森鴎外の原作を、八尋不二と依田義賢が脚色。小学校の図書館には、「安寿と厨子王」という本があったと記憶しているが、こんな悲惨な人身売買による奴隷の話が、なぜ子供向けの話になっているのだろう。原作では安寿(香川京子)が姉だが、映画では妹に脚色。上映後の香川京子さんのトークショーで、安寿の入水シーンが、世界的に名シーンと評価されていると初めて知った。なので、「凛たる人生 映画女優香川京子」の裏表紙に なっている。母である田中絹代が、盲目の老女で最後に再登場。田中を醜く描けるのは、溝口監督と田中との信頼関係の証か。【執念の映画作家 溝口健二の世界:併映「近松物語」、香川京子&「凛たる人生 映画女優香川京子」著者・立花珠樹のトークショー付】