肉体の野獣

にくたいのやじゅう|----|----

肉体の野獣

レビューの数

7

平均評点

52.2(21人)

観たひと

31

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1960
公開年月日 1960/5/7
上映時間 74分
製作会社 新東宝
配給 新東宝
レイティング
カラー シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督土屋啓之助 
脚本土屋啓之助 
金田光夫 
企画金田光夫 
製作大蔵貢 
撮影平野好美 
美術加藤雅俊 
音楽八木正生 
録音片岡造 
照明小山正治 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演川喜多雄二 瀬川美彦
三原葉子 矢島ルミ子
三田泰子 安川みどり
三条魔子 大沢瞳
若杉嘉津子 早苗
瀬戸麗子 啓子
市川美千子 栄子
魚住純子 有明千鳥
中村虎彦 大沢院長
山村邦子 育代
高松政雄 川上主任
飯田公夫 宮原
沖啓二 吉野
渡辺高光 
宮浩一 刑事

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

土屋啓之助監督の第一回作品で、同監督は昭和二十二年新東宝入社、千葉泰樹、市川崑、小森白らに師事した。脚本は金田光夫に土屋啓之助、撮影は「大天狗出現」の平野好美。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

青年医瀬川が三年の遊学から帰ってきた時、恋人は行方が知れなかった。彼は城南病院産婦人科で次第に評判をあげていき、院長候補に目され始めた。ある日院長の代理で手術を行おうとした時、患者は恋人矢島ルミ子だった。彼はルミ子の家を訪ねて、くわしく聞いた。--矢島家が倒産し、彼女は外国人と結婚させられた。そのあと、ナイト・クラブのマダムをした。--彼は彼女を許せなかった。が、親友の宮原から励まされ、結婚を決意してクラブを訪ねた。が、ルミ子こそ、町のボス吉野の情婦なのを知り、彼は復讐を心に誓った。肉体の野獣と化したのだ。病院外での、彼の生活は一変した。彼に同情していた看護婦の安川や、アパートの未亡人早苗が、彼の毒牙にかかった。彼はまた、宮原の出張の間に、その許婚者啓子を襲った。テレビスター千鳥をもおどした。が、みどりは彼への同情をすてなかった。彼は院長の娘瞳から好意をもたれていたが、みどりは院長に彼の行状を密告した。院長は彼をさとしたか、逆に二号との関係を種におどされ、娘との結婚を承諾した。式は終った。瀬川はルミ子が脅喝傷害の吉野と共犯で捕り、釈放されたのを知ると、彼女を思い出の江の島に呼び出した。彼女は彼を信じ、吉野の手を逃れてきた。瀬川は瞳と二人で現われ、彼女をあざ笑った。が、立去りかけた彼に、木蔭からみどりがぶつかっていった。野獣は刺され、死んだ。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1960年5月下旬号

日本映画紹介:肉体の野獣

2020/02/15

2023/08/29

55点

選択しない 


これは復讐と呼べるのか

 これまた如何にも大蔵新東宝らしいタイトル。監督はこれが第一作となる土屋啓之助。忍者部隊月光。脚本は土屋啓之助と金田光夫、音楽は八木正生。ジャズ風のサウンドが瀟洒です。

 若き医師・瀬川(川喜多雄二)は、恋人のルミ子(三原葉子)と将来を誓ひ合つてゐましたが、一年間の海外研修の間に、ルミ子は姿を消してゐました。或る日院長(中村虎彦)の代理で中絶手術を担当した際、患者が何とルミ子でした。術後、ルミ子を問ひ詰める瀬川。ルミ子の話では、瀬川が日本を発つた後、父が死去し多大な借金が遺され、女が出来る事は限られてゐたと。で、現在はクラブのマダムをしてゐました。

 ルミ子を許す事が出来ない瀬川でしたが、友人宮原(飯田公夫)の「すべてを許して結婚するんだ」とのアドヷイスを受け、意を決してルミ子のクラブを訪ねます。しかしルミ子は暗黒街のボス・吉野(沖啓二)の情婦となつてをり、もう二度と来るなと冷たく追ひ返します。縋る瀬川を、吉野とその配下たちはボコボコに痛めつけるのでした。因みに沖啓二は後の沖竜次で、更に高須賀忍と改名しましたが、撮影中に不幸な事故で命を落してゐます。

 瀬川はルミ子を憎み、女への不信感で満ちてゐました。復讐を誓ひ、周囲の女たちを次から次へと襲ふ強姦魔と化したのでした......

 エリート産婦人科医の川喜多雄二が、婚約者の三原葉子に裏切られた事から復讐魔となり、文字通り「肉体の野獣」となる物語です。松竹ではそれなりのスタアだつた川喜多がレイプ魔とは、如何なる思ひで演じたのでせうか。しかもこれは復讐と呼べるのか、よくわかりません。

 餌食となるのは、看護婦の三田泰子、友人の妻・瀬戸麗子、アパートの未亡人・若杉嘉津子、更には極秘で堕胎手術を受けに来た歌手の魚住純子らで、その上院長の娘・三条魔子と政略結婚しやうとします。
 川喜多の女関係を暴いた匿名の手紙が院長あてに届いて一瞬ピンチになりますが、逆に川喜多は院長の二号(市川美千子)の存在をタネに脅し、まんまと三条魔子との結婚を成立させます。

 一方三原は沖啓二とともに逮捕され、釈放された後、川喜多とやり直さうとムシの好い事を考へますが、勿論川喜多は許しません。復讐なつたと高笑ひの川喜多に、まさかの結末が!
 結局誰にも感情移入出来ない物語なので、爽快感はございませんね。三田泰子には同情的に観てゐましたが、最後に何と銃を連発! こんなものどうして持つてゐたのか、全く唐突で笑つてしまひます。

 ラストで立ち尽くす三人の女たちが印象的。夫々がそれなりに魅力的なんです。三人とも名前が「三〇〇子」なのは偶然でせうか。男優だと「佐野周二」に肖つて、「佐田啓二」「佐原健二」「佐原廣二」らがゐますね。
 新人監督、白黒作品、スタア皆無で見るからに低予算映画ですが、まあこれも三原葉子さんの熱演に免じて微苦笑で済ませませう。

2023/08/24

2023/08/24

35点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


蔵出し名画座

新東宝作品。余りにも平凡な作品でしたので保存は取り止めました。エロチックな場面も皆無。

2023/07/13

2023/07/21

54点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


日本映画専門チャンネル「蔵出し名画座」で川本三郎氏が取り上げなかったら出会う機会がなかった作品だったと思う。

土屋啓之助監督がこの作品でデビューしたのは新東宝倒産の前年である。当時の新東宝は、低予算であるが故のチープで荒唐無稽の作品が多かった(wiki)。この作品、レベルの高い出来栄えと言えるものではないが、新人監督がそのような制作現場の中で、最低限度でもそつなく纏めて、ストーリーとキャラクターに矛盾がなく、カタストロフィーへの伏線もきちんと張られた作品を作り上げたのは凄いことだと今更ながら思う。
キネノートのデータを見ると、彼が普通のドラマを監督したのはこの1本だけだった。新東宝倒産後は主にテレビ界で「マグマ大使」とか子供向け特撮ヒーロー映画を撮っていたようで、wikipediaの「人物・エピソード」欄を見ると彼の活躍ぶりが面白い。

もともと歯科医の資格を持つ川喜田雄二が女性遍歴を重ねる医者に扮していた。
三原葉子に女優として華があった。同じ新東宝映画の石井輝男監督作品で魅力を発揮していたが、この映画での彼女もオーラがあって存在感を示した。
沖竜次を久々に観た。丹波哲郎のように、新東宝で長い間脇役を続けながらブレイクする同じパターンをいくかと密かに期待していた。クレジットで少しずつ名前が大きくなりかけていたのに、突然の事故で亡くなった。惜しい人である。

八木正生のジャージィな音楽が映像を引き締めている。データによると、これが映画音楽デビュー作とのことである。

2018/09/17

2018/12/06

45点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


川喜多雄二の実人生に驚き

シネマヴェーラ渋谷の新東宝特集「肉体の野獣」は、事前にチラシの解説文を読むと、“余りに自分勝手な男の悪事の顛末を描いた医療エロス・サスペンス!?”などと書かれていて、いわゆるトンデモ映画の部類かと思ったら、八木正生のシャープなジャズが効いて、想像したものより相当まともに観られる復讐譚でした。
それにしても、「君の名は」三部作では堂々のライヴァル役だった川喜多雄二が、強姦魔を演じるというのですから、その落差には驚きを隠せずにいたところ、川喜多のウィキペディアを調べたら、彼は東京歯科大学を卒業後、父親の後を継いで歯科医を開業していた時、画家の岩田専太郎の知遇を得て映画の道に入り、1960年代後半には俳優を廃業して再び歯科医に戻ったそうであり、そんな彼の実人生にはもっと驚きました。
ところで「肉体の野獣」には、川喜多雄二が歌手役の魚住純子を待ち伏せする場所として、メインビルをまだ建築中の河田町某局が映りました。某局はこの映画の1年前にはスタジオが完成して開局していますが、開局後もスタジオの増築を重ねていましたから、その途中を映した貴重な映像資料です。

2018/09/20

2018/09/20

50点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


題名からいろいろ想像しても・・・

イギリスに留学した青年医師の瀬川、帰国すると恋人ルミ子が待っていてくれる筈だったが姿を消していた。
ルミ子が身を持ち崩したことに怒った瀬川は復讐を誓うが、その方法が手近な女を半ば手当たり次第に身体を奪うという方法。
瀬川が若くて地位もあるハンサムな男なので、納得ずくのような様な気もしますが、瀬川が院長の娘と結婚することで、あわよくばと思っていた被害女性陣に動揺が走ります。
そしてその中の一人が瀬川に逆復讐を果たします。

思わせぶりな題名の割には毎度のことながら、見てがっかりの大蔵新東宝の作品です。
けれども、そのチープさがある意味で魅力でもあって、怖いもの見たさにも似た不思議な感覚です。

2018/09/17

2018/09/18

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『肉体の野獣』。カッコいいジャズの音楽がつくが、お話はとほほ。三原葉子に裏切られたと思った川喜多雄二が女に復讐を宣言する。宣言シーンは壁にそれらしいポスターの貼ってある街の片隅。手当たり次第に女に手を出すが、復讐になっているんだろうか疑問。三条魔子のクレジットがないのは何故?。