生きる(1952)

いきる|Doomed|----

生きる(1952)

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レビューの数

132

平均評点

84.6(760人)

観たひと

1218

観たいひと

123

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1952
公開年月日 1952/10/9
上映時間 143分
製作会社 東宝
配給 東宝
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督黒澤明 
脚本黒澤明 
橋本忍 
小国英雄 
製作本木莊二郎 
撮影中井朝一 
美術松山崇 
音楽早坂文雄 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演志村喬 渡邊勘治
金子信雄 渡邊光男
関京子 渡邊一枝
小堀誠 渡邊喜一
浦辺粂子 渡邊たつ
南美江 家政婦
小田切みき 小田切とよ
藤原釜足 大野
山田巳之助 齋藤
田中春男 坂井
左卜全 小原
千秋実 野口
日守新一 木村
中村伸郎 助役
阿部九洲男 市会議員
清水将夫 医師
木村功 医師の助手
渡辺篤 患者
丹阿弥谷津子 バーのマダム
伊藤雄之助 小説家
宮口精二 やくざ
加東大介 やくざ
菅井きん 主婦

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

黒澤明の「白痴」に次ぐ監督作品。脚本は「羅生門」の共同執筆者橋本忍と「海賊船」の小国英雄とが黒澤明に協力している。撮影は「息子の花嫁」の中井朝一。出演者の主なものは、「戦国無頼」の志村喬、相手役に俳優座研究生から選ばれた小田切みき、映画陣から藤原釜足、千秋実、田中春男、清水将夫その他。文学座から金子信雄、中村伸郎、南美江、丹阿弥谷津子。俳優座から永井智雄、木村功、関京子。新派では小堀誠、山田巳之助などである。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

某市役所の市民課長渡邊勘治は三十年無欠勤という恐ろしく勤勉な経歴を持った男だったが、その日初めて欠勤をした。彼は病院へ行って診察の結果、胃ガンを宣告されたのである。夜、家へ帰って二階の息子たち夫婦の居間に電気もつけずに座っていた時、外出から帰ってきた二人の声が聞こえた。父親の退職金や恩給を抵当に金を借りて家を建て、父とは別居をしようという相談である。勘治は息子の光男が五歳の時に妻を失ったが、後妻も迎えずに光男を育ててきたことを思うと、絶望した心がさらに暗くなり、そのまま街へさまよい出てしまった。屋台の飲み屋でふと知り合った小説家とそのまま飲み歩き、長年の貯金の大半を使い果たした。そしてその翌朝、買いたての真新しい帽子をかぶって街をふらついていた勘治は、彼の課の女事務員小田切とよとばったり出会った。彼女は辞職願いに判をもらうため彼を探し歩いていたという。なぜやめるのかという彼の問いに、彼に「ミイラ」というあだ名をつけたこの娘は、「あんな退屈なところでは死んでしまいそうで務まらない」という意味のことをはっきりと答えた。そう言われて、彼は初めて三十年間の自分の勤務ぶりを反省した。死ぬほどの退屈さをかみ殺して、事なかれ主義の盲目判を機械的に押していたに過ぎなかった。これでいいのかと思った時、彼は後いくばくもない生命の限りに生きたいという気持ちに燃えた。その翌日から出勤した彼は、これまでと違った目つきで書類に目を通し始めた。その目に止まったのが、かつて彼が付箋をつけて土木課へ回した「暗渠修理及埋立陳情書」であった。やがて勘治の努力で、悪疫の源となっていた下町の低地に下水堀が掘られ、その埋立地の上に新しい児童公園が建設されていった。市会議員とぐるになって特飲街を作ろうとしていた街のボスの脅迫にも、生命の短い彼は恐れることはなかった。新装なった夜更けの公園のブランコに、一人の男が楽しそうに歌を歌いながら乗っていた。勘治であった。雪の中に静かな死に顔で横たわっている彼の死骸が発見されたのは、その翌朝のことであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1983年11月上旬号

特別企画 [黒澤明の全貌]によせて 第1回 私の黒澤映画:「生きる」

1963年4月号増刊 黒沢明<その作品と顔>

シナリオ:生きる

1952年9月上旬号

スタジオ訪問:黒澤明監督「生きる」の撮影を見る

1952年6月下旬号

グラフィック:生きる

1952年6月上旬号

日本映画紹介:生きる

1952年4月上旬特別号

特別掲載シナリオ:生きる 黒沢明監督作品

2023/05/30

2023/05/30

-点

その他/図書館の視聴覚コーナー。 


有名な映画だけど観てなかったので。

ネタバレ

役所を辞めて忙しいおもちゃ工場で働いている女性がいいます、おもちゃで喜ぶ子供たちの事を思い浮かべて働いていると嬉しいと、僕は会社で働いていても、そんな事は考えてもみなかったです、目から鱗です。

2023/05/05

2023/05/05

75点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


黒澤明はヒューマニストだけど、この作品の皮肉な視点には意表をつかれた

リメイク版を鑑賞するまえに本作品を復習しようと思った。
本作品は2時間23分というのは、あれっ、こんなに長い映画だったのかと改めて思った。


生気が抜けたようにただ役所の仕事をこなす渡辺勝治(志村喬)は妻に先立たれ、息子の光男(金子信雄)を育てる事だけに一生懸命で人生をすごしてきた。そんな彼が癌で余命いくばくもないと知る。どうしたらいいのか分からない彼だったが、市民の陳情にあった公園の建設に努力することで生きる意味を見出す。彼の役所でのあだ名は「ミイラ」であったけれど、今なら「ゾンビ」になるところであるが、これまでの彼の生き方を象徴している。
残された命をどうつかうか分かった渡辺にハッピーバースディの歌が重なり死んだような人生を変えて生まれ変わったのだと示す。それを示してからイキナリ渡辺の通夜になる。この構成も凄いと思う。生まれ変わったと思ったら、すぐに渡辺が死んだ場面に移行するというのは、今観ても斬新だなと思う。そうしてから通夜に集まった人々が渡辺について語る。

通常なら渡辺が公園建設をしてから通夜の場面にするところを捻った構成で、映画の感動を盛り上げているのはさすがに黒澤明監督の才気を感じさせる。

それだけでも人情劇として異色でもあるが、終わりはただのお涙頂戴にならないところも強烈だった。市民のおばさん連中が公園の建設を要望するが、役所のあちこちの部署をたらいまわしになるというお役所仕事を風刺している。それは公園を要望している土地に市会議員たちがやくざと共謀して歓楽街を作ろうとしているからでもある。そこへ渡辺の公園建設の手柄を助役(中村伸郎)が横取りしているところも描いている。渡辺が単に仕事をこなすだけ、波風を立てずにあたらずさわらずに過ごすことが役所の処世術であるということを描いているとこういうのって今も変わらないお役所の体質だと感じる。

ただのお涙頂戴でないのはこうした役所批判もあるが、人間の本質を批判しているところも他の人情ものとは異色である。
助役が通夜の席で公園建設は渡辺ひとりの功績じゃないと弁を振るう。新聞記者からも問われたとおり彼は渡辺の手柄を横取りしている。助役とその取り巻き連中が帰った後、渡辺の同僚たちがあいつらが渡辺の功績を横取りした、わたしたちは渡辺さんを見習い、彼の意思を継いで仕事をしようと決めた。市民の陳情をほっておかず、懸命に取り組むのだと。

ところがである。翌日になれば、今までどおりたらいまわし、あとまわしである。これは役所仕事ばかりを批判しているのではない。
人間の持っている負の面を描いているのだ。ある人物の行動を見て感銘を受けて、自分も触発、発奮する。だがそんなことは時とともに忘れるのが人間であると。通夜の席で酒を飲んで酔った勢いで心を改めようと言ったせいもあるかもしれない。こうやって発奮しようとも、何も役人ばかりではない、ほとんどの人間がこんなもんである、というシニカルな視点。これは痛かった。

私も映画を観て感激して発奮するところはある。だが、その気持ちを継続しているのかと言えばまあ大体は忘れる。だからこの映画の役人の変わらない仕事ぶりは他人事ではない。人は長年やってきたことをおいそれとは変えない。変わらない。まあ何かに触発されて、大志を抱いて進んでいけば、その業界でひとかどの人物だっただろう。そうしないから60代でもうだつの上がらない人物になっちゃったよ。

若い時にこの映画を初めて観た時は死んだように生きている男が人生を生きる意味を見出したことよりも、この人間の本質にたいしてのシニカルな視点がきつかった。きついよ、黒澤明監督。イタかったよ。

2023/04/23

2023/04/23

85点

その他/録画BSプレミアム 


よくよく出来ている

ネタバレ

 役所勤めの渡邊勘治(志村喬)が、癌を患い、本当の意味で生きようとする話し、黒澤明監督の珍しくも輝かしい生活劇。

 30年間役所を休まなかった渡邉がいきなり休んだり、作家の導きで放蕩生活を送るのも魅せる。また、いろいろ言われているように、小田切(小田切みき)に言われて、何か作ればいいんだ、と心を決めて、その場面で生まれ変わりの象徴としてのハッピーバースデイの音楽が被さるのも、よくよく考えられていて素晴らしかった。

 改めて観て、いきなり葬式の場面になるのはびっくりしたし、何度観ても、この葬式で、渡邉のしていったことをいろいろと回想してくのも、公園が出来て、それを感謝する女性たちが焼香するのを、気まずそうに眺める助役(中村伸郎)達の表情や、最後に警察官の言葉で締めるのも上手いと思った。

 また、それにしても、渡邉の志村喬は本当に凄い、鬼気迫る感じ。このあと、「七人の侍」のまとめ役島田勘兵衛をやるのだから、それもまた凄い。

 残念なのは、どの黒澤映画もそうだけれど、音が聞き取りにくいこと、デジタルリマスター版なら少し聞こえるようだけれど。

 黒澤明監督の、生きるとは、や、管理された社会で本当の意味で生きてない人が多いという、強い主張が感じられる。本当に凄い映画を作り上げたものだ、傑作と思う。

1996/02/28

2023/04/21

75点

レンタル 


生きる(1952)

しっかり生きねば。

2023/04/13

2023/04/13

89点

選択しない 


己れを問う、の巻

人間の心模様の、
あるあるエピソードの満漢全席。

それらを台詞に表情に。
役者の顔ぶれも驚くほど多彩、
顔のつくりから
演技まで。

人情の機微が象徴的に的確に
無駄なく映像化されて、
思わずニヤリとしてしまう。

「生きる」は、戦後7年の世相にあって、
日本人の誰もが立ち向かわなければならなかった
テーマであろうし、一個の人間として
普遍的テーマであろう。

いつの時代にも古びない傑作である。

2023/04/04

2023/04/05

80点

テレビ/有料放送 


40代の志村喬さんが主人公の渡邊さん役を演じた。志村さんの老け+重病の人の演技は見応えがあった。残り1時間で渡邊さんが亡くなり、え?となったが、お葬式で関係者たちの会話から渡邊さんの人となりが描かれる手法も面白かった。渡邊さんにとって余命宣告された後の半年間が本当の「生きる」だった。主な出演者のほとんどが亡くなっていることをしみじみ感じながら鑑賞。小田切とよ役の小田切みきは、四方晴美の母。渡邊さんの息子・光男役の金子信雄がどうしても金子信雄に見えなかった。