コント55号と水前寺清子という今が旬の売れっ子で一本喜劇をつくり観客動員をはかりましょう、という企画。欽ちゃんは江戸っ子の板前、二郎さんは九州の田舎から大金をもって上京してきたお上りさん、というふうに現実の二人そのものといった配役であるせいか、実にピッタリ、違和感なし。
欽ちゃんの隣に住む清ちゃん(水前寺)らとともにアパート立ち退きを迫る大家でスーパーの社長である花沢徳衛らと対決する。
自分の記憶だとコント55号の二人の抱腹絶倒コントがテレビ等で話題になった期間は比較的短かったような気がしている。現に彼らの全盛時代のビデオはあまり残っていないらしい。そういう意味でも若い二人を見られる映画は貴重。ただし映画でのギャグなので、彼らの真骨頂であるアドリブが影をひそめてしまっているのはやむを得ないが。
彼らのコントを見て大笑いした記憶のある者としてはちょっと物足りない。その後役者としての道を歩むことになる坂上二郎の演技もこの頃はまだ素人のそれだ。むしろ欽ちゃんのほうが役者としても上手のような気がした。
松竹ではちょうどこの頃「男はつらいよ」シリーズがはじまるが、この映画のアパートの住人たちをよく見てみると、タコ社長の奥さんはじめ、柴又商店街の連中の顔が確認できます。