ラピュタ阿佐ヶ谷の旧サヨク系独立プロ映画特集で初めて観た「村八分」は、投票依頼はもちろんのこと、投票に行けない人の代わりに替え玉投票するなど、地域ぐるみの不正選挙が行われてることに義憤を覚えた女学生・中原早苗が新聞に投書したところ、村を仕切る県会議員・菅井一郎を始め、村長・山田巳之助、選挙管理委員長の久保春二、村役場職員の谷晃らが中心となって、高校生・中原早苗だけでなく、父親・藤原釜足、母・英百合子ら一家を村八分にし始め、それを知った新聞記者・山村聰が村八分の事実を記事にしたことから、全国的な話題となり、ラジオ局がこの地域に来て村民インタヴューを行ったり、日弁連の人権擁護委員会から役員の御橋公が派遣されてきたりと、大騒動に発展する様子を描いた映画。
この映画の監督・今泉善珠の映画を観るのは、川島芳子の話を描いた「燃える上海」に続いて2本目ですが、この監督、つい先日読んだ村山新治の著書の中で、村山が文化映画の会社にいた頃の同僚として登場しており、この「村八分」でも冒頭の畑を耕す人を逆光で捉えた画面からして、記録映画出身の監督らしい画面センスが感じられました。