生きる(1952)

いきる|Doomed|----

生きる(1952)

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レビューの数

122

平均評点

84.6(717人)

観たひと

1167

観たいひと

122

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1952
公開年月日 1952/10/9
上映時間 143分
製作会社 東宝
配給 東宝
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督黒澤明 
脚本黒澤明 
橋本忍 
小国英雄 
製作本木莊二郎 
撮影中井朝一 
美術松山崇 
音楽早坂文雄 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演志村喬 渡邊勘治
金子信雄 渡邊光男
関京子 渡邊一枝
小堀誠 渡邊喜一
浦辺粂子 渡邊たつ
南美江 家政婦
小田切みき 小田切とよ
藤原釜足 大野
山田巳之助 齋藤
田中春男 坂井
左卜全 小原
千秋実 野口
日守新一 木村
中村伸郎 助役
阿部九洲男 市会議員
清水将夫 医師
木村功 医師の助手
渡辺篤 患者
丹阿弥谷津子 バーのマダム
伊藤雄之助 小説家
宮口精二 やくざ
加東大介 やくざ
菅井きん 主婦

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

黒澤明の「白痴」に次ぐ監督作品。脚本は「羅生門」の共同執筆者橋本忍と「海賊船」の小国英雄とが黒澤明に協力している。撮影は「息子の花嫁」の中井朝一。出演者の主なものは、「戦国無頼」の志村喬、相手役に俳優座研究生から選ばれた小田切みき、映画陣から藤原釜足、千秋実、田中春男、清水将夫その他。文学座から金子信雄、中村伸郎、南美江、丹阿弥谷津子。俳優座から永井智雄、木村功、関京子。新派では小堀誠、山田巳之助などである。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

某市役所の市民課長渡邊勘治は三十年無欠勤という恐ろしく勤勉な経歴を持った男だったが、その日初めて欠勤をした。彼は病院へ行って診察の結果、胃ガンを宣告されたのである。夜、家へ帰って二階の息子たち夫婦の居間に電気もつけずに座っていた時、外出から帰ってきた二人の声が聞こえた。父親の退職金や恩給を抵当に金を借りて家を建て、父とは別居をしようという相談である。勘治は息子の光男が五歳の時に妻を失ったが、後妻も迎えずに光男を育ててきたことを思うと、絶望した心がさらに暗くなり、そのまま街へさまよい出てしまった。屋台の飲み屋でふと知り合った小説家とそのまま飲み歩き、長年の貯金の大半を使い果たした。そしてその翌朝、買いたての真新しい帽子をかぶって街をふらついていた勘治は、彼の課の女事務員小田切とよとばったり出会った。彼女は辞職願いに判をもらうため彼を探し歩いていたという。なぜやめるのかという彼の問いに、彼に「ミイラ」というあだ名をつけたこの娘は、「あんな退屈なところでは死んでしまいそうで務まらない」という意味のことをはっきりと答えた。そう言われて、彼は初めて三十年間の自分の勤務ぶりを反省した。死ぬほどの退屈さをかみ殺して、事なかれ主義の盲目判を機械的に押していたに過ぎなかった。これでいいのかと思った時、彼は後いくばくもない生命の限りに生きたいという気持ちに燃えた。その翌日から出勤した彼は、これまでと違った目つきで書類に目を通し始めた。その目に止まったのが、かつて彼が付箋をつけて土木課へ回した「暗渠修理及埋立陳情書」であった。やがて勘治の努力で、悪疫の源となっていた下町の低地に下水堀が掘られ、その埋立地の上に新しい児童公園が建設されていった。市会議員とぐるになって特飲街を作ろうとしていた街のボスの脅迫にも、生命の短い彼は恐れることはなかった。新装なった夜更けの公園のブランコに、一人の男が楽しそうに歌を歌いながら乗っていた。勘治であった。雪の中に静かな死に顔で横たわっている彼の死骸が発見されたのは、その翌朝のことであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1983年11月上旬号

特別企画 [黒澤明の全貌]によせて 第1回 私の黒澤映画:「生きる」

1963年4月号増刊 黒沢明<その作品と顔>

シナリオ:生きる

1952年9月上旬号

スタジオ訪問:黒澤明監督「生きる」の撮影を見る

1952年6月下旬号

グラフィック:生きる

1952年6月上旬号

日本映画紹介:生きる

1952年4月上旬特別号

特別掲載シナリオ:生きる 黒沢明監督作品

2022/10/29

2022/10/30

95点

選択しない 


名優中の名優志村喬

この映画撮影当時志村喬は40歳半ばで、映画のために減量に取り組み頬の痩けた風貌を作り出したそうです。この演技がニューヨークタイムズで「世界一の名優」と絶賛されたのも納得。骨子として建前社会に対する痛烈な批判があり、現在と過去を行き来する構成が絶妙でした。名優中の名優の名演。

2022/10/15

2022/10/15

78点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 


2回の「ゴンドラの唄」

主人公はガンを宣告されて、死を受け入れます。そこに、恐怖がないように思われます。死ぬことに覚悟を感じるのです。それは、戦争があり、妻の死があるからでしょうか。私なら、平然としていられるかは、自信がありません。

 それ以上に、彼には絶望があります。30年仕事をしています。ヒラではない、課長まで出世しています。息子を男の手一つで育てています。それでも、生きていた意味が見出せないのです。このまま死ぬことに、絶望しています。それを共有してくれるのが、小説家です。遊びに連れて行ってくれ、思わず「ゴンドラの唄」を口ずさみます。絶望のまま歌う様子に、私は涙が出そうです。

 そんな彼に希望を与えたのは、職場の女職員です。若さ、活気に生きている意味を探します。そして、彼女とのデートで一つの結論が出るのです。

 それは、余分なことを何もしないで成り立っているシステムの中で、回りと調整し、あへていつもと違う方向にもっていくことです。彼の場合、それは公園を作ることでした。やり遂げて、「ゴンドラの唄」の歌声は満足気に聞こえます。

 葬儀のやりとりを見ていても、父親の行動を疑った息子をはじめ、職場の者たちは皆、胃がんまでは思いが馳せても、この絶望、希望、満足はわかりません。つくづく、人生は孤独なものだ、と知らされます。

 志村喬をはじめ、伊藤雄之助、小田切みき、左卜全など演技は見事なものですが、若い頃の感動はなく、年をとったいやらしさか、それほど刺さらなかったです。

2022/05/24

2022/05/25

90点

その他/宇都宮図書館 


命短し、仕事しろ!役人

昔見た記憶で印象的に残っていたのは、公園のブランコに座る志村喬。もう最後の場面だったのですね。
昔は今のようにガンの告知はしないのが普通であった。薄々医者の表情などから「ヤバそうだ」と感じてしまう。私も人間ドックで膵臓に腫瘍のような物が見つかった時、死の始末を考えてしまったことがある。幸いにも良性であり今も元気である。
定年間近、30年も役所に勤めた渡邊さん、現在は市民課課長として毎日判を押した生活。周りの部下も全く覇気のない部署。そんな中で死を意識し、溜めた金を面白おかしくパアーと使ってしまおうとするが、何か空しい。そんな時同じ職場で働いていた女性小田切女子(小田切みき)、こんな職場は嫌で退職し玩具工場で働いていた。彼女から「何か作る楽しみを見つかなさい」と意見された課長、陳情されたらいまわしにされていた、公園作りに奔走し、それを完成させる。この成果を持って永眠することに。
若くして妻を亡くし、一人で息子を育てた男の悲哀を痛切に演じる志村喬さん見事である。通夜の席の役人を一人一人なでる撮影も素晴らし効果を出していた。
息子役、金子信雄、若かったですね。

2022/04/22

2022/04/22

-点

映画館/東京都/新文芸坐 

『生きる 4Kデジタルリマスター版』(1952年、東宝)。渡邊勘治(志村喬)家の前の路地、ぬかるみ軽減のため筵を敷いている。役所や渡邊家では二股ソケットを多用。ストーブやトースターに給電。市村俊幸は本物のピアニストだったんだ。森永ペニシリン軟膏。渡邊勘治が飲むのは武田薬品ノルモザン錠。

2021/10/16

2021/10/16

80点

映画館/東京都/船堀シネパル 


志村喬さん

「生きる」は、劇場鑑賞初めてです。
七人の侍、ゴジラと同じころの渋い志村喬さん主演作品をスクリーンで観ておきたかったので、船堀の地味な映画館に足を運びました。
決して楽しい話ではないですが、ストレートにココロにささる良い作品です。

2021/06/14

2021/06/14

100点

選択しない 


葬式で諸課が集う場面
彼らはこの映画を見ている私たちの投影だ
最初理解を示すことのない各人
課長を理解するにつれて、各人は課長サイドになっていく
しかし、反面、いや確かに課長は尽力した、一方で役所という機構はこういうものなんだ、という一般的な反駁を差し込むあたりが黒澤明らしいと思った
そしてリアルだ、綺麗事ではおわらない、まるで複雑なこの世の中を語るよう、この世の中全体が役所という機構のよう

この物語には共感力がめちゃある人と全然ない人が対極的に存在している
夜遊びを教えてくれた小説家や、町の人々、ひとりの市民課員は、課長に対する共感力がめちゃある
ヘッセのデミアンに「真理を見ている人々」というタイプの人間たちについて書かれるが、これが思い出された
そして彼らの共通点は「立場が低い」ということだ

反対に共感力が全然ないのが助役であるが、彼らは「立場が高い」人間たちだ