女人の館

にょにんのやかた|----|----

女人の館

レビューの数

2

平均評点

56.9(9人)

観たひと

14

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1954
公開年月日 1954/11/23
上映時間 98分
製作会社 日活
配給 日活
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督春原政久 
脚色井手俊郎 
原作白川渥 
製作藤本真澄 
金子正且 
撮影伊佐山三郎 
美術小池一美 
音楽黛敏郎 
録音沼倉範夫 
照明森年男 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演東山千栄子 丹野夫人
尾棹一浩 丹野周一郎
北原三枝 丹野万津子
三國連太郎 矢田八郎
水の江滝子 江木高代
関千恵子 風巻シズ
山本和子 南部光江
小田切みき 木村千代
小峰千代子 婆や
東野英治郎 井野川社長
岸輝子 井野川鉄子
馬淵晴子 芝山順子
千田是也 住職
松本克平 校長

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

読売新聞に連載された白川渥の原作を「晩菊」の井手俊郎が脚色し、「その後のウッカリ夫人とチャッカリ夫人」の春原政久が監督に当る。撮影は伊佐山三郎が当る。出演者は「泥だらけの青春」の三國連太郎、「えくぼ人生」の北原三枝、「愛人」の尾棹一浩のほか、関千恵子、岸輝子、千田是也など。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

周一郎が上京したあと、丹野家は丹野夫人、周一郎の許嫁万津子、画家の江木高代、風巻シズ、大学の研究室に勤めるインテリ南部光江、婆やと全く女だけになった。或る日、周一郎の学校長の紹介で、瀬戸内海の孤島から来たという矢田八郎が二カ月契約で強引に住み込んだ。江木高代はすぐ八郎と飲友達になったが、万津子は八郎とよく口論した。或る夜怪しい男が風巻シズの部屋をうかがっているのを八郎が発見したことから、彼は信額の的となった。井野川鉄子はシズと井野川社長の関係を知り、丹野夫人を通して八郎に見張役を命じた。高代が東京のデパートで個展を開いた時、周一郎が芝山順子をつれて訪れた。また周一郎が風邪をひいた時、順子が看病をした。これを聞いた丹野夫人は大急ぎで万津子を上京させた。万津子は危険な近親結婚をやめるのが本当の愛情だと周一郎にさとされ、淋しく帰郷した。契約日数が過ぎ、八郎は近くの海光寺の住職の許に移ったが、夜廻りは続けることになった。ある夜、八郎につかまった井野川社長は、鉄子夫人の手前、シズを彼女の愛人岡田と強引に結婚させた。丹野夫人と万津子が海光寺に行った時住職と八郎が夫人を住職の、万津子を八郎の妻にすると話し合っているのを聞き憤慨したが、万津子はつい八郎の夢に引き入れられて八郎を自分の夫にと思うようになった。二人が家へ帰った時、意外にも南部光江が恋人と抱きあっている姿がみられた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1955年1月下旬号

日本映画批評:女人の館

1954年11月上旬号

日本映画紹介:女人の館

1954年10月下旬号

グラフィック:女人の館

2018/09/16

2022/12/28

65点

選択しない 


北原三枝の日活移籍第一作

 1954年製作・公開の「女人の館」。北原三枝(NDT➡松竹➡日活)の日活入社第一作目ださうです。春原政久監督作品。白川渥の原作を井手俊郎が脚色しました。音楽は黛敏郎。助監督に古川卓己。

 神戸・丹野家の屋敷は、跡取り息子の周一郎(尾棹一浩=野村浩三)が就職の為上京したので、女ばかり六人の館となりました。外交官の夫に先立たれた丹野夫人(東山千栄子)、周一郎の従妹で許婚の万津子(北原三枝)、男言葉を駆使する画家の高代(水の江瀧子)、男性関係が少々だらしない風巻シズ(関千恵子)、大人しく目立たないインテリの南部光江(山本和子)、それに婆や(小峰千代子)の面面。

 そんな丹野家に、周一郎の学校長(松本克平)の紹介で、瀬戸内海の小島から来たと云ふ矢田八郎(三國連太郎)なる若者が住み込む事になります。当初は女性だけの館に男なんて怪しからんと、皆から猛反対を受けますが、新たな宿を探すまでの間と云ふ事で、二カ月間の約束で許可を貰つたのです......

 原作は読んでゐませんが、戦後の新しい時代を背景に、女性六名が夫々の生き方を模索する姿を描いたものださうです。映画では、いとこ同士の近親婚問題とか、朝鮮人差別意識とかが遠慮なく描かれてゐました。北原三枝と尾棹一浩がいとこ同士ながら許婚の関係で、東山千栄子は是非とも結婚して欲しいと考へてゐます。躊躇ふ北原に対し、劣性遺伝を気にするなら子供を作らない選択肢もあると云ひ放ちます。一方尾棹は東京で同僚の馬淵晴子と良い仲になつてゐます。因みに尾棹一浩は野村浩三の本名であります。大怪獣バラン。

 北原三枝の美しさが際立ち、石原裕次郎がファンになるのも頷けるのであります。裕次郎は否定してゐるけれど、「処刑の部屋」を蹴つて「狂った果実」に出たのは、矢張り共演が北原三枝だつたからではないのかと思つてしまふのでした。三國に対する想ひの変化を上手く表現しました。
 そして三國連太郎。全体にコメディ演技で難しい役どころと存じますが、流石にこの時期になりますと演技もセリフも安心感があります。田舎者で、女性にはオクテなのかと思はせ、しつかり北原の心を掴む過程が見ものでせう。

 設定は面白さうなのに、そして各キャラも立つてゐるのに(住職の千田是也、社長の東野英治郎らは絶品)、どうも画面が平板に感じます。演出力の問題なのでせうか。女性の生き方問題とか主人公たちの恋愛物語などがごつちやに詰め込まれて整理されてゐないやうにも感じました。それでも名優たちの演技が光つてゐますので、それらを愉しむ事にしませう。
 尚、東野英治郎の妻役は、各種デエタやポスタアでは「岸輝子」となつてゐますが、実際は「村瀬幸子」であります。

2012/12/14

2014/07/11

30点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


今イチ弾まない

フィルムセンターの日活創立100年記念特集で上映された春原政久監督「女人の館」は、藤本真澄プロデューサーと井手俊郎脚本の組み合わせゆえ石坂洋次郎原作もの調の明朗コメディを期待しましたが、演出テンポが悪いし、セリフや場面構成に冴えもなく、今イチ弾みませんでした。井手はこの撮影所で仕事する際は、三木克巳名義のほうが冴えているように思います。