パイナップル部隊

ぱいなっぷるぶたい|Hey,Pineapple!|----

パイナップル部隊

レビューの数

2

平均評点

60.9(10人)

観たひと

13

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 戦争
製作国 日本
製作年 1959
公開年月日 1959/12/27
上映時間 97分
製作会社 松竹・京都
配給 松竹
レイティング
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督内川清一郎 
脚色小国英雄 
原作ロバート・本郷 
企画松本常保 
製作岸本吟一 
撮影太田喜晴 
美術水谷浩 
音楽黛敏郎 
録音高橋太朗 
照明村田政雄 
一瀬与一郎 
編集野村政七 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演杉浦直樹 隅田(サブ)
マイク・佐野 沖永(オキ)
ミッキー安川 山村(ネコ)
ロバート・本郷 コンノ(ケン)
月原一夫 カネイ(ジム)
中原功二 アべ(バード)
青山宏 熊谷(ブッダ・ヘッド)
大川二三夫 鈴木(スージー)
山下洵一郎 石川(ピーター)
ビル・ロス マイルズ中尉
ジェリー・イトウ マーチ軍曹
カーロス・ニューカム テーラー中尉
ハワード・ラーソン プライス大尉
セルダン・ウェッソン ヘンリー軍曹
伴淳三郎 政五郎
十朱幸代 小夜子
山田五十鈴 茂代
桑野みゆき 雪子
石倉英彦 
春川ますみ べティ
小坂一也 余儀
大下耕二 下士官
西田智 下士官
木暮瑛 下士官
中原伸 下士官
永井邦近 下士官
池田恒夫 兵士
小川省三 兵士
小田草之助 兵士
南里宗太郎 兵士
中田耕二 赤軍将校
高瀬進 北鮮軍
簑和田敏 北鮮軍
水上杢太郎 北鮮軍
高岡成計 北鮮軍
南泰介 北鮮軍
沢村貞子 おみね
高橋とよ 熊谷の母
美村安子 ホステス
鈴木房子 年増芸者
原純子 年増芸者
夏木恵梨 年増芸者
大和久乃 年増芸者
神楽坂浮子 若い芸者
北条喜久 若い芸者
松井康子 若い芸者
永井三津子 若い芸者
近森和子 若い芸者
朝海圭子 お茶屋の娘
森八郎 寿司政の客
野沢英一 ブッダ・ヘッドの父
曽呂利祐平 お茶屋の男衆
和歌浦糸子 お茶屋お内儀
生方功 酔っぱらいの男
葉山正雄 巡査
西村公恵 見合いの娘
山本恭子 見合いの娘

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

日系二世ロバート・本郷が、朝鮮動乱での自らの体験を綴った「ヘイ・パイナップル」の映画化。「血槍無双」の小国英雄が脚色し、「妻の勲章」の内川清一郎が監督した。撮影は「新二等兵物語 吹けよ神風の巻」の太田喜晴。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

朝鮮戦争中の一九五一年、ハワイで召集された日系二世の若者たちが日本の土をふんだ。寿司屋を営む政五郎伯父に会うのを楽しみにするサブ、許婚者をハワイに待たせているオキ、美人の写真をお守りにしている写真屋のアベ、仏教徒の親からお守り札を持たされているのでブッダ・ヘッドとよばれる熊谷、真面目なコンノ、ウクレレの巧い山村、孤独な石川、女のように優しくてスージーとよばれる鈴木、黒人とのハーフのカネイ等がその一隊である。上陸早々キャバレー・パラダイスクラブに出向いた一同は、派手なドレスで片言の英語を話すベティに会って煙にまかれた。次にサブの伯父政五郎が自分の店に一同をよんで勝手のちがうごちそうでもてなしてくれた。政五郎の一人娘小夜子もみんな歓待した。三日後、いよいよ彼等は朝鮮戦線に出動した。マイルズ中尉の指揮で、隊員たちは勇敢に戦った。鈴木が最初の犠牲者となった。翌日、みんなに慰問袋がとどいた。ハワイの許婚者に裏切られてショゲていたオキは、日本で知りあった清純な少女雪子の手紙によろこんだ。朝鮮軍の軍服をまとって警察に出、貴重な情報を集めた手柄によって、プライス中隊長から一同は一週間の休暇を与えられた。雪子の貧しさを見て給料を贈ろうとしたオキは、雪子の母茂代に誤解をうけてしまった。再び戻った雪の朝鮮戦線は地獄だった。コンノ、ブッダ・ヘッド、オキ、アベと戦死者が相次いだ。日本人の血を継ぐ隊員たちは、「バンザイ!」を叫んで突撃した。負傷したサブは日本に送られ、山村とカネイだけが残った。或る日サブを病院に見舞った政五郎、小夜子、雪子、茂代等はオキの戦死をしらされた。オキの遺族に支払われる保証金の指定受取人は雪子になっていた。日本を離れて故国に帰るパイナップル兵たちの眼には涙があった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1960年2月特別号

日本映画批評:パイナップル部隊

1960年1月上旬新春特別号

「パイナップル部隊」の内川組:

新作グラビア:パイナップル部隊

日本映画紹介:パイナップル部隊

2022/10/22

2022/10/24

53点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


戦闘場面と人間ドラマの遊離

ネタバレ

朝鮮戦争に参加したハワイ在住の日系二世の物語である。彼らは米軍に入隊して過酷な訓練を経て日本の米軍基地に駐留したのち朝鮮半島に渡り参戦する。

隊員のメンバーひとり、オキは街で通りがかりの客の似顔絵を描いて収入を得ている雪子(桑野みゆき)と出会う。雪子は美大に進学して絵画を学びたいのだが経済的に無理だと諦めているのを知り、彼女に金銭を援助しようと申し出るが、誇り高い彼女の母親(山田五十鈴)に拒まれてしまう。
戦地でオキは雪子からの手紙を受け取る。手紙にはオキの似顔絵が同封されていた。雪子には、想像だけで彼の似顔絵が描けたのだ。雪子の想いが伝わってくる似顔絵をオキは心の支えにしながら凍えそうな戦場で生き抜こうとするが、あえなく戦死してしまう。
雪子に宛てた手紙には遺族補償金の受取人を雪子とする金銭と彼女が描いてくれた似顔絵が添えられていた。似顔絵はボロボロになっていて、過酷な戦場でも似顔絵を手元から離さなかったオキの熱い想いが伝わってくる。
小国英雄は優しい心情を言葉でなく映像で見せるのが巧い。そういえば、黒澤明が小国英雄を重用したのは「物語の精神性」にあると言っていたのを思い出した。

小国英雄らしい優しいエピソードはその前後に挿入された朝鮮戦争の拙劣な描写で効果を減殺させた。
そもそも全体の戦場における敵味方の状況が分かり難い。そして何よりも、爆撃シーンは迫力だけはあるが、ただ物理的に爆発させているだけで、ドラマとして恐怖感や緊迫感の効果を挙げていない。ドラマと爆発シーンが水と油のようにマッチングしていないのだ。その結果、爆撃の映像とセット撮影の彼らの戦場での動きが全然繋がっていない。内川清一郎が爆撃シーンには監督としてカメラワーク等でタッチしていなかった(タッチできなかった)のではないか(ちなみにこの映画の冒頭及びクレジットで、米国務省、米陸軍、自衛隊が協力したと記されている)。
寒々とした学芸会を見せられた感じが残る。
「君の名は」の数寄屋橋で男女が出会うシーンの方が爆撃の恐怖感や緊迫感がよく出ていた。

この映画の惹句に「松竹がこの映画の制作権利を巡り米国2大映画社(MGM・20世紀フォックス)と世界的争奪戦!独占製作を勝ち取った!」とある。それが本当だとすると「それでこの結果かよ!」と言いたくなる。企画倒れで監督内川清一郎にしては凡打となった。
せっかく小国英雄が書いた戦争を挟んだ男女の愛情物語は埋没してしまった。

2022/09/15

2022/09/15

68点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


日系人の朝鮮戦争

朝鮮戦争時代にハワイ出身の兵士たちで作られた部隊の活躍。
立川基地に一時降り立ち、そこで部隊編成や何かしたんだろうなあ。外出許可を取り消されたことで、こっそり許可証を盗み出し、更に知り合いの軍服を着て出かける新兵たち。
東京に行くと言って出かけたのは銀座とか馬込橋とかであるが、この当時の電車事情はどんなものだったんだろう。今でも立川東京間は特別快速で45分弱。当時なら往復で2時間もかかったろうに。それを銀座で遊んで夜就寝時間前に立川に帰ってくることができるだろうか。この設定ははちょっと嘘くさい。
色々な兵士の出自や、恋物語などを取り混ぜて、基本的には日系人の日本人としてのプライドや、アイデンティティーを描いている。
捕虜になった朝鮮兵が日本兵が参戦していると怖がっている場面があるが、やはり日本の兵隊は怖かったんだろうな。
桑野みゆきと十朱幸代が色を添えている。