昔見た記憶で印象的に残っていたのは、公園のブランコに座る志村喬。もう最後の場面だったのですね。
昔は今のようにガンの告知はしないのが普通であった。薄々医者の表情などから「ヤバそうだ」と感じてしまう。私も人間ドックで膵臓に腫瘍のような物が見つかった時、死の始末を考えてしまったことがある。幸いにも良性であり今も元気である。
定年間近、30年も役所に勤めた渡邊さん、現在は市民課課長として毎日判を押した生活。周りの部下も全く覇気のない部署。そんな中で死を意識し、溜めた金を面白おかしくパアーと使ってしまおうとするが、何か空しい。そんな時同じ職場で働いていた女性小田切女子(小田切みき)、こんな職場は嫌で退職し玩具工場で働いていた。彼女から「何か作る楽しみを見つかなさい」と意見された課長、陳情されたらいまわしにされていた、公園作りに奔走し、それを完成させる。この成果を持って永眠することに。
若くして妻を亡くし、一人で息子を育てた男の悲哀を痛切に演じる志村喬さん見事である。通夜の席の役人を一人一人なでる撮影も素晴らし効果を出していた。
息子役、金子信雄、若かったですね。