偽大学生

にせだいがくせい|----|----

偽大学生

レビューの数

13

平均評点

79.2(54人)

観たひと

85

観たいひと

15

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1960
公開年月日 1960/10/8
上映時間 94分
製作会社 大映東京
配給 大映
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督増村保造 
脚色白坂依志夫 
原作大江健三郎 
企画藤井浩明 
撮影村井博 
美術渡辺竹三郎 
音楽芥川也寸志 
録音渡辺利一 
照明米山勇 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演若尾文子 高木睦子
藤巻潤 木田靖男
ジェリー藤尾 大津彦一
村瀬幸子 彦一の母
船越英二 国恭介
岩崎加根子 国縞子
中村伸郎 高木次郎
伊丹一三 空谷
三田村元 柳沢
大辻伺郎 原田
森矢雄二 
三浦友子 野口里子
有明マスミ 石川恵美
水村晃 安西
三角八郎 
渡辺鉄弥 磯野
友田輝 法本
杉田康 育川
飛田喜佐夫 カメラマン
春本富士夫 李さん
伊達正 鈴木
村田扶実子 花枝
三津田健 大学総長
大山健二 裁判長
高松英郎 検事
伊東光一 大木博士
山口健 パン屋の主人
花布辰男 教授A
丸山修 教授B

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

大江健三郎の『偽証の時』の映画化で、「青い野獣」の白坂依志夫が脚色し、「足にさわった女(1960)」の増村保造が監督した。撮影も同じく「足にさわった女(1960)」の村井博。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

T大歴史学研究会のメンバーに一人の新入生が加わった。上級の木田や睦子は彼を疑うことなく仲間として迎えた。リーダーの空谷が逮捕されたのも、この新入生からの伝言で分った。彼、大津彦一は立派なT大生になっていたのだ。翌日から、空谷の保釈を要求する坐りこみが始まった。勿論、彦一は真先にその運動に加わった。警察官と学生のにらみ合いは乱闘に発展した。彦一の奮戦はひときわ目立った。傷だらけの学生たちに混って、彦一も留置場の中で、学生運動の英雄に仲間入りしたような錯覚に陥った。警察側はすでに彦一が偽大学生であることを見破っていた。しかし、国際共産主義の廻し者として学生運動を扇動しているのではないかと激しい取調べを受けた。その結果は、この忙しいのにこんなザコを相手にしているひまはないということで、わずか一時間で釈放された。木田や彦一らの釈放を叫んでで警察署前に坐りこんでいた睦子たち歴研部員は、拍手で彼を迎えた。木田たちが釈放されたのはそれから三日後だった。木田は睦子を愛していた。睦子の父親は戦前T大の教授で、今は時代の流れに逆流するようにひっそり売り喰い生活に甘んじていた。数日後、釈放された空谷を歓迎するコンパが歴研部員たちで開かれた。その席上、空谷から身辺にスパイがいるという発言があって皆を驚かした。木田には一瞬彦一の顔が浮かんだ。彼だけ一時間で釈放されたり、今もコンパの中途で睦子を誘って全学同の本部へ連絡と称して抜け出している。早速、学生簿を調べたが、大津彦一の名はない。帰った彦一は、木田たち歴研部員数人の手によって監察され、激しい訊問にかけられた。彦一はただ母親に不合格だと言えなくて偽大学生となったのだが。猿ぐつわをされ椅子に縛りつけられた偽大学生大津彦一は発狂した。それを監視しながら木田と睦子は抱擁を続ける。彼らも共に発狂しているのだろうか。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1960年11月上旬号

日本映画批評:偽大学生

1960年10月下旬号

日本映画紹介:偽大学生

1960年7月下旬号

シナリオ:偽大学生 大映映画・増村保造作品 

2022/12/06

2022/12/06

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『偽大学生』。右だろうが左だろうが赤だろうが結局は自分の都合がいいように行動する。喫茶店で逮捕された空谷(伊丹一三)の伝言内容は何だったんだろう。宝来軒の2階での食事会、ヘタクソな箸の持ち方の女学生(女優名?)がいる、お前は日本人かっ!。珍しくタカラビール。人前でおしっこは屈辱。

2022/12/03

2022/12/03

82点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


ジェリー藤尾には問題あり

 初っ端から思ったのだが、ジェリー藤尾のようなタイプの人間は一流の大学にはどう頑張っても行けないだろうね。これは半世紀以上たった今でも通用するんじゃないかな。詳しいことは「ドラゴン桜」とかを観たらわかるよ、ここでは割愛する。それにしてもジェリーのキャラクターは何だかなれなれしくて鼻につくな。やたら余計なことをしゃべるし、見ていてイライラしてくる。
 ついた嘘は呆気なく暴かれてしまい、ジェリーはスパイの疑いをかけられ、文字通り悲劇を絵にかいたような運命をたどることになる。次々と嘘を暴き、ジェリーを拷問にかける藤巻潤等、学生運動の同志たちが彼に向ける冷めたような視線がたまらない。もはや抜き差しならないムードをその力によって作り上げてしまっているのだからすごい。若尾文子もそう。
 しかし物語はこれだけに終始せず、ジェリー監禁事件を機に学生運動の同志たちの連帯の揺れ、それまで見えてこなかった様々な思惑、人間模様が映し出されていく。最終的にジェリーの疑惑は晴れ、同志たちとも和解したように思えるが、もはやそこに本当の友情も、正義の欠片もない。ゾッとするような結末だ。
 原作者の大江健三郎が原作と異なることに激怒したとかで、未だ映像ソフト化もされていないようだが、文学による表現と映像によるそれとはまた別物だし、何でもかんでも原作通りに作れば良いものができるという保障は何処にもない。大江のような老いぼれ(今となってはだが)に映像作品のことをとやかく言う資格はない。

2018/02/21

2018/02/22

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『偽大学生』。あの時喫茶店にいたがために巻き起こる災難。ある意味、巻き込まれ型。嘘をつきだすと止まらない。裁判の証言に立った証人(船越英二、伊東光一)、終盤食堂に集まった学生たち、みんなが「偽もの」。若尾だけが本物であろうとする。ジェリー藤尾は気が狂って幸せになったのかも。

2015/07/26

2015/07/26

100点

映画館/大阪府/シネヌーヴォ 


東大バンザイ! ホシュを倒せ

ホシュてなんだ。総長、教授会、全学同(但し東大生のみ)東大関係者以外は人間ではない。若尾文子の良心も腰砕け。

2014/07/02

2014/07/02

65点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


ナンセンス!

大津は大学受験に4年連続で失敗、故郷の母に事実を告げられずに合格したと連絡。たまたま喫茶店で志望校の学生闘争リーダーが逮捕される場に立ち会い、爾後活動部屋に出入りするが、時を経ずに未入学生と判明し、逆に官憲のスパイと疑われ、身体を拘束され厳しい監視下に置かれる。
憧れていた大学の中で、大学生の偽証によって法廷に立たされ、極限状態に置かれた大津は精神を病む不条理の世界は、精神病院の中でアジをとばし、一人デモのステップを踏むことでのみ解放される。誰一人疑問の声を上げることは無かったが、女学生・若尾文子のみ批判の意見を述べるも誰一人見向きもしない恐怖…

2013/10/25

2013/10/28

70点

映画館/東京都/早稲田松竹 


増村/若尾コンビ特集の3本目。学生運動華やかなりし頃の大学を舞台に、ジェリー藤尾の「偽大学生」がついた何気ない嘘が学生達の疑心暗鬼を呼び思わぬ展開に進んでいく。サスペンス物でもないのに思わずストーリーに引き込まれている自分に気が付いて驚き。出だしのコメディタッチから徐々にシリアスに転換し、狂気で終わるラストも強烈な印象。やはり映画は脚本が確りしていないと面白くならないということか。船越英二、藤巻潤、伊丹一三が皆若々しくて(50年も前だから当然なのだが)思わずニヤリとしてしまう。若尾文子のような女子大生がいれば、マドンナになりさぞモテたことだろうが、今回は嘘と詭弁、欺瞞に悩むインテリ女子大生という役どころで、うつむき加減に考え込むシーンが多く、せっかくの美貌を曇りがちとせざるを得なかったのはもったいない。