シネマヴェーラ渋谷の新東宝特集「乾杯!女学生」は、両親が健在で揃っていることが入学の条件になっている女子校に、父の不在を隠して転入してきた雪村いづみが、彼女をライヴァル視する谷口香や親友になる井波静子らと共に過ごす寮生活を描く映画です。
雪村いづみと井波静子が、泥棒・内海突破を捕まえる話。同級生たちに父親のことを訊かれた雪村が、口から出まかせに“パパは人気作曲家だ”と言ったことから、レコードのセールスマンを自称する高田稔に頼んで、父親のふりをしてもらう話。寮の舎監で雪村らが尊敬している音楽と体育の教師・南風洋子宛ての手紙が付けられた形で、寮の前に捨てられていた赤ん坊を、寮生たちが学校に秘密で育てる話。その赤ん坊のことが学校にバレてしまい、南風洋子は辞表を書くものの、彼女に赤ん坊を託した手紙の張本人が、学校長・夏川静江の娘であることが判明する話など、他愛ないお話の映画ながら、50年代の井上梅次は仕事が丁寧で手堅く纏めているし、ラストに登場するジャズメン、中村八大(ピアノ)、河辺公一(トロンボーン)、渡辺晋(ベース)、それにまだ俳優デビューする前の“シックス・ジョーズ”時代の南廣(ドラムス)のらのプレイが観られるのは貴重でした。