赤線基地

あかせんきち|----|----

赤線基地

レビューの数

10

平均評点

65.3(30人)

観たひと

46

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1953
公開年月日 1953/12/8
上映時間 90分
製作会社 東宝
配給 東宝
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督谷口千吉 
脚本谷口千吉 
木村武 
製作田中友幸 
撮影飯村正 
美術北辰雄 
音楽団伊玖磨 
録音三上長七郎 
照明猪原一郎 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演三國連太郎 河那辺浩一
金子信雄 河那辺杉男
広瀬嘉子 河那辺時子
日惠野晃 河那辺健吉
川合玉枝 河那辺靜子
青山京子 河那辺文子
伊東隆 河那辺敏男
英百合子 河那辺お徳
高堂国典 河那辺重作
根岸明美 由岐子
中北千枝子 ハルエ
小林桂樹 上西先生
十朱久雄 父順吉
ボッブ・ブース バブさん

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「続思春期」の田中友幸の製作になり、「夜の終り」の谷口千吉監督になる基地問題の映画で、谷口千吉と新人木村武(1)が脚本を書き、「母と娘(1953)」の飯村正が撮影に当っている。音楽は「獅子の座」の団伊玖磨。出演者は「青色革命」の三國連太郎、「アナタハン」の根岸明美、「続思春期」の小林桂樹、青山京子、中北千枝子、ほかに東宝第五期ニューフュースの川合玉枝がデビューする。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

十年ぶりに中共から帰還してきた河那辺浩一は、懐しい故郷、富士山麓御殿場の余りにも変り果てた姿に驚いた。家には祖父、母、弟妹達が健在であり、上の弟杉男は既に結婚して役場に勤めていたが、父は亡き人になっていた。土地は射撃場に接収され、生活に困窮して離れをGI相手の女由岐子に貸してあった。彼は十年間思い続けてきた恋人ハルエの消息を聞きただすが、皆言葉を濁して答えなかった。妹の静江は浩一の幼な友達で小学校教師の上西と婚約の仲だったが、パン助に宿を貸しているという理由で破談となった。浩一は由岐子に立退きを要求するが、好きでこんな商売をしているわけでないという返事しか聞けなかった。しかも尋ねていたハルエが黒ン坊の子供と、浩一の弟で情夫の健吉を連れて由岐子の許へ尋ねてくる。悄然とする浩一の姿に、由岐子はさすがに同情の眼ざしを注ぐのだった。上西は親類が如何に反対しようと静子と結婚すると誓い、浩一もまた新天地を求めて東京に出る決心をする。真面目になるから一緒に連れて行ってくれとしがつく由岐子を、浩一はふりきるように引き離すが、翌朝杉男や母に別れを告げて乗ったバスの中には、うって変った地味な身なりの由岐子が乗りこんでいた。浩一は話しかけようとするが、その時響き出した砲声に妨げられた。秀麗な富士を包んで轟く砲声が何時止むともなく続く中を、無言の浩一と由岐子を乗せてバスは駅へ向つて走って行った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1954年1月下旬号

日本映画批評:赤線基地

1954年新年特別号

日本映画スチール・コンクール参加作品:赤線基地

1953年9月上旬号

グラフィック:赤線基地

1953年8月下旬号

日本映画紹介:赤線基地

2022/12/15

2022/12/15

-点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 

『赤線基地』。終戦後、富士裾野の何でもない村に進駐軍の基地ができる。人生の歯車が狂いだす住民たち。主人公はそんな村に10年ぶりに復員してくる長男(三国連太郎)。末弟役の伊東隆は上手い。昔の子供は鼻ったらしであんなだった。ご飯に粉チーズ、マコーミックのスパイス、デルモンテケチャップ。

2021/10/29

2021/10/31

85点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


“基地の街”の現実

ネタバレ

ラピュタ阿佐ヶ谷の【基地の街から】特集の1本。基地というから、立川辺りが舞台かと思ったら、駿河キャンプが舞台。10年ぶりに満州から帰国した三國連太郎は、自宅の農家に米軍相手の娼婦(根岸明美)、地元民は“ガールさん”と呼ぶ、が自宅に下宿しているので戸惑う。不在の10年間に、地元の富士山の裾野の村に、いきなり米軍キャンプが出来て、田畑を取り上げられた農家では、パンパンを下宿させて、収入源としていた。劇中では、「あんた(三國のこと)は、パンパンと私たちを非難するけど、兵隊には娼婦は付きもの。慰安婦と呼んでたみたいだけど、満州にもいたのでは」とか、三國の祖父(高堂国典)たちが「基地が来た時には、地元の女性がどうなるか心配だったが、ガールさんたちが来てくれて安心した」(他の地域から、娼婦たちがこの村に来て定着したこと)とか、三國の妹の縁談(相手は三國の友人という設定の小林桂樹)が、娼婦を下宿させている家だからという理由で断られたりと、“基地の街”の現実をリアルに描く。「田畑が取られなかった隣村と、この村では状況が違う」という発言もある。脚本は新人木村武と谷口千吉監督。三國の出征前の恋人(中北千枝子)が、結末近くにようやく登場し、パンパンになって黒人の子供の母親になっていた、という苦い現実を三國に突きつける。ラストは、冒頭と同様に、三國と根岸が富士山をバックにバスに同乗しているが、希望を匂わせるエンディングになっている。

2021/10/25

2021/10/25

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 
字幕

『赤線基地』。10年ぶりに祖国に戻ったら自宅の場所が米軍基地になっていた。帰ってから翌朝までの間の話。子役の伊東隆は上手い。純情な役柄をこなす三国連太郎。パンパン、オンリー、バタフライ。三国が欅を眺めるカット、欅の上部は合成。マコーミックのコショー。コンビーフ。白ご飯に粉チーズ。

2019/12/26

2019/12/26

65点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


米兵と日本女性

舞台が戦後まもなくのことだから、ガール、パンパン、オンリー、バタフライなどと米軍相手の娼婦の形態を表す言葉が飛び交っている。
満州から10年ぶりに帰った河那辺家の長男浩一(三國連太郎)は故郷の変わりように驚くとともに、基地のために強制移転させられた実家にガールという娼婦が間借りしていることに驚く。
そして元恋人だった彼女にも黒人の息子がいた。
戦後の混乱期の基地の街の様子や、それで食べている日本人の生態を垣間見せてくれる。誰が悪いという話ではなく、これが現実だったという話。敗戦の悲しさか。
三國連太郎が満州帰りにしては少しもすれていないところがちょっと現実味を帯びていない。谷口は三国とガールの由岐子(根岸明美)の関係を描きたかったのかもしれない。由岐子は元恋人のハルエよりもずっと強い女に描かれており、そのあたりをもう少し対比させても良かった。

2018/07/01

2018/07/02

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『赤線基地』。見たことあった。米軍基地の近くに集まる女。村ではガールさんと呼ぶ。彼女らは「オンリー」、「バタフライ」の二種に分類される。根岸明美の部屋にはアメリカ製品が沢山。クラフトの粉チーズを白ご飯にかけて食べている。ぎくしゃくする二人が同じバスで村を去る。少しは希望が見える。

2018/07/01

2018/07/01

65点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


富士山麓オンナ泣く

敗戦後10年経って復員してきた河那辺浩一が見た故郷は、米軍のキャンプ地になっていて、実家もオンリーの由岐子に間貸しをしている有様。
恋人だったハルエの消息を知りたいが、恐ろしくて聞けない純情さがまだ残っているのが、隔離世界に長い事いたためだと気付かされます。
大家族の河那辺家の家族と同居の由岐子、そして地域の住人の織りなす群像劇は猥雑ですが、恋愛・結婚問題が大きなテーマになっています。
そこには戦争の影響が大きく影を落としていますが、米人は殆ど表に出ず、日本人の内輪の話として事を大きくせず、基地と銘うっている割には問題を矮小化しています。

そんな中で登場人物中、由岐子を演じた根岸明美が一番の存在感を見せていたと思います。
周囲の悪口があるのも十分承知の上、女ひとりで生きていくのだという、戦前は考えられなかった女性像を見せ、毅然とした態度でいる姿は美しかったです。
そんな彼女がプライドをかなぐり捨て、浩一に心の内を吐露する姿には感動します。
翌日のバス車内で交わす眼差しで、彼女に戻った矜持と喜びとが混ざった表情が素晴らしいです。

これらのストーリーが浩一がやってきて翌日には去ってゆく、というたった一昼夜の出来事というのが信じられないスピード展開のドラマでした。