日本女侠伝 侠客芸者

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日本女侠伝 侠客芸者

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レビューの数

18

平均評点

68.0(57人)

観たひと

85

観たいひと

7

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1969
公開年月日 1969/7/31
上映時間 99分
製作会社 東映京都
配給 東映
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督山下耕作 
脚本野上龍雄 
企画俊藤浩滋 
日下部五朗 
撮影鈴木重平 
美術雨森義允 
音楽木下忠司 
録音渡部芳丈 
照明井上耕二 
編集宮本信太郎 
スチール諸角義雄 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演藤純子 信次
桜町弘子 粂八
三島ゆり子 小万
時美沙 勝丸
原良子 千代松
大里ひろ子 米吉
榊浩子 花勇
正司花江 お多福
利根はる恵 お梶
岡田千代 お浜
藤山寛美 豆六
中村錦司 白川
田中春男 河原
堀田真三 春本
大木晤郎 幸太
伊藤栄子 鈴江
土田早苗 弥生
岡村文子 お茂
丸平峰子 お半
芦田鉄雄 松本
金子信雄 大須賀喜造
寺島達夫 金井
西田良 庄田
遠藤辰雄 万場安次郎
若山富三郎 坂田義信
高倉健 島田清吉

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「緋牡丹博徒 一宿一飯」の野上龍雄が脚本を書き、「おんな刺客卍」の山下耕作が監督したシリーズ第一作。撮影は「懲役三兄弟」の鈴木重平が担当した。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

石炭ブームにわく、明治末期の博多。馬賊芸者と評判高い信次は、男まさりの気っぷと度胸が人気のマトだった。そんな信次に惚れる鉱業会社々長の大須賀は、士地のやくざの親分万場安次郎と手を組み、九州一の炭坑主にのし上がろうとしていた。ある日、料亭に遊びに来た花田炭坑の作業員たちを迎えに来た納屋頭の島田清吉に会った信次は、好意を抱いた。一方花田炭坑をぜひとも手に入れようとする大須賀は、執拗に清吉を口説くが、先代に恩義を感じている清吉は、ガンとして聞き入れない。折から、坂田陸軍大臣歓迎の宴が炭坑主たちの手で開かれ、酒の飲めぬ清吉に代わって、信次は見事に盃を空け、黒田節を舞った。陸軍大臣を見送った後酔いつぶれた信次を清吉が介抱する。信次は信次に恥をかかされた大須賀は、若松港の仲仕組合長松本を買収し、花田炭坑の石炭積出しをストップさせた。しかし、清吉の誠意に負けた仲仕組合の若い事務員は、組合長の松本を無視して、積出しを約束した。大須賀は最後の手段として、万場組に命じて、花田炭坑にダイナマイトを仕掛け、三人の作業員が炭坑を守って死んだ。三人の通夜の晩、若松から帰った清吉は、色めく作業員たちをしずめ、必死に止める信次をもふりきって、単身大須賀邸へ向った。そして、万場を倒し、全身血みどろになった清吉は、最後の力をふり絞って、大須賀と差し違えた。大須賀邸に駆けつけた信次は運び出される清吉の亡骸を見る。今日もまた、盛大な宴会が始まる。鏡台の前で紅を塗りつつ大粒の涙を流す信次の姿があった…。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2025/07/26

2025/07/31

65点

選択しない 


紅を引くラスト

ネタバレ

 シリーズ第1作目。全5作作られており、他の4本は見ているのだけど最初の本作が一番後回しになった。本シリーズは緋牡丹シリーズとは違ってそれぞれ時代やストーリー、主人公のキャラも異なっているのが特徴。共通するのは侠気のある女が主人公でその男勝りな生き様が見どころの映画。藤純子のヒットシリーズ。
 本作では芸者という女らしい女の役どころながら、弱きを助け強きをくじくという鉄火なふるまいが見どころだ。
 お得意様の金満家を相手にせず、汗まみれの鉱夫たちの遊びにつきあったり、芸者仲間のためにひと肌脱いだりと侠気あるふるまいの数々。
 陸軍大臣役の若山富三郎は「緋牡丹」シリーズでの熊虎と似たようなスケベ親父役だけど、要所要所でヒロインを助ける。最期の殴り込みシーンは男の役回りであり本作では高倉健が刺し違えている。ここは任侠映画そのもののテイストだが、涙を流しながら紅を引く藤のアップでしめるというラストで女侠伝らしさを演出した。

2025/03/04

2025/03/05

73点

VOD/U-NEXT 


顔面力

女侠藤純子の気っ風の良さ。とはいえ、最後には恋する女の心情で締めくくる。最後の担架三連発には驚いた。
正司花江が異様に目立つのには笑ってしまうが、他にも小田部通麿や汐路章もいつも以上に寄りが多く印象深い。それにしても小松方正含め、この頃の俳優たちは顔面力の強さが尋常ではない。

2024/01/28

2024/01/28

75点

選択しない 


石炭で大いに賑わっていた福岡、博多が舞台

街並みも建物も着物も美しい。とても華やか。
九州弁が気持ちいい。飯塚のボタ山が思い出される。

「明治末期から大正、日本はまだ若かった」というテロップにも深い感慨。本作は1969年の映画だから、今年2024年にこのセリフを聞くと「いやいや、あなたも十分お若いですよ」という気分。

藤純子さんの笑顔と切れのいいタンカが魅力。緋牡丹博徒だと笑顔なんか無かったものなあ。お話も難しすぎず、何もかもが100分の中で気持ちよくビシっと決まる。

ただ、ずーっと藤純子の映画だと思っていたのに、南3局でいきなり健さんが大立ち回り。あああ、よくある普通のヤクザ映画になってしまう…、と心配になるが、最後は紅を引きながら涙する進次(藤純子)。痺れる。

金子信雄が悪い奴で草www

2023/04/30

2023/04/30

75点

テレビ/有料放送 


藤純子

美しい このころ最高
健さんかっこいい
それで十分

2020/04/20

2021/12/03

80点

選択しない 


馬賊芸者の矜持を示す

 「緋牡丹博徒」と並ぶ藤純子の代表シリーズであります。「侠客芸者」はその第一作目。監督は山下耕作、脚本は野上龍雄、音楽は木下忠司。
 藤純子の役名は馬賊芸者の「信次」。馬賊芸者とは別段本物の馬賊とは関係なく、まあ伝法肌で豪快な啖呵をきる芸者の俗称ですかな。「馬賊芸者」といふ映画もありますね。京マチ子さん。
 
 明治末期の北九州が舞台。言はずと知れた炭鉱の町。石炭ブームに乗り好景気に沸いてをります。鉱業を営むワルの大須賀(金子信雄)と地元ヤクザの万場(遠藤辰雄)が結託し、阿漕な手を尽くして勢力拡大を目論んでゐます。大須賀は信次(藤純子)を狙つてゐますが、無論信次は靡きません。

 そんな大須賀が乗取りを目論むのが花田炭鉱。花田側の清吉(高倉健)は妨害にもめげず孤軍奮闘しますが、大須賀の魔の手はあの手この手で真綿で首を絞めるやうにじわじわと追ひつめて行くのです。遂にはダイナマイトで花田炭鉱を爆破、三名の死者を出す惨事となつてしまひます。清吉は皆の思ひを背に、単身大須賀に殴り込みを掛けるのです......

 といふ事で、藤純子はあくまでも堅気ですので、「緋牡丹博徒」みたいに鉄火場で魅せたり、ドスを抜いて殴り込んだりしません。精精ピストルで威嚇する程度であります。だから殴り込みは健さんだけで、池部良的存在もなし。

 その分、女の情念みたいなものはよりストレートに表現されてゐます。健さんとの会話が一々いいですね。小松方正らが芸者遊びをした金を払ふ払はないの場面、許婚の土田早苗と会つた後の会話、健さんの殴り込みを察し「止めやしません」と言ひながら「行かないで!」と叫ぶ愁嘆場、いづれも名場面と申せませう。

 健さんの殴り込みの最中は、踊る事でしか心を一つに出来ぬ芸者の身。一挙手一投足にその悲しみが表現されて、切ない喃と、男心を擽るのであります。緋牡丹のお竜みたいに胸のすくアクションシーンなどはありませんが、藤純子の魅力はぐつと抽出されてゐると存じます。

2020/09/17

2020/09/18

78点

テレビ/有料放送/東映チャンネル 


藤純子の芸者姿の艶やかさ

「日本女侠伝」シリーズでは、藤純子は渡世人ではなく、あくまで市井の人である。第1作の本作では芸者。いきなり、藤純子の舞から映画は始まる。
明治から大正にかけての北九州が舞台。当然、石炭が争いの種になる。藤純子が惚れるのは、真っ当な石炭鉱山の親方高倉健。一方、敵役は金子信雄。
渡世人ではないので、藤純子は啖呵は切るが、実際に殴り込みに行くわけではない。しかし、芸者役なので、藤純子が艶やかに踊り、芸事を披露する。お座敷に出ているので、笑顔も爽やかである。そうした藤純子がたっぷり見れるのがこの映画の最大の魅力である。
そして、敵役をやっつけるのは、高倉健。彼の殴り込みは、まるで「昭和残侠伝」のようだ。さすがに格好いい。
「緋牡丹博徒」シリーズでは、恋心を隠そうとする藤純子だが、本シリーズではストレートに相手に感情をぶつけている。そのあたりも好ましい。
山下耕作は、堂々たる演出振りで、藤純子の魅力を如何なく発揮させている。また、その映像もどっしりして見ごたえがある。
藤山寛美が幇間役で出演。軽く芸も披露する。