営利誘拐犯で、劇中では“囁く男”と呼ばれる犯罪者を巡るミステリで、「月光仮面」の作者である川内康範の脚本が行き当たりばったりの代物ながら、原案にクレジットされているのが植草甚一だという点がミソの、珍品中の珍品でした。
「悪魔の囁き」は、冒頭、スピード違反の摘発をしていた警察官が、崖から落ちてくる傘を見つけ、傘の持ち主のところに注意しに行くと、その男は死んでおり、現場検証の警視庁捜査員・細川俊夫と舟橋元が、被害者の耳にイヤフォンが付けられ通信機器入り小箱を持っていたのを見つけ、犯人は“囁く男”だと断定する形で始まります。
メインタイトルとクレジットに続いて、やはりイヤフォンと小箱を持った松本克平が東京駅の公衆電話ボックスで、殺された娘を発見する展開となりますが、冒頭の事件にせよ、二番目にせよ、殺しまで行う必要があったとは思えず、まあ事件を派手に見せたいだけの小手先芸だとすぐに底が割れます。
映画はこのあと、幼稚園の園長・上原謙や先生・筑紫あけみが登場し、筑紫が“囁く男”に誘拐される事件が起き、筑紫の婚約者で美術館職員の中山昭二が事件に巻き込まれる展開となった上、“囁く男”の協力者・角梨枝子も登場すると、観る側には犯人の想像がついてしまい、ミステリーとしても底が割れます。
底が割れた話を荒唐無稽に展開させるばかりですから、愚作と断じてしまえば良い代物ながら、なぜかついつい惹き入れられてしまうのは、ガキの頃「月光仮面」や「エイトマン」に惹かれてしまったような川内康範の力の成せる業か、豪華役者陣の芝居ゆえか、内川清一郎が巧いのか、わたくしには判断できません。

2018/09/03

2018/09/03

55点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


サスペンス洋画に匹敵

原案が植草甚一らしく、西洋サスペンスの雰囲気を持っていますが、小道具と言い、人間関係になると日本色がモロ出しです。
指令を受ける受信装置のチープさは、小型化のイメージが湧かない当時としては精一杯でしょう。そういえば鉄人28号を操縦する正一クンの発信器も両手を使うしっかりとした大きさがありました。
他にもアイデアは色々あって楽しめ、あの黒澤明の「天国と地獄」の8年前に、走行列車の窓から盗品を投下させるというトリックを使っているのは大したことだ!

2018/09/02

2018/09/03

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『悪魔の囁き』。パーソナルな無線機を使った誘拐事件が多発。ユニークなアイデア。走る電車から身代物を投げ落とすのは「天国と地獄」より本作が先。実際の車両でロケをしているので迫力あり。囁く男の声はドクロベエ様こと滝口順平(クレジットあり)のような気がする。あの人が真犯人とはびっくり。

2016/02/24

2016/02/24

62点

テレビ/有料放送/チャンネルNECO 


昭和30年の東京

中山昭二を主演にキャスティングはなかなかの顔ぶれ。
原案を植草甚一が担当した唯一作で、脚本は川内康範。
怪談染みた音楽を含め、この時代としては上々のミステリ。
無線を利用し、一般人に片棒を担がせるギャング団。
「天国と地獄」の身代金受け渡しのルーツも。
全体的に海野十三作品を想起させる。