東京物語

とうきょうものがたり|Tokyo Story|Tokyo Story

東京物語

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レビューの数

107

平均評点

84.8(769人)

観たひと

1224

観たいひと

105

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1953
公開年月日 1953/11/3
上映時間 135分
製作会社 松竹
配給 松竹
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督小津安二郎 
脚本野田高梧 
小津安二郎 
製作山本武 
撮影厚田雄春 
美術浜田辰雄 
音楽斎藤高順 
録音妹尾芳三郎 
照明高下逸男 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演笠智衆 平山周吉
東山千栄子 平山とみ
山村聡 平山幸一
三宅邦子 平山文子
村瀬禪 平山実
毛利充宏 平山勇
杉村春子 金子志げ
中村伸郎 金子庫造
原節子 平山紀子
大坂志郎 平山敬三
香川京子 平山京子
十朱久雄 服部修
長岡輝子 服部よね
東野英治郎 沼田三平
高橋豊子 隣家の細君
三谷幸子 アパートの女
安部徹 敬三の先輩
阿南純子 美客院の助手キヨ

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「お茶漬の味」以来一年ぶりの小津安二郎監督作品で、脚本は小津安二郎と「落葉日記」の野田高梧の協同執筆、撮影も常に同監督とコンビをなす厚田雄春(陽気な天使)、音楽は斎藤高順。出演者は「白魚」の原節子、「君の名は」の笠智衆、「明日はどっちだ」の香川京子、「蟹工船」の山村聡、「雁(1953)」の三宅邦子、「残波岬の決闘」の安部徹、「きんぴら先生とお嬢さん」の大坂志郎などの他、東山千栄子、杉村春子、中村伸郎、東野英治郎等新劇人が出演している。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

周吉、とみの老夫婦は住みなれた尾道から二十年振りに東京にやって来た。途中大阪では三男の敬三に会えたし、東京では長男幸一の一家も長女志げの夫婦も歓待してくれて、熱海へ迄やって貰いながら、何か親身な温かさが欠けている事がやっぱりものたりなかった。それと云うのも、医学博士の肩書まである幸一も志げの美容院も、思っていた程楽でなく、それぞれの生活を守ることで精一杯にならざるを得なかったからである。周吉は同郷の老友との再会に僅かに慰められ、とみは戦死した次男昌二の未亡人紀子の昔変らざる心遣いが何よりも嬉しかった。ハハキトク--尾道に居る末娘京子からの電報が東京のみんなを驚かしたのは、老夫婦が帰郷してまもなくの事だった。脳溢血である。とみは幸一にみとられて静かにその一生を終った。駈けつけたみんなは悲嘆にくれたが、葬儀がすむとまたあわただしく帰らねばならなかった。若い京子には兄姉達の非人情がたまらなかった。紀子は京子に大人の生活の厳しさを言い聞かせながらも、自分自身何時まで今の独り身で生きていけるか不安を感じないではいられなかった。東京へ帰る日、紀子は心境の一切を周吉に打ちあけた。周吉は紀子の素直な心情に今更の如く打たれて、老妻の形見の時計を紀子に贈った。翌日、紀子の乗った上り列車を京子は受け持つ小学校の教室の窓から見送った。周吉はひとり家で身ひとつの侘びしさをしみじみ感じた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2024年1月号

COMING Old Pictures 旧作紹介:「東京物語」

1993年10月下旬号

グラビア:東京物語(ニュープリント)

1964年2月号増刊 小津安二郎<人と芸術>

生前自選シナリオ四本:東京物語

1958年11月上旬号

「東京物語」受賞の吉報:平成金融道 裁き人

1954年11月上旬号

シネマスコープで「東京物語」を製作:

1954年新年特別号

日本映画スチール・コンクール参加作品:東京物語

1953年11月下旬号

日本映画批評:東京物語

1953年10月上旬秋の特別号

小津安二郎の演出:「東京物語」の撮影を見る

日本映画紹介:東京物語

1953年9月下旬号

グラフィック:東京物語

1953年7月上旬夏期特別号

シナリオ:東京物語

2024/02/12

2024/02/13

90点

選択しない 


一見ゆっくりした展開に思えるが、終盤にかけて急に物語の緊張感が高まり、ダダダと畳み掛けて総括たるエンディングを迎える。

2023/12/29

2023/12/29

90点

選択しない 


親の気持ちもこの気持ちも夫の気持ちも全てわかりすぎる(^^;;

子を思う親の気持ち、親を思うこの気持ち、どちらもわかりすぎて辛い(^^;;みんな生活がある中で、それでも精一杯相手を思いやる気持ちがいい。感情を出さない笠智衆の飄々とした佇まいがクール。

それにしても親の相手をしたいけどできないから旅行に行ってもらう、熱海行きのエピソードは、本当にすごい。子の思いと親の思いのすれ違い、そのモヤモヤをこんな形で描けるとは。そしてそれでも笑顔の親夫婦は大人だ。

2023/12/13

2023/12/13

100点

テレビ/無料放送/NHK 
字幕


年齢は?

10年ぶりに見た。前回は84点、今回は満点。年齢に伴う感覚の差かな。
想定年齢にびっくり。確かに自分の中で半世紀前に描いていたの年寄りのイメージとぴったりだが。
・・・『東京物語』の主人公、周吉は70歳、妻のとみは68歳。・・・

2023/12/11

2023/12/11

100点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


計算しつくされた緊張感

ネタバレ

尺が2時間を超えているし、台詞も映像も比較的ゆるやかなのに、なぜかグイグイきてあっと言う間にラストシーン。いろんな称賛の記事を目にしてきて神格化された印象が刻まれているにしても、それをはじめて体感として心得たという感じ。熱海のターンあたりからの老夫婦の心情の流れがすばらしく、クライマックスでヒロインが号泣してしまうシーンにはエロティシズムと悲哀があり、そもそも、こういう映画を撮ろうと思いついて、撮れてしまうことが凄いと実感しました。

2023/07/07

2023/07/07

78点

VOD/U-NEXT/レンタル/タブレット 


容赦のない本音描写

ネタバレ

小津監督作品は、常に市井の人間の本音を描いているが、本作ほど人間の本音を容赦なく描いているのは他にないように思う。これは小津監督の代表作にして異色作でもある。

年老いた両親をないがしろにする子供たち。私が本作を初めて観たのは、今よりもう少し若かったころだ。その時の印象は、香川京子演じる末娘が、兄姉たちの薄情さをなじるのと同じ気持ちだった。兄姉たちの両親に対する態度に怒りを覚えたものだ。しかし、今回久しぶりに観なおして、その時とは違う印象を持ったことに自分でも驚いた。冒頭の、長男の嫁が尾道から上京してくる舅姑を迎えるため、家を片付けているシーンから「あぁ、親戚付き合い、めんどくせぇ~!」と思っている自分に気づく(笑)。そんなに親戚付き合いをしていない独身の私をしてそう思うのだから、世の中の主婦(主夫)の皆さんの苦労は計り知れない。嫁の立場からはあからさまに舅姑を邪険に扱えないが、実の子供たちは遠慮がない。さすがに両親の目の前で本音は言わないが、あからさまな邪魔もの扱いに、観ている私たちも苦笑するしかない。家にいてもらっては何かと不都合なので、体よく熱海の温泉旅館に宿泊させるも、歓楽街の熱海の夜の騒音に眠れない両親は、一晩で帰ってきてしまう。せっかくお金を出して追い払ったのに・・・。最終的に居場所がなくなり、石段にちんまり座っている2人の姿に胸が痛んだ。だが、一方的に子供たちを悪者にはできない。前述の末娘の意見に対して、原節子演じる次男の嫁が「お兄様たちにもそれぞれ生活があるのよ」と義兄姉を擁護するのに、大きく頷いてしまう。

兄姉たちは、両親が憎くて意地悪をしているのではない。開業医の長男、美容院を経営している長女、大阪で会社勤めをしている三男。彼らには目の前の生活のほうが両親よりも優先なのだ。開業医と言っても小さな町医者である長男と、これまたそれほど儲かっているとも思えない小さな美容院を営む次女。両方とも顧客(患者)は近所の人たちだろう。地域密着型の小さな店(病院)を切り盛りするには、田舎から出て来た両親の面倒を見ている暇などないのだ。それでもどこにも案内してやれないことに多少の罪悪感はあるため、次男の嫁に面倒を押し付ける。次男は戦死しているため、嫁にはもう関係ないのだが、彼女は実の子供たちより親身に舅姑の面倒をみる。

この子供たちの中で、最も両親を邪険にするのは長女だ。杉村春子の確かな演技力もあって、時に憎らしいほどだ。東京から尾道に戻った直後、母が突如危篤となり、あわてて実家に帰って来た子供たち。喪服を用意してくるのも、葬儀が終わったとたんにちゃっかり形見の品を要求するのも、親に愛情がないからではない。それもこれも尾道―東京間を何度も往復する羽目にならないことの予防措置(今でいうタイパ・コスパ優先)と言えよう。忙しい身には当然のことだ。彼女には親が死んでも生活がある。彼女は、母がこんなに突然亡くなるとは夢にも思っていなかった。「こんなことならもっと親孝行するんだった」と言ったり、亡くなった直後に大泣きするのも嘘ではない。薄情な彼女も温情な彼女もどちらも本音だ。ここまで本音を見せつけられたら、思い当たる節のある我々はもうぐぅの音も出ない。本作は本当にコワイ映画だと思う。

さて、そんな長女と対照的な、心温かい次男の嫁の本音はどうか?この人だけは本音が全く見えない。行く当てのなくなった母は、嫁が暮らす小さなアパートに一晩泊めてもらう。決して裕福ではない嫁から精いっぱいのもてなしを受けて嬉しそうな義母。私たちに遠慮せず、早くいい人と一緒になれという義母に対して、私はこのままがいいのだと答えた彼女は、後に義父に「私はズルいんです」と言って泣く。たしかに本音を隠す彼女はズルい。義両親に温かく接するのは、嫁の義務とあきらめているのかもしれない。自営業の義兄姉と違い、会社勤めの自分の方が融通が利くからと割り切っているのかもしれない。少なくとも世話になった義両親に恩返しがしたいと思っているのは確かだろう。彼女のことを100%いい人なのだと思えなくなってしまった自分の世間ずれにため息がでる(笑)。

それでは、子供たちに思うようなもてなしを受けられなかった両親が、子供たちの商売が順調なことに安堵し、お金を使わせてしまったことをすまなく思い、自分たちは幸せだとかみしめるように言う(自分に言い聞かせている?)年老いた両親の本音はどうか?妻に先立たれ、誰もいなくなった家でぼんやりとする父の表情に、「寂しい」という本音が表れている・・・。

2023/01/27

2023/01/28

90点

その他/TSUTAYA DISCAS 


やっぱり日本を代表する名作でしょう

久しぶりにまた観た。改めて知ったこと感じたこと。
小津安二郎監督は外国の監督からもその映像表現が参考にされるし、松竹の師匠で山田洋次監督はその筆頭でしょう。(東京家族は本映画をオマージュして制作した)
独特の屋内の決まり切った撮影ポジションや笠智衆の一本調子の話し方など賛否両論があるが、やっぱりこの作品は日本を代表する名作です。
改めて気づいたこと。
①尾道から東京へやってきた周吉(笠智衆)ととみ(東山千栄子)が到着して「東京のどの辺りじゃの・」と尋ねると「端の方よ」と答える。さてどの辺り?と映像に注目すると「かねがぶち」の駅が。近かったが、医院を営む長男康一(山村聰)の住居の最寄り駅は、もう一つ先の東武伊勢崎線の堀切駅でした。正式住所は足立区ですが、荒川区、台東区、墨田区の境目の地域。やはり田舎から出てきた人間は世田谷や杉並などの山野手に家を持つのはきつかったのでしょう。
とみが孫の勇を連れて散歩に出た土手は近くの荒川の土手。遠くに見得た鉄橋は京成本線の堀切橋でした。
②それにしてもエリート一家か?
2-1;長男幸一が尾道の田舎から東京へ出て医者になり東京で開業。当然東京の大学でしょう。その費用は?
映画の後半、とみの葬儀の後で語る周吉の言葉に「市の教育課長」をしていたとのこと。公務員の給料は安かったがやはりインテリの家系だったのですね。
2-2;デパートのお子様ランチが好きと言う孫たち。やっぱり田舎とは違う。
2-3;電話が引かれている。周吉の家にも、美容院を経営する長女志げ(杉村春子)の家にも電話が。1950年前半に田舎には無かったです。当然尾道にもないので、危篤の連絡も「電報」だった。当然。
③長女志げはケチで薄情
・「夕食は?」「すき焼きでも」「刺身くらいつける」「いらないいらない」
・東京見物に連れていけなかったので「熱海でも」と「格安チケットあるから」
・「お兄さん。喪服持ってゆくよね」
・母の形見分けを真っ先にもらおうとする。
④東京見物
結局東京見物の付き添いのお鉢は、紀子(原節子)に回ってきた。
屋上から紀子は、兄・姉や自分の家の方向を教えるシーン。松屋デパートの屋上でした。
上野寛永寺;周吉が「広いもんじゃなあ東京は・・・」
結局人間的にやさしいのは一番紀子、二番独身で地元で学校の先生をしている、京子(香川京子)。周吉は、紀子に向かって「もういいから新しい人と結婚しなさい・・」と言うが、当然です。かわいそうですが、地元に居る京子が面倒を見ないといけないでしょう。兄弟げんかが発生するでしょうね。
疑問1;なぜ次男昌二だけが招集されて戦死してしまったか?
疑問2;幸一が東京見物に行こうとする日(当然日曜)、緊急の往診依頼で見物キャンセル。日曜日休診では?もし出かけていたら、往診できなかったと思えば。いい医者なんでしょうね??