尻啖え孫市

しりくらえまごいち|The Magoichi Saga|----

尻啖え孫市

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レビューの数

4

平均評点

57.9(31人)

観たひと

60

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1969
公開年月日 1969/9/13
上映時間 104分
製作会社 大映京都
配給 大映
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督三隅研次 
脚本菊島隆三 
原作司馬遼太郎 
製作永田雅一 
撮影宮川一夫 
美術西岡善信 
音楽佐藤勝 
録音大谷巖 
照明中岡源権 
編集谷口登司夫 
スチール小山田幸生 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演中村錦之助 雑賀孫市
栗原小巻 小みち
本郷功次郎 法専坊信照
中村賀津雄 藤吉郎
勝新太郎 織田信長
梓英子 藤吉郎の妻寧々
南美川洋子 加乃
志村喬 孫市の父
しめぎしがこ お美和
小林直美 辻君の明美
五味龍太郎 牧田三右衛門
香川良介 半井驢庵
内藤武敏 柴田勝家

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

司馬遼太郎の原作を、「あゝ海軍」の菊島隆三が脚色し、「鬼の棲む館」のコンビ、三隅研次と宮川一夫が、監督、撮影を担当した時代劇。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

元亀元年の二月、織田信長の城下町に、見慣れぬ男が現われた。紀州雑賀衆の頭目・雑賀孫市であった。雑賀衆は、三千人からなる日本最強の鉄砲集団で、戦国の大名たちに恐れられている庸兵の一団である。信長は不審に思って、藤吉郎に尋ねたが、藤吉郎にも見当がつかなかった。藤吉郎の妻寧々が探ってみると、彼が先年京で見染めた、足首の美しい女が信長の妹君と知り、ここまで追ってきたのだった。藤吉郎は、信長と計って、織田一族の娘・加乃を“素足の女”に仕上げることにした。その年の春、信長は、越前の朝倉義景を攻めた。孫市は、姫のいる京に近いことと、雑賀衆の値を釣り上げるよい機会と、わずか五人の手兵を連れて一軍に加わった。そして、得意の銃撃戦で、たった半刻のうちに落城させて、信長に鉄砲の威力をまざまざと見せて、舌をまかせた。だが背後の浅井長政が寝返ったため、信長は、藤吉郎に後を託して、京へ引揚げた。藤吉郎は、孫市にも退くよう説いたが、城に留まって、朝倉の追撃隊を散々にけ散らして信長の後を追った。京へ帰った孫市は、偶然の事から姫が偽者だと知り、藤吉郎をなじって、信長・藤吉郎と別れた。紀伊へ戻った孫市を待っていたのは、大阪名山本願寺の僧・法専坊信照だった。近く予想される信長の本願寺攻めに対抗して力を貸して欲しいという。孫市は、反信長軍の総大将にと聞いて心が動いたが、その時はニベもなく断わった。やがて、孫市は、戦いの近いのを知って鉄砲を買いに、堺へ出かけた。そして、鉄砲鍛冶・芝村仙斎の所で、あの“素足の女”小みちに出会った。小みちは、信照の妹で、本願寺信徒であった。さすがの孫市も、小みちに総大将にと強く頼まれては、無下に断わることもできなかった。束縛されることの嫌いな孫市も、小みちのためになら、戦ってもよいと思った。元亀二年九月、孫市は五千人の手兵を連れて本願寺に入った。そして、信長の死まで、実に八年間も、終りのない戦いがくりひろげられることになった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1969年10月下旬号

日本映画批評:尻啖え孫市

1969年10月上旬秋の特別号

日本映画紹介:尻啖え孫市

1969年9月下旬号

新作グラビア:尻啖え孫市

2023/08/12

2023/08/12

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『尻啖え孫市』。中村錦之助、賀津雄兄弟の共演。戦国時代の雑賀孫市(錦之助)と藤吉郎(賀津雄)が主人公。孫市がはいているのは裁着袴みたいだが、裾が絞られていない。紋は八咫烏。抜き手で泳ぐ。ギヤマンの盃で赤い酒(ワイン?)を飲んでいる。寧々役の梓英子、秋吉久美子似でとても可愛らしい。

2016/02/26

2016/03/11

50点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


ワクワクしない

NFC三隅特集、錦之助が大映に招かれて主演した司馬遼太郎原作の戦国時代もの「尻啖え孫市」を観るのは初めてでしたが、錦之助が単身で大映に乗り込んだのではなく、相手役と言っていい木下藤吉郎には弟の賀津雄を据え、尾形伸之介や中村時之介、さらに小田部通麿など、東映時代劇時代からの配下を引き連れ出演していたのでした。永田ラッパに出演依頼を打診された錦之助が、配下の役者たちも一緒に出演することを条件に出したといったところなのでしょう。
「尻啖え孫市」が作られた1969年は、既に三船、裕次郎、勝新、錦之助らがいわゆるスタープロを興してお互いの製作映画に出演し合い、五社協定が意味をなさなくなった時代ですから、永田ラッパが錦之助を連れてくることができたわけですが、既に親分のスターたちの順列組合せは終わっているという印象で、錦之助主演に勝新と栗原小巻が脇を固めても、あまり新鮮味を感じなかったというのが、69年当時を思い出したわたくしの実感で、今観ても、顔ぶれについてのワクワク感は覚えません。
一方、お話は、紀州雑賀で3千もの鉄砲隊を擁しながらどこの大名にも属さない雑賀隊を若大将として率いる孫市こと錦之助が、京都で一目惚れした女を探すため信長の町・岐阜城下を訪れるところから映画が始まり、一目惚れと言っても顔を見た訳ではなく、足を見て惚れた足フェチ男という設定が面白いとは思います。
映画は、信長の配下になるよう誘われ、木下藤吉郎とは肝胆相照らす仲となるものの、信長の酷薄さを嫌った孫市が、栗原小巻扮する本願寺宗徒の頼みを受け入れて信長に反旗を翻す話を、大映末期にしてはロケもセットも豪華に撮り、菊島隆三脚本、三隅演出とも手堅く纏めていますが、キャスティングに感じられなかったワクワク感が、映画全体からも感じられないのは、信長役の勝新が、いつになくおとなしい印象を与えるせいかも知れず、もしかしたら勝新も三隅もこの企画に乗っていなかったのではないか、という疑念を覚えました。

2015/03/30

2015/03/30

50点

テレビ/無料放送/NHK 


原作は傑作だが、映画は残念

司馬遼太郎の原作は、「超」が付く傑作であるが、この映画は「原作を端折り過ぎ」と「無理のある改変」によって原作の足元にも及ばない残念な作品である。

キャスティングも、小みち=栗原小巻はグッドであるが、そもそもの雑賀孫市が中村錦之助は端正過ぎる。テレビのNHK大河ドラマ『国盗り物語』で孫市を演じた林隆三の印象が強過ぎることもあるが、やはり林隆三の方がマッチしている感じがする。

序盤は、孫市の女性に対して「見えるぞ、見えるぞ」などは原作に忠実であるが、原作ほど好色漢には描かれていない。

何よりも残念なのが、合戦シーンの少なさである。これでは、雑賀鉄砲衆の凄さが全然わからないではないか。

原作を期待して観ると肩透かしをくらう映画であった。

2014/10/13

70点

テレビ 


痛快だが幕引きがやや唐突?

戦国時代、3000人からなる日本最強の鉄砲隊を率いた紀州雑賀衆の頭目・雑賀孫市を描いた作品。
孫市に中村錦之介。織田信長に勝新太郎。木下藤吉郎に中村嘉葎雄。
元亀元年の二月、織田信長の城下町に奇怪な男が現れる。背中に烏の絵が描かれた赤い陣羽織を身に付けた雑賀孫市(中村錦之介)だった。信長は不審に思って、藤吉郎に探らせると、大の女好きの孫市は京都の清水寺で信長の妹君の美しい足首に一目ぼれしてここまで追ってきたという。信長には独身の妹はいなかったので、孫市の勘違いと思われたが、何とか孫市の機嫌をとって3千人の鉄砲隊を味方につけたい信長は、孫市がその娘の顔を見ていないことをいいことに織田一族の別の娘・加乃をお目当ての姫だと仕立て上げることにし、京都に住む加乃に会いに行くまでの時間稼ぎをする。その間に、孫市と藤吉郎は互いを気に入り友情を感じていく。
しばらくして信長は越前の朝倉義景を攻めに行くことになり、孫市は姫のいる京に近いことと、雑賀衆の値を釣り上げるよい機会と、わずか五人の手兵を連れて一軍に加わり活躍する。
しかし、ついに京で会うことができた加乃が、自分が見染めた娘ではないことを見抜き、信長の裏切りに怒り離れて行った。
やがて孫市は一目惚れの相手“小みち”に再会することができるが、その娘は信長に敵対する本願寺信徒だった…!
孫市の豪快なキャラクターや鉄砲隊の鮮やかな技の披露など痛快で面白い作品ですが、後半の展開がいきなりでやや尻すぼみな幕引きだったような気がしました。
勝新太郎は存在感はありますが、体型的には織田信長は無理があるような…。
孫市と藤吉郎の友情が見どころの一つですが、中村錦之介・中村嘉葎雄の兄弟共演でよかったです。
ぜひご覧ください