秀逸なカメラワーク、コンタクトレンズが命取りに・・・
初めて観た井上昭監督作品である。トランプの切れ端を仲間の目印に使ったり、待ち合わせ場所を煙草に書いたりと、小道具の使い方が凝っている。何より、カメラ・ワークが秀逸だった。まるで吸いつくかのように役者をフレーム内にきっちり収めている。
麻薬組織に田宮二郎が潜入する。田宮が珍しく一人二役を演じる。「コンタクトレンズだけは好きにはなれん…」という田宮の台詞が、後に彼が危ない目に遭わされる伏線となるわけなんだが、それにしても初っ端からボロを出し過ぎ(苦笑)。お金以上に大切な、愛する者を失った田宮の孤独を嘲笑うかのような、刑務所のすぐ近くで遊んでいる子どもたちの姿を捉えたエンディングが強烈に残る。
それにしてもミニスカート姿の野際陽子、とっても綺麗だったなぁ。今ではもう、この人もおられないのか…。