山椒大夫

さんしょうだゆう|Sansho Dayu|----

山椒大夫

amazon
レビューの数

65

平均評点

79.1(270人)

観たひと

418

観たいひと

36

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 文芸 / 時代劇
製作国 日本
製作年 1954
公開年月日 1954/3/31
上映時間 0分
製作会社 大映京都
配給 大映
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督溝口健二 
脚色八尋不二 
依田義賢 
原作森鴎外 
企画辻久一 
製作永田雅一 
撮影宮川一夫 
美術伊藤熹朔 
音楽早坂文雄 
録音大谷巌 
照明岡本健一 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演田中絹代 玉木
花柳喜章 厨子王
香川京子 安寿
清水将夫 平正氏
進藤英太郎 山椒大夫
河野秋武 太郎
香川良介 曇猛律師
三津田健 藤原師実
南部彰三 平正末
浪花千栄子 姥竹
見明凡太朗 吉次
伊達三郎 金平
相馬幸子 菅野
菅井一郎 仁王
橘公子 波路
小柴幹治 内蔵介工藤
大邦一公 判官代則村
毛利菊枝 巫女
堀北幸夫 佐渡二郎
大国八郎 宮崎三郎
荒木忍 左太夫
玉置一恵 鎮守府の侍
菊野昌代士 牢役人
東良之助 遊女宿の親方
石原須磨男 墓守の老人
葉山富之輔 老僧
天野一郎 一の木戸の番人
金剛麗子 
小柳圭子 
藤間直樹 幼年時代の厨子王
加藤雅彦 少年時代の厨子王
榎並啓子 幼女時代の安寿

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

森鴎外の原作(大正五年一月“中央公論”発表)を「唐人お吉」の依田義賢、「鯉名の銀平(1954)」の八尋不二が再解釈を加えて脚色、「祇園囃子」の溝口健二が監督にあたった。撮影宮川一夫、音楽早坂文雄と溝口作品のレギュラー・スタッフの他、建築考証に日本古建築専攻の藤原義一、衣裳考証に「西鶴一代女」その他に協力した上野芳生が加わっている。「恋文(1953)」の田中絹代、香川京子、新派の若手花柳喜章、「にごりえ」の三津田健、「にっぽん製」の菅井一郎、「心臓破りの丘」の清水将夫、「男の血祭」の進藤英太郎などが出演。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

平安朝の末期、越後の浜辺を子供連れの旅人が通りかかった。七年前、農民の窮乏を救うため鎮守府将軍に楯をつき、筑紫へ左遷された平正氏の妻玉木、その子厨子王と安寿の幼い兄妹、女中姥竹の四人である。その頃越後に横行していた人買は、言葉巧みに子供二人を母や姥竹と別の舟に乗せて引離した。姥竹は身を投げて死に母は佐渡へ売られ、子供二人は丹後の大尽山椒大夫のもとに奴隷として売られた。兄は柴刈、妹は汐汲みと苛酷な労働と残酷な私刑に苦しみながら十年の日が流れた。大夫の息子太郎は父の所業を悲んで姿を消した。佐渡から売られて来た小萩の口すさんだ歌に厨子王と安寿の名が呼ばれているのを耳にして、兄妹は母の消息を知った。安寿は厨子王に逃亡を勧め、自分は迫手を食止めるため後に残った。首尾よく兄を逃がした上で安寿は池に身を投げた。厨子王は中山国分寺にかくれ、寺僧の好意で追手の目をくらましたが、この寺僧こそは十年前姿を消した太郎であった。かくして都へ出た厨子王は関白師実の館へ直訴し、一度は捕われて投獄されたが、取調べの結果、彼が正氏の嫡子である事が分った。然し正氏はすでに配所で故人になっていた。師実は厨子王を丹後の国守に任じた。彼は着任すると、直ちに人身売買を禁じ、右大臣の私領たる大夫の財産を没収した。そして師実に辞表を提出して佐渡へ渡り、「厨子王恋しや」の歌を頼りに、落ちぶれた母親と涙の対面をした。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1992年11月上旬号

特別企画 溝口健二の美学:「山椒大夫」

1954年5月上旬号

日本映画批評:山椒大夫

1954年2月上旬ベスト・テン発表特別号

グラフィック:山椒大夫

日本映画紹介:山椒大夫

2023/08/25

2023/08/29

85点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


安寿の入水シーン

①1964年ビクトル・エリセはスペインで兵役についていた。マドリードで溝口健二の「山椒大夫」の回顧上映をみる。夜10時からの開始ゆえ、門限の24時には間に合わない。軍隊の門限破りは懲罰に。それでも、エリセは席を立つことはできなかった。彼は懲罰を受けることと引き換えに、「映画史上で最も美しいフィナーレの一つ」を目にすることができた。(「教養としての映画」伊藤弘了より)
②安寿の入水シーンでは、水面の白が際立つように手前の笹を墨で黒く塗っている。(同上)

黒澤、小津、溝口、成瀬。まだまだ未見の作品が山ほど。一つ一つ鑑賞し、その真髄を味わい尽くしたい。

2023/02/11

2023/02/11

81点

映画館/東京都/角川シネマ有楽町 


大映4K映画祭にて鑑賞。絶品。

内容はあまりにヘビーで観ていてつらい、特に前半。それに反してキャメラワークの美しさが際立つ。こんなに美しい映画はテレンス・マリックの天国の日々くらいしか思い浮かばない。そしてヒロインも田中絹代と香川京子がすばらしく、この作品のあと、溝口監督が香川京子を主演に使いたくなるのも納得の存在感。
どのシーンも絵画のような美しさで、スクリーンで4Kリマスターを鑑賞できる機会は絶対見逃せない。傑作です。

2022/05/15

-点

映画館/東京都/新文芸坐 


悲惨な人身売買による奴隷の話

森鴎外の原作を、八尋不二と依田義賢が脚色。小学校の図書館には、「安寿と厨子王」という本があったと記憶しているが、こんな悲惨な人身売買による奴隷の話が、なぜ子供向けの話になっているのだろう。原作では安寿(香川京子)が姉だが、映画では妹に脚色。上映後の香川京子さんのトークショーで、安寿の入水シーンが、世界的に名シーンと評価されていると初めて知った。なので、「凛たる人生 映画女優香川京子」の裏表紙に なっている。母である田中絹代が、盲目の老女で最後に再登場。田中を醜く描けるのは、溝口監督と田中との信頼関係の証か。【執念の映画作家 溝口健二の世界:併映「近松物語」、香川京子&「凛たる人生 映画女優香川京子」著者・立花珠樹のトークショー付】

2022/05/10

2022/05/10

85点

映画館/東京都/新文芸坐 


ストーリーが壮大

溝口健二監督特集で、「近松物語」と併映。香川京子特集とも言える本日の特集。
凄く久しぶりに観たが面白かった。日本の童話レベルの話の実写化なので、作品のスケール感がデカい。

加えて、最近わかったことだが、どうも私は「安寿と厨子王」って周りのみんなより少し詳しいようだ。
有名な説話なので多かれ少なかれ皆さん知っている話だが、親の故郷が舞台なためか、親をはじめ身近な大人から逸話を聞かさせる機会が多かったみたい。
そのせいか、ストーリーへの思い入れも以前より高まっているように感じた。
田中絹代が作品内で口ずさんだ歌は知らなかったけどね。

それにしても田中絹代の演じる範疇は広いなぁ。改めて感心するよ。

2022/04/22

2022/04/23

75点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞

画が美しい。物語もわかりやすく海外でも理解されたのかもしれない。奴隷制度や人身売買、親子兄妹の愛情などの見せ方や撮り方は技術の高さが感じられる。芝居の間の取り方に演出の技巧と俳優陣の素晴さが評価できる。

2022/01/18

2022/01/18

89点

レンタル/愛媛県/ゲオ/ゲオ今治鳥生店/DVD 


生き別れと奴隷

ネタバレ

日本人なら一度は観るべき名作。原典や森鴎外版などとは細かい部分や物語の最後が違っていたりはするが、あまりにも元に忠実にしすぎりと悲惨で救いのない話なので、それぞれがアレンジして最終的に映画では悲惨な中でも救いのある内容に仕上げてある。厨子王と母が再開するシーンに心打たれずにはいられない。ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞したのは納得の結果である。