白子屋駒子

しらこやこまこ|The Devotion on the Railway|----

白子屋駒子

レビューの数

5

平均評点

66.5(20人)

観たひと

29

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1960
公開年月日 1960/9/9
上映時間 92分
製作会社 大映京都
配給 大映
レイティング
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督三隅研次 
脚色衣笠貞之助 
原作舟橋聖一 
企画山崎昭郎 
製作永田雅一 
撮影今井ひろし 
美術内藤昭 
音楽斎藤一郎 
録音奥村雅弘 
照明岡本健一 
編集菅沼完二 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演山本富士子 白子屋駒子
小林勝彦 番頭忠八
近藤美恵子 小鴉のおぎん
島田竜三 安倍丹後
千秋実 養子又四郎
村上不二夫 髪結の清三郎
細川ちか子 白子屋お常
中村鴈治郎 白子屋庄三郎
伊沢一郎 番頭清兵衛
香川良介 加賀屋長兵衛
近江輝子 女房お民
橘公子 おひさ
浜世津子 おきく
小町るみ子 おえい
山路義人 目明し為吉
嵐三右衛門 野沢屋重兵衛
南部彰三 川喜田初兵衛
尾上栄五郎 劇中劇鳴神上人
伊達三郎 手代伊助
高倉一郎 劇中劇絶間姫
原聖四郎 吟味役人
堀北幸夫 木挽の権太
玉置一恵 備前屋主人
小林加奈枝 まつ稲の女将
菊野昌代士 吉三
愛原光一 勝奴

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

舟橋聖一の週刊誌連載小説を、「歌行燈」の衣笠貞之助が脚色し、「女妖」の三隅研次が監督した悲恋もの。撮影は「大江山酒天童子」の今井ひろし。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

材木問屋白子屋の一人娘駒子は江戸一の美人といわれ降るように縁談話があったが、番頭忠八を深く慕い歯牙にもかけなかった。忠義一徹の忠八は主家の娘と使用人、不義はお家の法度と、駒子の愛情を拒み通していた。白子屋の主人庄三郎は養子旦那であり、店は一切女房のお常が切り廻していた。そして夫のおとなしいのをよいことに、お常は髪結いの清三郎と密通していた。ある晩、材木町一帯が火事に包まれた時、駒子の危急を救った忠八は自分が駒子を愛していることを知った。二人の人目を避けての逢う瀬が続いた。一方、若い清三郎におぼれるお常は商いの金まで手につける始末、白子屋の店は大きく傾き始めていた。悪にたけた清三郎は、駒子に持参金つきの婿をとることを勧めた。婿探しに懸命になったお常は、金貸し川喜多の番頭又四郎が駒子に惚れているのに目をつけ、千両の持参金で婿入りする話を決めた。が、駒子の返事がないのを不審に思ったお常は駒子と忠八の仲を臭ぎつけた。清三郎は忠八を木場に連れ出しおどしをかけるが、通りかかったスリ小鴉のおぎんが忠八をかばった。その時おぎんは誤って清三郎の仲間を射殺してしまう。忠八はおぎんの仲間として奉行所に捕われた。その知らせに動顛した駒子に、お常は躍起となって又四郎との縁談を進め強引に結納を交わしてしまった。駒子は死ぬ気で家を出るが浪人安倍丹後に救われ、家に連れ戻された。お常は忠八が処刑されたと嘘を言い遺髪をみせた。今はすべてを諦めた駒子は又四郎を養子に迎えた。奉行所に引かれた忠八は無実の罪が晴れて放免された。それを知った駒子は人妻の身を顧みず、夫の留守に忠八を我が家に引き入れた。こうしたかくれた逢う瀬も長く続くはずはなく、遂に倉の中で抱擁する二人の不義の場を又四郎に発見されてしまった。逆上した又四郎と争う中に駒子は誤って又四郎を殺害してしまった。不義の汚名と、夫殺しの大罪で駒子は忠八ともども引き廻しの上処刑されることになった。裸馬に乗せられた白無垢姿の駒子の凄艶な美しさに野次馬はどよめいた。父庄三郎は美しく生れついた娘の美しすぎるための不幸に泣いた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1960年10月上旬秋の特別号

日本映画批評:白子屋駒子

1960年9月下旬号

新作グラビア:白子屋駒子

日本映画紹介:白子屋駒子

2021/02/28

2021/03/01

70点

映画館/東京都/神保町シアター 


女スリ、キリシタン侍は一体・・・

 これまた身分違いの恋。屏風や紗(?カーテンみたいなやつ)の使い方や配置が秀逸で、奉公人・小林勝彦と材木問屋白子屋の一人娘・山本富士子という、愛し合う若い男女の身分ゆえの隔たりを醸し出している印象を受けた。紗の中で抱き合うふたりをアップで捉えた場面が何と美しいことか。処刑に処せられたはずの小林が実は生きていたという展開も面白い。山本を持参金つきの商人・千秋実と結婚させるための謀であったのだ。
 ただ…事情も知らず婿養子になった千秋実が可哀想過ぎる。結局死んじゃうし。スリの女と隠れキリシタンの侍の役割もよくわからない。女の方は小林・山本の幸福を願っているとかいうけれど、かえってその幸福から遠ざけるようなことをしているようにしか見えない。侍の方も、心中しようとした山本を助けた命の恩人であり、その後の物語に深く関わって行くような気配を見せるが、そういうこともなく傍観者のような存在で終ってしまっていて勿体無い。
 報われぬ恋をした小林・山本も、スリの女も、キリシタンの侍も、考えてみたら罪人もしくは世間から迫害されるようなマイノリティである、という点でだいたい共通している(?)。そういう人間に焦点を当てたかったのか?にしても話がまとまっていない気が…演出意図がよくわからん映画だ(まぁ、そういう映画、国内外問わずいっぱいあるけどね)。

2018/01/05

2018/01/05

65点

映画館/東京都/角川シネマ新宿 


げに恐ろしい女の一念 

冒頭の、裸馬に背中合わせに括られて市中引き廻しされる不義密通の男女を見た材木問屋の一人娘・駒子と番頭の忠八は、ラストで自分たちが同じ姿を見せる事になろうとは夢思っていなかっただろうが、悲劇的結末の到来は見え見えである。

封建時代において、釣り合いのとれない恋愛を成就させる事は絶望的で、事実、目論見通りの経過をふんで周囲をも巻き込んで実家までも壊滅させてしまう。
世間知らずとか、恋は盲目とか、様々な形容詞が当てはまる駒子であるが、あまり感情移入したくなるタイプではない。見た目はともかくあまりに性格が幼稚すぎ、こらえ性が無いのは大きな欠点である。

エピソードとして盛り込まれている和蘭短筒を操る女スリや謎の黒頭巾の侍はそれなりに重要視されているみたいだが、途中で見捨てられたかのように扱われてしまう。一体何だったのだろう。不思議なキャスティングである。

2017/12/29

2017/12/30

66点

映画館/東京都/角川シネマ新宿 


三隅研次の女性映画

‪#1001 角川シネマ新宿「白子屋駒子」。舟橋聖一の原作を衣笠貞之助が脚色した1960年製作の山本富士子主演、三隅研次監督による女性映画。江戸の材木屋の娘と番頭の悲恋を描いた「近松物語」的なストーリーに山本の色気の強調や拳銃使いの女スリや謎の黒頭巾浪人の存在等「雪之丞変化」的要素が加えられている。‬

2015/12/21

2015/12/21

75点

テレビ/有料放送/時代劇専門チャンネル 


一途な恋の行方

材木商の白子屋の娘駒子(山本富士子)と番頭の忠八(小林勝彦)は相思相愛の仲だった。しかし娘と奉公人という組み合わせは、父親(中村鴈治郎)は許しても、婿を迎えようという母親(細川ちか子)とは相容れないものであった。しかも気の弱い父親に対し、母親は店の実権を持ち、はては髪結の清三郎と浮気をして店は傾きかけていた。
忠八はある事件に巻き込まれ、髪結の清三郎に罪を着せられ伝馬町送りに。そのすきに母親と清三郎と語らって忠八を死んだことにして強引に婿をとってしまう。
そして悲劇は大詰めに。
江戸時代の密通という概念と、自由恋愛のままならない世界を美しく、哀しく描いた傑作。チャンバラ映画で切れ味のよい演出を見せる三隅研次が、めずらしくラブストーリーを撮っている。脚本は衣笠貞之助であり、映像も衣笠調の美しさを見せる。
山本富士子の熱演が光る。

2015/06/15

2015/06/15

58点

映画館/東京都/新文芸坐 


苦手

クネクネとしなをつくる山本富士子はどうも苦手だ。「やりすぎ」っていつも思う。まあ後半部との落差を表現したかったのかもしれんがチョットね。
それにしても女スリおぎんとか謎のキリシタン浪人とかは一体何のために出てきてるのか。突然現れ話をややこしくして突然去っていく。あまりにも雑。