勝利と敗北

しょうりとはいぼく|----|----

勝利と敗北

レビューの数

7

平均評点

69.8(22人)

観たひと

34

観たいひと

5

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1960
公開年月日 1960/4/27
上映時間 116分
製作会社 大映東京
配給 大映
レイティング
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督井上梅次 
脚本須崎勝弥 
井上梅次 
企画原田光夫 
製作永田雅一 
撮影中川芳久 
美術仲美喜雄 
音楽奥村一 
録音飛田喜美雄 
照明久保田行一 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演山村聡 峰岸謹平
川口浩 山中宗夫
三田村元 吉川淳一
本郷功次郎 旗哲太郎
新珠三千代 高松小夜子
若尾文子 阿部志津子
野添ひとみ 山中葉子
安部徹 郷田謙造
船越英二 須磨隆介
友田輝 丘野志郎
花布辰男 桜井
見明凡太朗 近藤
高松英郎 松田
伊東光一 山本
浦辺粂子 さと
潮万太郎 高見啓介
村田知英子 きよ
星ひかる 平野
村上不二夫 貴島
藤山浩一 北林
守田学 沢井
大山健一 真島
津田駿二 江藤
藤巻公義 
立花宮子 桑野選手の妻
南左斗子 事務局長秘書
小原利之 大村
金子繁治 佐々木五郎
白井義男 解説者
郡司信夫 解説者

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

須崎勝弥・井上梅次の脚本を「嵐を呼ぶ楽団」の井上梅次が監督したボクシシグ映画。「貴族の階段」の中川芳久が撮影した。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

全日本ウェルター級チャンピオン・佐々木が突然引退声明をした。ために早急に次期チャンピオンを決定しなければならなくなり、各ジムから挑戦資格者が続続名のりをあげた。最有力な峰岸ジムではその推薦をめぐって一つの争いが起きた。峰岸は最初からボクサーとしては盛りをすぎた年齢ではあるが、ランキング一位にある山中を推すつもりだった。が峰岸のジムにはノックアウトキングという異名をとり学生からプロ入りした旗がいた。彼は自分の実力が認められないのを不満に思い峰岸のジムを飛びだした。暗黒街のボス郷田は、旗を自分の息のかかった松田ジムに引取った。旗は近藤ジムの吉川と闘うことになった。この勝負に勝てば一位の山中に挑戦することになる。吉川は山中の妹葉子の愛を得るためにどうしても勝ちたかった。が、激しい練習で右手を負傷した。試合は最初から旗の一方的な優勢のうちに進められた。しかし、最終回吉川のアッパーカットがきき旗はダウンを喫して引分けとなった。その後、吉川はオートバイを飛ばしすぎて足を折った。旗が一位の山中に挑戦することになった。旗も峰岸にさとされ、フェアな拳闘に対する気持ちをもち始めていた。峰岸は郷田の手から旗を取り戻さねばならぬと考えたが、金を積めと要求された。恋人の小夜子が、結婚を迫る実業家から金を借りて峰岸に用立てた。小夜子は峰岸に心の中で訣別をした。峰岸は旗を近藤ジムに托し、自分は山中に全力を傾けた。試合当日、山中と旗はリングに上った。激闘。遂に旗が勝った--。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1969年1月下旬正月特別号

外国映画批評:勝利と敗北

1960年5月下旬号

日本映画批評:勝利と敗北

1960年5月上旬号

日本映画紹介:勝利と敗北

1960年4月下旬号

特別口絵:「勝利と敗北」の井上組

2023/06/07

2023/06/07

74点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


ボクシングとドラマ

いかにしてフェアなスポーツ精神に持って行くかが見所。
また、業界の裏側のドラマも見易い映画。

2023/04/05

2023/04/11

57点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


井上梅次監督による中期の作品。初期と比べて切れ味が悪くなっているが、後期ほどにはダレていない出来栄え。

初見である。
話はボクシング業界内輪の揉め事である。ヤクザのボスを演じる阿部徹は同監督による日活初期の作品「三つの顔」と同じパターンて感動を呼ぶシーンを作る。以前から井上梅次監督には、ヤクザと堅気の人々との情緒的な繋がりを描いて感動的なシーンにしようと目論むところがある。石原裕次郎の「明日は明日の風が吹く」では堅気の素直な少女に育っている浅丘ルリ子にそっと遠目から幸せを祈るヤクザの父親(大坂志郎)を描いて涙腺を刺激しようとする。「ステラ」男性版である。井上梅次には、この感覚がつきまとう。ヤクザ映画の中には作品として良いものがあるのは認めるが、こういうボーダレスな無神経さをロマンティックに描くのは禁じ手だと私は思う。

前半が甘い。ショットのキレが良くない。後半になって、川口浩と本郷功次郎が対戦相手に絞られていく辺りから話は盛り上がり、もたもた感が消える。

若尾文子が、ボクシングから足を洗えない恋人(川口浩)に愛想を尽かして別れを告げた筈なのに、彼の試合当日には テレビ中継を観ようとして、喫茶店や食堂などをハシゴする。テレビが一家に一台も無かった時代の風俗が見られる。

男から男へとうつろう野添ひとみと、別れてもなお元カレにこだわる若尾文子、二人を対照的に描いて、しかも二人とも元カレと元の鞘に収まってメデタシメデタシとなる。この恋愛話はメインストーリーに関係しない単なる風俗描写に終わっている。前半のダラダラ感を増すのに貢献している。
これに対して、バァのマダム新珠三千代を巡って山村聰と船越英二がライバル関係になる恋愛模様はメインストーリーの展開と巧く噛み合っていてドラマを盛り上げている。当時37歳の船越英二の老け役はちょっとキツかったように思うが...。

2023/04/10

2023/04/10

68点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


拳闘と言っていた時代

ボクシングではなく、拳闘である。当時はスポーツではなく、賭け事あるいは金儲けのために結構悪いのがいたようだ。
チャンピオンの突然の引退で、次のチャンピオンを決めるために4人の選手が選ばれ、それぞれ闘わせて勝者をチャンピオンとしようという試みだ。これにはジムの思惑も絡み選手同士と言うよりもジム同士の争いにもなっている。
候補者はランキング1位の山中(川口浩)、吉川(三田村元)、旗(本郷功次郎)、丘野(友田輝)の4人。本当は旗はランキング7位だったが、これまでの成績と上位選手の怪我などで代表として選ばれる。
山中の妹葉子(野添ひとみ)は吉川と恋人同士だが、旗が邪魔をする。山中は幼なじみの婚約者志津子(若尾文子)がいるが、志津子は拳闘嫌いの先生。ここいらの女性の心の動きも見物。
さらにジムの経営者峰岸(山村聡)、郷田(安部徹)などの駆け引き。峰岸とバーのマダム高松小夜子(新珠三千代)と実業家須磨(船越英二)の三角関係なども交え色々なドラマが見られる。
最終的には選手の勝ち負けよりも、峰岸会長の人柄を持ち上げる演出になっている。
盛り沢山の登場人物だが、それなりに整理されていて見やすい。ボクシングシーンもまずまずだが、やはりぎこちない。
テレビの解説者に白井義男(元世界フライ級王者)と郡司信夫(TBSのボクシング解説者)が登場。

2023/04/09

2023/04/09

85点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


日本が誇って良い拳闘映画(若尾文子出演作)

久しぶりに観たら、日本が誇ってよい拳闘映画の佳作だった。

初見のシネマヴェーラ渋谷(2018年2月26日)では「若尾文子出演作」として観たので「自分が生まれる前の若尾文子をカラーで見られて綺麗。でも出番少ない…」の微妙な感じだったが、BS日本映画専門チャンネル【蔵出し名画座】で放映されたので「もう一回観てみるか…」というニュートラルな立ち位置で見たところ、とんでもなく面白かった! そして感動した!

1960年の「拳闘映画」である本作、知らないボクサー同士の拳闘場面から始まる。そしてチャンピオンが突然引退発表して王座空席となったことから、チャンピオンを目指す3人のボクサー(川口浩、本郷功次郎、三田村元)のドラマ、それぞれのジム会長どうしの思惑・駆引き物語、恋人たちとの思いなどが描かれている。
様々な視点でのドラマの絡み合いが絶妙で、まったく飽きることなく楽しく観られる映画となっている。井上梅次監督の手腕が光る。

川口浩の恋人役は若尾文子(小学校教師)…何度も恋人役している定番ww…、本郷功次郎と三田村元の狭間で心揺れる野添ひとみ、ジム会長=山村聰を思うバーのマダムが新珠三千代(東宝)などだが、こうした関係が「横関係だけでなく、縦関係としても描かれた映画」なので面白い!
とりわけジム会長=安部徹の「悪役的だが【粋】なあたり」には感動。

物語詳細は割愛するが、この時代(1960年頃)は「テレビを見るのも一苦労」だったようで、若尾文子が川口浩の拳闘試合を白黒テレビで見ている喫茶店では他の客にチャンネル変えられたため町中でテレビを見られる店を探しまわる。また、野添ひとみはテレビでなくラジオで拳闘中継を聞いていたりする。

二度目の鑑賞で「えっ!」となったのは、本郷功次郎が野添ひとみにビール口移し場面では思わず笑わせられて、新珠三千代が山村聰に「(お金の工面するかわりに)私を抱いて」という場面は色っぽ過ぎ……(笑)

なかなか盛りだくさんのエピソードが楽しめる面白い大映映画であった。

<映倫No.11645>

2018/02/26

2018/02/26

60点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


若尾文子の未ソフト化作品

本日2018年2月26日、渋谷シネマヴェーラにて鑑賞。

未見の若尾文子出演作品が上映されたので、映画館へ。
未ソフト化作品。

「シネマヴェーラ的 大映男優祭」のうちの1本だが、大映映画はこうした作品も上映されるのでチェックが欠かせない(笑)

さて、肝心の映画は、ボクシング映画だった。

物語は、チャンピオンを目指す3人のボクサー(川口浩、本郷功次郎、三田村元)の闘いにトレーナーや恋人など周りの人達の思い・思惑などを描いたスポーツドラマ。

若尾文子は、またまたまた…、川口浩の恋人役で小学校の教師。(授業場面は無し)

共演の野添ひとみは大映映画なので良くあるが、新珠三千代(東宝)と若尾文子の共演映画は、恐らく初めて観た。

自分が生まれる前のカラー作品で、綺麗な若尾文子を見られて、声を聞けて、スクリーンを観ながらデレデレして顔がニヤケた「至福の時間」であった(笑)

なお、映画自体の出来は良くないので、ソフト化は難しそうである。

<映倫No.11645>

2018/02/26

2018/02/26

65点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


力み過ぎ

ボクシング映画の佳作が多くみられるようになる前の、拳闘映画で中々の力作です。

拳闘はリング上で、1対1で勝負をするというのが最大の決まり事です。しかし本作は、ボクシングジムが3つ関わり、善・悪・中道と見事に色分けされ、付き合う女性も微妙に干渉し合い、同階級で同じジムの選手が対戦するハメになるなど、試合以外のエピソードをやや盛りすぎてしまいました。

その為ではないですが、ボクシングの試合のリアル感が希薄で、特に本郷功次郎の動きは見るに堪えない下手さで、昔は役造りの時間もあまりとれなかったと思いますが、一番大切なシーンが嘘っぽくてはやはり盛り上がりに欠けます。