日本女侠伝 侠客芸者

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日本女侠伝 侠客芸者

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レビューの数

16

平均評点

68.1(53人)

観たひと

81

観たいひと

6

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1969
公開年月日 1969/7/31
上映時間 99分
製作会社 東映京都
配給 東映
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督山下耕作 
脚本野上龍雄 
企画俊藤浩滋 
日下部五朗 
撮影鈴木重平 
美術雨森義允 
音楽木下忠司 
録音渡部芳丈 
照明井上耕二 
編集宮本信太郎 
スチール諸角義雄 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演藤純子 信次
桜町弘子 粂八
三島ゆり子 小万
時美沙 勝丸
原良子 千代松
大里ひろ子 米吉
榊浩子 花勇
正司花江 お多福
利根はる恵 お梶
岡田千代 お浜
藤山寛美 豆六
中村錦司 白川
田中春男 河原
堀田真三 春本
大木晤郎 幸太
伊藤栄子 鈴江
土田早苗 弥生
岡村文子 お茂
丸平峰子 お半
芦田鉄雄 松本
金子信雄 大須賀喜造
寺島達夫 金井
西田良 庄田
遠藤辰雄 万場安次郎
若山富三郎 坂田義信
高倉健 島田清吉

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「緋牡丹博徒 一宿一飯」の野上龍雄が脚本を書き、「おんな刺客卍」の山下耕作が監督したシリーズ第一作。撮影は「懲役三兄弟」の鈴木重平が担当した。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

石炭ブームにわく、明治末期の博多。馬賊芸者と評判高い信次は、男まさりの気っぷと度胸が人気のマトだった。そんな信次に惚れる鉱業会社々長の大須賀は、士地のやくざの親分万場安次郎と手を組み、九州一の炭坑主にのし上がろうとしていた。ある日、料亭に遊びに来た花田炭坑の作業員たちを迎えに来た納屋頭の島田清吉に会った信次は、好意を抱いた。一方花田炭坑をぜひとも手に入れようとする大須賀は、執拗に清吉を口説くが、先代に恩義を感じている清吉は、ガンとして聞き入れない。折から、坂田陸軍大臣歓迎の宴が炭坑主たちの手で開かれ、酒の飲めぬ清吉に代わって、信次は見事に盃を空け、黒田節を舞った。陸軍大臣を見送った後酔いつぶれた信次を清吉が介抱する。信次は信次に恥をかかされた大須賀は、若松港の仲仕組合長松本を買収し、花田炭坑の石炭積出しをストップさせた。しかし、清吉の誠意に負けた仲仕組合の若い事務員は、組合長の松本を無視して、積出しを約束した。大須賀は最後の手段として、万場組に命じて、花田炭坑にダイナマイトを仕掛け、三人の作業員が炭坑を守って死んだ。三人の通夜の晩、若松から帰った清吉は、色めく作業員たちをしずめ、必死に止める信次をもふりきって、単身大須賀邸へ向った。そして、万場を倒し、全身血みどろになった清吉は、最後の力をふり絞って、大須賀と差し違えた。大須賀邸に駆けつけた信次は運び出される清吉の亡骸を見る。今日もまた、盛大な宴会が始まる。鏡台の前で紅を塗りつつ大粒の涙を流す信次の姿があった…。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2024/01/28

2024/01/28

75点

選択しない 


石炭で大いに賑わっていた福岡、博多が舞台

街並みも建物も着物も美しい。とても華やか。
九州弁が気持ちいい。飯塚のボタ山が思い出される。

「明治末期から大正、日本はまだ若かった」というテロップにも深い感慨。本作は1969年の映画だから、今年2024年にこのセリフを聞くと「いやいや、あなたも十分お若いですよ」という気分。

藤純子さんの笑顔と切れのいいタンカが魅力。緋牡丹博徒だと笑顔なんか無かったものなあ。お話も難しすぎず、何もかもが100分の中で気持ちよくビシっと決まる。

ただ、ずーっと藤純子の映画だと思っていたのに、南3局でいきなり健さんが大立ち回り。あああ、よくある普通のヤクザ映画になってしまう…、と心配になるが、最後は紅を引きながら涙する進次(藤純子)。痺れる。

金子信雄が悪い奴で草www

2023/04/30

2023/04/30

75点

テレビ/有料放送 


藤純子

美しい このころ最高
健さんかっこいい
それで十分

2020/04/20

2021/12/03

80点

選択しない 


馬賊芸者の矜持を示す

 「緋牡丹博徒」と並ぶ藤純子の代表シリーズであります。「侠客芸者」はその第一作目。監督は山下耕作、脚本は野上龍雄、音楽は木下忠司。
 藤純子の役名は馬賊芸者の「信次」。馬賊芸者とは別段本物の馬賊とは関係なく、まあ伝法肌で豪快な啖呵をきる芸者の俗称ですかな。「馬賊芸者」といふ映画もありますね。京マチ子さん。
 
 明治末期の北九州が舞台。言はずと知れた炭鉱の町。石炭ブームに乗り好景気に沸いてをります。鉱業を営むワルの大須賀(金子信雄)と地元ヤクザの万場(遠藤辰雄)が結託し、阿漕な手を尽くして勢力拡大を目論んでゐます。大須賀は信次(藤純子)を狙つてゐますが、無論信次は靡きません。

 そんな大須賀が乗取りを目論むのが花田炭鉱。花田側の清吉(高倉健)は妨害にもめげず孤軍奮闘しますが、大須賀の魔の手はあの手この手で真綿で首を絞めるやうにじわじわと追ひつめて行くのです。遂にはダイナマイトで花田炭鉱を爆破、三名の死者を出す惨事となつてしまひます。清吉は皆の思ひを背に、単身大須賀に殴り込みを掛けるのです......

 といふ事で、藤純子はあくまでも堅気ですので、「緋牡丹博徒」みたいに鉄火場で魅せたり、ドスを抜いて殴り込んだりしません。精精ピストルで威嚇する程度であります。だから殴り込みは健さんだけで、池部良的存在もなし。

 その分、女の情念みたいなものはよりストレートに表現されてゐます。健さんとの会話が一々いいですね。小松方正らが芸者遊びをした金を払ふ払はないの場面、許婚の土田早苗と会つた後の会話、健さんの殴り込みを察し「止めやしません」と言ひながら「行かないで!」と叫ぶ愁嘆場、いづれも名場面と申せませう。

 健さんの殴り込みの最中は、踊る事でしか心を一つに出来ぬ芸者の身。一挙手一投足にその悲しみが表現されて、切ない喃と、男心を擽るのであります。緋牡丹のお竜みたいに胸のすくアクションシーンなどはありませんが、藤純子の魅力はぐつと抽出されてゐると存じます。

2020/09/17

2020/09/18

78点

テレビ/有料放送/東映チャンネル 


藤純子の芸者姿の艶やかさ

「日本女侠伝」シリーズでは、藤純子は渡世人ではなく、あくまで市井の人である。第1作の本作では芸者。いきなり、藤純子の舞から映画は始まる。
明治から大正にかけての北九州が舞台。当然、石炭が争いの種になる。藤純子が惚れるのは、真っ当な石炭鉱山の親方高倉健。一方、敵役は金子信雄。
渡世人ではないので、藤純子は啖呵は切るが、実際に殴り込みに行くわけではない。しかし、芸者役なので、藤純子が艶やかに踊り、芸事を披露する。お座敷に出ているので、笑顔も爽やかである。そうした藤純子がたっぷり見れるのがこの映画の最大の魅力である。
そして、敵役をやっつけるのは、高倉健。彼の殴り込みは、まるで「昭和残侠伝」のようだ。さすがに格好いい。
「緋牡丹博徒」シリーズでは、恋心を隠そうとする藤純子だが、本シリーズではストレートに相手に感情をぶつけている。そのあたりも好ましい。
山下耕作は、堂々たる演出振りで、藤純子の魅力を如何なく発揮させている。また、その映像もどっしりして見ごたえがある。
藤山寛美が幇間役で出演。軽く芸も披露する。

2020/09/15

2020/09/15

75点

レンタル 


シリーズ1作目

ネタバレ

2020年9月15日に鑑賞。DVDにて。1時間38分55秒。ワイド・カラー。助監督:篠原正秀、擬斗:谷明憲。振付:藤間勘五郎、民謡指導:別府金蝶・別府富子、博多弁指導:貞包 瞰、和楽:中本敏生、[協力]北九州市、第一港運株式会社。

他の出演者は、小松方正、汐路章、有川正浩、木谷邦臣、岡嶋艶子、川谷拓三。川谷拓三は台詞なし。高倉健に斬られて襖に突っ込む。

シリーズ1作目。このシリーズで良いのは、本作「日本女侠伝 侠客芸者」(1969)と5作目「日本女侠伝 激斗ひめゆり岬」(1971)でしょうか。

藤純子が美しい。眼福です。

藤純子(信次)の啖呵が心地良い。純子は陸軍の座敷をしくじって新橋にいられなくなって、博多の馬賊芸者となる。純子「馬鹿野郎!」と陸軍大臣・坂田(若山富三郎)の頭を銚子で殴る。純子「ご勝手になさいまし。たかが芸者にも、人としての意地もあれば誇りもございます。それを踏みにじってご成敗するとあれば・・・」

明治末~大正の始め。博多。石炭ブームに湧く。馬賊芸者とは?客「ワシらのものを全部質にぶち込みよった」純子、質札を「45円80銭、過分のご祝儀ありがとうございます」なるほど。馬賊とは、そう言うことか。客は質から出すには、また同額を質屋に支払う必要がある。

成金大須賀(金子信雄)は座敷で札をばらまく。金子「腹は決まったか?」純子「お断りしたはずです。私に惚れたとおっしゃいましたね?女たちに猿のまねをさせるお偉い御仁に、惚れた腫れたはお門違いですよ」

炭鉱夫小松方正ら3人「一生の思い出に」と。純子と小松、負けた方が脱ぐ遊び(箸けん?)太鼓持ちの藤山寛美が踊る「田舎の別嬪さんが立ち小便 下でカエルが驚いた 熱い雨だと逃げ出した」小松10円しか持っていない。高倉健「俺が払います」純子「あたしが済んだと言ってるんですから。いいんです。くどいね。遊びというのは心意気だ。それが分からないのお兄さん」高倉「払うよ」純子「この人ったら」高倉「俺が悪かった。今日の所は借りにしといて貰う」純子「じゃ、お別れに一杯」高倉は下戸である。

博打場。二階建ての木造建築。土塀に囲まれた家。いいね。籠の中に3個のサイコロ。

柳町遊郭から女郎の足抜け。幸太「腰が立たんぐらい客取らされて。だが前借[ぜんしゃく]が増えるばかりで」庄司花江「萬場[ばんば]組の半端者が博多芸者に手を出すよ!」汐路章、ドスを抜く。純子「ドングリまなこひん剥いて、こんなおもちゃ振り回して・・・(この台詞はドングリまなこの汐路章への当て書きだ)」汐路「しゃからしか!」汐路は女たちに囲まれて耳たぶを引っ張られる(笑)

純子、高倉の花田炭鉱へ。純子「私がいつお世辞を言いました。私、見たんです。あんな大須賀の山なんか潰れます。心配だったの。島田さんの山があそこみたいだったらと・・・」『おてもやん』を踊る純子。小松ら3人の炭鉱夫を既に見ている訳だから、それは杞憂だ(笑)

「水茶屋藝妓組合 水茶屋券番」、「信次の文字の提灯」=名板「信次」「小秀」「玉子」「寿々子」。

陸軍大臣坂田(若山富三郎)が博多に来た。宴会場。若山「信次どんではなかか?物心ついて頭を叩かれたのは、親父と西郷先生とおまんしかなか。おいどんはあれ以来、女子を口説くのが恐ろしうなってしもうた(笑う)」この若山は「緋牡丹博徒」と同じ役割である。末席の高倉「あっしは不調法でして。何とおっしゃても飲めないものは飲めません」若山「気に入った」純子「私がその盃を代りに。島田さんの名代でございます」若山「お前惚れてるのか」純子「惚れています」金子が大盃を持って来た。銚子6本が注がれる。純子、大盃を空ける「ご無礼致しました」

高倉「昨夜の話はなかったことにしてくれ。俺は前科者だ。しかも二度だ。一度刺さったトゲは・・・」純子「6つの時でした。赤い鼻緒の草履がほしくて。どこにでもある草履です。それを買えなかったんです。10歳の時に母が死んで芸者屋に売られて。嫌なお客にも白い歯を見せて、いつの頃からか、女だてらに一升酒飲むようになって・・・私にだって数え切れない程のトゲが刺さってるんです」

純子が自分で縫った高倉の着物を風呂敷から出して愛おしそうに触る。いいね。

婆や「親方が決めた許嫁です。お似合いと思いませんか。今年中には。そうなれば花田も万々歳です」純子の顔が曇る。

屋台で1人コップ酒の純子。酔って金子へ。純子「いつかの話、本気にしていいんですか?あの人はもう死にました。私の心の中でとっくに」「値段をつけてくださいな」金子「言い値で買ってやる」高倉来た。金子「今日から信次は俺のものだ」高倉が純子を殴る。高倉「この人が何を頼んだか知らないが、若松のことは俺とあんたの間のことだ。俺が惚れた女だ。連れて帰るぜ」

雨。傘の2人。高倉「痛かったか?」純子「いいえ、嬉しかったわ。弥生さんていいお嬢さんですね」高倉「会ったのか。おめえさん、それであんなまねを。お嬢さんには相応しい男はいくらでもいる。婿を貰って一本立ちを見届けたら、俺はここから消えるつもりだ」雨の中、2人の向こうに木橋が見える。東映任侠映画の定番のシーン。男女2人と「橋」である。

桜町弘子が金子に斬りつける。金子「味方した奴はここでは働かせん」純子、券番の名板を外す。金子の座敷にお酌も誰も来ない。金子「太鼓持ちを呼べ!」藤山寛美「太鼓持ちは客によって音が出まんね。遊びのあの字も知らんヤボ天に音が出せまっか」純子がピストルを撃つ「これは川原の旦那のピストルや。あの世で旦那に詫びを言いいたい奴から出ておいで。大須賀が頭を下げて来なくちゃ、博多の町から紅い灯が消えるって、帰って大須賀に言いな」

新聞『紅灯消えて既に3日 団結固し水茶屋券番』『相券 中券の美妓も起つ 紅灯スト愈々拡大』『構わんやらせとけ 悠然と嘯く大須賀社長』『坂田陸相 再び博多へ 石炭業界の代表と懇談』

「若松仲仕組合事務所」、高倉「ウチの石炭を積み込んでください。山には100人を越す人たちと家族がいる。その人たちを見殺しには出来ないんです。何でもやります」

金子「俺の負けたい。座敷に出てくれ」

炭坑に金子がダイナマイトを。爆発。高倉「早まるな。あの3人は山を守って死んでくれたんだ。仏が一番喜ぶことをなぜやってやらないんだ」3人の棺。棺の中に康太と書いたカンテラだけ。

別れ。純子「とぼけるのは、私の方が上手です。止めやしません。教えて。今夜ね」帯から出したピストルを渡す。高倉「止めないでくれ。先のことは知らないが、今の俺たちはそれぞれやることが違う。死にやしねえよ」純子「行かないで」と縋る。

高倉の独白『どうせ死ぬなら桜の下で 死なば骸[むくろ]に花が散る』これは、劇中でも歌われる「都々逸」?のようだ。
純子が縫った着物の高倉。背中の「不動の刺青」。日本刀を鞘ごと地面に縦に叩きつけて鞘を割った。これは初見。
アバンタイトルなし。このシリーズでは「花」がモチーフになっている。「決斗乱れ花」(第4作)は「赤い彼岸花」、「鉄火芸者」(第3作)は「紫陽花」である。ところが「侠客芸者」(第1作)、「真赤な度胸花」(第2作)には花のモチーフはない。


2020/07/25

2020/07/26

60点

テレビ/有料放送/東映チャンネル 


艶やかで美しい藤純子の芸者姿

「緋牡丹博徒」に続く藤純子のシリーズ。全5作が作られているが、緋牡丹博徒の同一人物と違って、藤は色々な役を演じている。この第1作は芸者の役なので、藤は艶やかで実に美しい。炭鉱の経営者高倉健と恋仲になるが、ラストはお決まりの殴り込み。この殴り込みのシーンで、間に藤純子の獅子踊りのシーンが挿入され、ラストシーンは藤の泣き顔のアップという斬新な演出。監督は山下耕作。悪役は金子信雄と遠藤辰雄。シリーズは、以降次のように続く。2「真赤な度胸花:'70」(札幌の博労)、3「鉄火芸者:'70」(辰巳芸者)、4「血斗乱れ花:'71」(北九州の炭鉱の女主人)、5「激斗ひめゆり岬:'71」(沖縄の運送会社の社長)