鶏はふたたび鳴く

とりはふたたびなく|----|----

鶏はふたたび鳴く

レビューの数

7

平均評点

67.4(18人)

観たひと

27

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1954
公開年月日 1954/11/30
上映時間 118分
製作会社 新東宝
配給
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督五所平之助 
脚本椎名麟三 
製作内山義重 
撮影小原譲治 
美術下河原友雄 
音楽黛敏郎 
録音根岸寿夫 
照明折茂重男 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演佐野周二 通称世ン中
佐竹明夫 通称御落胤
渡辺篤 通称学者
坂本武 通称バクさん
中村是好 通称サアさん
南風洋子 時田ふみ子
小園蓉子 万代陽子
左幸子 岬谷子
伊藤雄之助 鞍馬義夫
東野英治郎 時田時之助
三好栄子 東山たか子
沢村貞子 万代きく
飯田蝶子 前田まつ
柳谷寛 ヨーさん
小高まさる 時田家の常吉
谷麗光 池田刑事
小倉繁 きくの旦那
杉寛 谷子の父
小峰千代子 別宅の老婆

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「煙突の見える場所」、「愛と死の谷間」のコンビ、脚本椎名麟三、監督五所平之助の第三作で、「愛と死の谷間」の小原譲治が撮影に当る。出演者は「人生劇場 望郷篇 三州吉良港」の佐野周二、「東尋坊の鬼」の左幸子、「和蘭囃子」の南風洋子と小園蓉子のほか片桐余四郎改め佐竹明夫など。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

天然ガスの噴出が止ってから急にさびれた南房州時の岬を復活させようとガスの試掘を始めた前田隆一は、事業に失敗し自殺した。母親のまつは、隆一は時田ふみ子に求婚を断られたので自殺したと思っていた。石油労働者世ン中、御落胤、学者、バクさん、サアさんは友達からの新らしい油田発見の知らせを待ち望みながら試掘井で働いていた。ふみ子の父時之助は、妻が駈け落ちして以来偏屈になり、町の人の物笑いの的になっていた。万代陽子は、好色な母親に対するのと同じ眼で町の人に見られるのを苦にしており、岬谷子は、幼い時の病気の為ビッコになり暗い性格になっていた。ふみ子、陽子、谷子の三人は、自分こそ一番不幸だと思い、また互に同情し合い一緒に自殺する約束をしていた。或る日、世ン中達の五人仲間に慰さめられたふみ子は彼等の持つ友情と、石油に対する情熱を知り、彼等の為に石油を出してやりたいと願った。時之助は腹を立てたが、ふみ子は五人仲間特に世ン中と親しくなった。ふみ子、陽子、谷子は石油の発掘に来たという鞍馬義夫に会った。人目を忍ぶという彼を陽子の家の離れに泊め、鞍馬をせきたてて、五人仲間と一緒に発掘作業を始めさせた。三人は次第に不幸を忘れ生きる望を持ち始めた。鞍馬は五百万円の拐帯犯人だったが、真剣な五人仲間の姿を見ると、自らを恥じて、罪を告白し海に身を投げた。その時、爆発音と共に温泉が噴出した。観光地になった町を去る五人仲間が、トラックに乗り込んだ時、ヨーさんがふみ子を自転車にのせて世ン中に送りとどけた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2024年3月号

COMING Old Pictures 旧作紹介:「鶏はふたたび鳴く」

1955年新年特別号

日本映画批評:鶏はふたたび鳴く

1954年増刊 名作シナリオ集(冬)

グラフィック:鶏はふたたび鳴く

鶏はふたたび鳴く:脚本・椎名麟三 五所平之助監督作品

1954年11月下旬号

グラフィック:鶏はふたたび鳴く

日本映画紹介:鶏はふたたび鳴く

2022/10/05

2022/10/05

55点

映画館/東京都/神保町シアター 


 

2022/10/01

2022/10/01

60点

映画館/東京都/神保町シアター 


劇場鑑賞2回目

 ありもしない石油を放ることに熱中する佐野周二たちとの交流を通してヒロイン・南風洋子が生きることの素晴らしさに目覚めて行く過程が良く描かれているが、如何せん面白みに欠ける作品になってしまったことは否めない。市井の人たちの人間模様を描くことに長けていた五所監督のまなざじ、恵まれない者たち、幸福の薄い者たちへの人間愛を感じないのだ。それは同年の日活作品「愛と死の谷間」もしかり。
 石油は掘れなかったが温泉は掘れた、にもかかわらず佐野たち石油労働者は除け者扱いされて秋田へと旅立っていく、という何とも苦労が報われないラストも、後味の良いものではない。鳴かなかった鶏が鳴いてくれても晴れ晴れとしない幕引きである。ところで物語の舞・台時の岬は南房州にあるという設定で、私の地元(鴨川)もそのエリア内にある。もっともこれは余談なのだが。

2018/12/02

2019/03/24

62点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


虚しい努力

 3人のヒロイン(南風陽子・左幸子・小園蓉子)は互いに同情し合い、一緒に自殺する約束をしている。ところが途中でその自殺を断念する。何故そうなったのかがわかりにくかった。石油の採掘に来たと偽る伊藤雄之助の登場、遅くはないか?もっと早く登場しても良いと思う。
 結局石油は出てこなかったが代わりに温泉が湧いた。しかしせっかくの手柄も飯田蝶子に横取りされ、試掘所で懸命に働いていた佐野周二たちは町を出て行くことになる。虚しい努力であった。
 やはり本作は南風洋子に品があり、とても美しかった、という印象が強い。町の人たちから白い目で見られる薄幸な南風を温かく受け入れる佐野たちのやさしさも胸に沁みる。

2018/12/02

2018/12/04

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『鶏はふたたび鳴く』。どこかの海辺の街のできごと。場所は特定されない。油田堀りの櫓の回し車は何のためについているんだろう。ただ回しているだけで回転運動を利用している様子はない。いき雄ちゃん、クレジットは「沢村い紀雄」名義。飯田蝶子は、嫌なお婆。三好栄子のずり下がった靴下。

2018/02/16

2018/02/16

-点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 

『鷄はふたたび鳴く』。舞台の町はどこかは明らかにしない。時田時計店、店内にたくさん時計が並んでいるが時刻はバラバラ。三好栄子のインパクト大。ストッキングがずり落ちていたのをたくし上げるシーンは最高。ガーターベルト使えばいいのに。小園蓉子の往診に来た医者はいき雄ちゃんに違いない。

2018/02/16

2018/02/16

70点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


山師にもこころざし有り

戦後の不況が続く中、有ったにしろ大した埋蔵量も望めない天然ガスを掘り当てようとしている5人の流れ労働者。
錆びれた海沿いの町にバラック小屋に起居して先が見えない作業を続けます。

町に住む娘3人は、お互いに不幸を一人で背負っていると思っていて互いに気が合い、死ぬときは一緒とロケットに忍ばせています。

そこに自称石油技師と名乗る男が現われ、5人の男と3人の女は信用し、期待をもって技師に付きまといますが男の正体は横領犯。
捕物騒ぎの最中に何と温泉が噴出しますが、地主にささやかな礼金を渡されただけでお払い箱となります。

束の間の夢を見た人々が、失っていた希望を取り戻し、生きる意味を見出す物語を、芸達者の俳優陣がユーモラスに演じてくれる佳作です。