女王蜂と大学の竜

じょおうばちとだいがくのりゅう|----|----

女王蜂と大学の竜

レビューの数

5

平均評点

60.4(20人)

観たひと

36

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1960
公開年月日 1960/9/1
上映時間 81分
製作会社 新東宝
配給 新東宝
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督石井輝男 
脚本内田弘三 
石井輝男 
原案牧源太郎 
企画佐川滉 
製作大蔵貢 
撮影岡田公直 
美術朝生治男 
音楽渡辺宙明 
録音鈴木勇 
照明矢口明 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演三原葉子 桜珠美
吉田輝雄 広岡竜二
嵐寛寿郎 桜千之助
天知茂 駒形金竜
近衛敏明 土橋剛造
沖竜次 血桜の達
佐伯一彦 清一
小浜幸夫 末吉
杉山弘太郎 久雄
大友純 
国創典 雄太郎
万里昌代 娘美耶子
浅見比呂志 正一
上林詢 正一の友達
水原爆 一大事の松
原聖二 三国人李
築地博 ライター売り
川部修詩 土橋組兄貴株の男
吉田昌代 おかみ
扇町京子 バシンの小政
佐々木孝子 ズべ公
菊川大二郎 運転手
加藤欣子 老婆
岡竜弘 主人

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

終戦直後の外国人と日本人やくざの対決の実話にヒントを得た牧源太郎の原案から、内田弘三と石井輝男が脚本を書き、「黄線地帯」の石井輝男が監督した。撮影は「怪談海女幽霊」の岡田公直。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

終戦後間もない頃、新橋附近の露天地区では、外国人が横暴の限りを尽くしていた。この地区の縄張である関東桜組は、露天商人達のためにその地区を必死に守った。広岡竜二またの名を“大学の竜”という若い豪の者が桜組にワラジをぬいだ。組長の千之助が見込んで学資を出すといっても、竜二はそれを断った。千之助の一人娘珠美は、一家の指揮もとる男勝りで、竜二の加入を心から喜んだ。かねて外国人と桜組の争いに乗じ、シマ乗っ取りを企らむ土橋組の魔手がのびて来た。桜組の幹部、血桜の達を籠絡して双方をそそのかし、大喧嘩をさせようという企みだった。しかしこの計画は千之助と竜二の活躍で粉砕された。夏祭りの季節が来た。土橋組が神輿の上にストリッパーを乗せると、負けん気の珠美も半纏をぬいで神輿に上る。そこへ祭りの面をつけた一団がなだれ込んで、千之助を人気のない運河のほとりまで拉致した。必死に抵抗するうちに、竜二と珠美がかけつけて、千之助は危急を免れた。堪忍袋の緒を切った千之助は、関東一家の親分衆に回状を廻し、珠美に代をゆずると、土橋一味を敢然叩き伏せてしまった。三年の月日がたった。かつてのマーケットの跡にはビルがたち、桜組は桜建設となった。ヤクザのいなくなった復興祭の舞台では、夫婦約束をした珠美と竜二が楽しそうに踊る姿が見られた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1960年10月上旬秋の特別号

日本映画批評:女王蜂と大学の竜

1960年9月上旬号

日本映画紹介:女王蜂と大学の竜

2010/08/05

2020/10/08

70点

選択しない 


石井イズムに溢れた一作

 新東宝の女王蜂シリーズの第三作目であります。監督は引き続き石井輝男。脚本も石井と内田弘三、撮影に岡田公直、音楽も気心知れた渡辺宙明と、スタッフ陣も石井カラーに染まつてゐます。

 舞台は終戦直後くらゐの東京。「女王蜂」桜珠美(三原葉子)は関東桜組の組長・千之助(嵐寛寿郎)の娘であります。桜組のある界隈では暴力団と化した「三国人」どもがやりたい放題の暴虐ぶりを見せてゐて、地元の露天商たちが困つてゐました。日本人は戦争に負けた癖に大きなツラをするんぢやねえ、といふ感じ。
 三国人たちに負けた訳では無いのですが、奴らは「日本人に勝つた」と意気軒高なのです。ところで「三国人」は今は死語なのでせうか。或はNGワード?

 土橋組といふのが桜組のシマを狙つてゐて、親分の土橋(近衛敏明)は三国人グループの総帥・呉(大友純)と手を握ります。近衛は脂ぎつた助兵衛親爺をやらせたら天下一品。更に桜組の達(沖竜次)を篭絡し、三国人たちと対決させるやうにけしかけます。その隙に乗じて土橋組が果実を頂かうといふ寸法ですな。
 その陰謀は突如現れた風来坊、「大学の竜」こと竜二(吉田輝雄)が妨害します。竜二は桜組の仲間に入つてゐたのです。腕ッぷしは強く、女にもモテモテのおあにいさん。忽ち弟分を多数引き連れブイブイ言はす存在になります。

 竜二に悉く企みを粉砕される土橋は、夏祭りを逆襲のきつかけにせんとします。祭りの神輿になぜか肉体女優を乗せ、桜組に迫ります。負けじと桜組は珠美自らが神輿に乗り対抗。
 この意味不明のセクシー対決を、千之助は必死に止めやうとしますが、覆面の集団に踊りに紛れて拉致されてしまふ。駆け付けた桜組のメムバアによつて救はれますが、千之助は傷つくのであります。

 千之助は遂に決戦を決意、関東一家に廻状をまわして、親分衆の前で跡目を珠美に譲ると表明、即席の襲名式を披露します。桜組が珠美の指揮で先陣を切る......!

 久保菜穂子を継いで二代目女王蜂となつた三原葉子が、伝法かつ妖艶な女親分を好演します。女子分たちを引き連れてのし歩くのが様になつてゐます。やはりこの役に関しては、女優交代は成功でせう。大学の竜・吉田輝雄も長らく石井組として活躍する人。ハンサムタワーズの中でも、石井監督は何故か吉田を重用しますね。お陰で東映では異常性愛ものに付き合はされて気の毒でした。

 後に「網走番外地」でレギュラーになるアラカンも、これが石井監督との初顔合はせらしい。大御所の登場は画面が引き締まりますね。おきやんな万里昌代も存在感を示します。浅見比呂志とのコンビも良い感じです。
 一方天知茂は、桜組の代貸的な存在なのに、良い場面がないのです。ワルどもの手によりあへなく連行されてしまひ、その後のクライマックスも出番もありません。勿体ない起用法と申せませう。

 前作もさうでしたが、善側の犠牲者が殆ど出ません(今回も普通の展開ならアラカンは死ぬところでせう)。甘いかも知れぬが、元元勧善懲悪とは、かういふものです。三原と吉田が結ばれるのを示唆する結末も嬉しい。ご都合主義の脚本も石井監督のサアヸス精神が免罪するのでした。ハピイエンド万歳!

2019/09/02

2019/09/03

65点

選択しない 


嵐寛寿郎とグラマー女優

石井輝男の娯楽作品ということで、楽しく鑑賞しました。当時の三原葉子は、キリっとした顔立ちで美しい。ハッピ姿はさすがグラマー女優で、谷間が眩しかった。吉田輝雄も爽やかな感じで好感が持てました。美耶子役は万里昌代さんなんですね。扇町京子さんも出ていてグラマー女優がたくさんでした。

いろいろと楽しいシーンもあり、三原葉子のハッピ姿、万里昌代さんの代わりに吉田輝雄が布団に入ったり、もちろん神輿に乗ったストリッパーも…。というわけなんですが、残念ながら最後の殺陣はちょっとゴチャゴチャで状況が今一つ伝わってきませんでした。ラストなのでしっかり見せて、いろいろ回収して欲しかったところです。そういう意味で、いろいろ愉しみが詰め込まれてはいますが、その場限りな場面もあって、まとまりが悪いような感じもした次第です。

2017/05/29

2017/06/29

55点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


石井輝男らしいサーヴィス精神

シネマヴェーラ渋谷の石井輝男特集、昔TVで後半だけ観たことがある「女王蜂と大学の竜」は、戦後の闇市マーケットを舞台に、ここを縄張りにするアラカンと、スケバングループを率いる男勝りなアラカンの娘(後にアラカンの跡目を継いで二代目を襲名する)三原葉子、それに偶然三原を助けたことからこの組に加勢するようになった元特攻隊崩れの通称“大学の竜”こと吉田輝雄らが、三国人・大友純の一味と組んで縄張りを狙うヤクザ・近衛敏明ら一派と争うという、よくある設定のお話を、ご都合主義満載の展開で進めてゆくという、はっきり言っていい加減な脚本ですが、三原葉子の友人でやっちゃ場勤めの万里昌代が悪役ヤクザ近衛敏明に旅館に連れ込まれて、あわや強姦されそうなところに、万里の恋人役の浅見比呂志が乗り込む場面や、街のお祭りの夜、近衛敏明グループは神輿に人気ストリッパーを乗せて注目を集めると、アラカン側は親分の娘・三原葉子が自ら露出度の高い法被姿で神輿に乗り、ワッショイワッショイと神輿合戦を繰り広げる場面など、観客受けしそうな場面を次から次へと注ぎ込んでゆくサーヴィス精神が、いかにも石井輝男でした。

2010/08/29

2017/05/29

55点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


嵐寛寿郎、石井映画初出演作

敗戦後の混乱期、マーケット運営の利権を狙う三国人同盟に加担する新興やくざ土橋組に対して、古くからの信義を大切にする関東櫻組組長は、土橋組の嫌がらせに対しても我慢を命じ、若い組員にははねっかえる者もあらわれる。

新東宝版任侠ドラマであるが、ストーリーにしろ、殺陣にしろ、あまりこなれている印象はしない。
嵐寛親分が祭りの場から、面をかぶった土橋組の組員に踊りながら連れ出され、刺されるシーンは、マキノ雅弘演出そのままなのはいただけない。

1974/10/19

2012/03/25

62点

映画館 


ヒロインは久保から三原葉子に

「女王蜂」シリーズではあるが、ヒロインは久保から三原葉子に。旅人の吉田と組長の娘三原が三国人の暴虐からシマを守る話なので、私怨がないのが話として弱い。