早射ち犬

はやうちいぬ|----|----

早射ち犬

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レビューの数

9

平均評点

61.4(23人)

観たひと

39

観たいひと

5

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1967
公開年月日 1967/5/27
上映時間 84分
製作会社 大映東京
配給 大映
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督村野鐵太郎 
脚本藤本義一 
企画辻久一 
撮影上原明 
美術渡辺竹三郎 
音楽山内正 
録音飛田喜美雄 
照明久保江平八 
編集鈴木東陽 
スチル沓掛恒一 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演田宮二郎 鴨井大介
天知茂 木村準太
小沢昭一 山本五郎
坂本スミ子 山本玉子
江波杏子 宮本文子
嘉手納清美 宮本エミ
橘喜久子 良子
藤岡琢也 常さん
財津一郎 咲田勇作
成田三樹夫 
伊達三郎 白井金造
橋本力 増田刑事
夏木章 長崎刑事
仲村隆 太田刑事
北城寿太郎 神谷天心
小山内淳 精霊会会員A
藤井竜史 精霊会会員B
山根圭一郎 精霊会会員C

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「野良犬(1966)」の藤本義一がシナリオを執筆し、「ごんたくれ」の村野鐵太郎が監督した“犬”シリーズ第八作目。撮影はコンビの上原明。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

鴨井大介はギターを片手に流して歩いていたが、その美声は界隈の評判で、キャバレーの社長が是非ステージに、と頼みにくるほどだった。しかし、大介は競輪予想屋の常さんや、運転手の山本五郎と、ボロアパートで暮しているのが好きで、そんな話を断っていた。その頃、もとやくざの九十九会組長白井金造が、五郎を運転手に雇って関西までドライブに行った。五郎にとって、白井から貰った五万円は女房玉子の出産費用にあてるものだった。一方、大介は出産間近い玉子の世話をしていたが、その頃、大阪で三千数百万円の強奪事件が起った。そして五郎の運転していた車が大破炎上し身元確認の困難な焼死体が一個残された。身につけていた物から大阪府警は死体を白井と認め、白井が強盗事件に関連していることから、五郎を強盗殺人犯として指名手配したのである。東京でそれを聞いた大介は驚いてしまった。この事件を担当する木村刑事は大介とは顔なじみで、二人は協力して事件を究明することにした。大介は木村からクラブ「ハバナ」が麻薬と関係がありそうだと聞かされた。大介は「ハバナ」と新興宗教の天心精霊会の関係が麻薬で結ばれていることをつきとめた。そんな時、大介は五郎が生きていることを知った。五郎は白井に身替り犯人にされそうになり逃げ回っていたのだった。また、焼死体は白井でなく天心であり、白井は頭巾を被って天心に化けていたのである。すべてを知った大介はハジキ片手に精霊会に乗り込んだ。それを見た白井たちは必死に防戦につとめたが、大介の敵ではなく、大介の見事な曲射ちの前に倒れてしまった。その頃病院の一室では、玉子が無事に出産した。その周りで、強盗殺人犯の容疑の晴れた五郎や、常さんたちが喜びの声をあげていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1967年6月上旬号

新作グラビア:早射ち犬

1967年5月下旬号

日本映画紹介:早射ち犬

2019/05/05

2020/12/13

80点

選択しない 


伊達三郎がワルのカシラ

 犬シリーズの第八作目であります。村野鐵太郎監督作品。タイトルバックで田宮二郎のガンアクションをストップモーションで魅せます。
 宿無し鴨井大介(田宮二郎)は、いつの間にか東京でギターの流しを生業としてゐるやうです。美声を披露しゴキゲンであります。これまで見せなかつた一面です。

 鴨井は予想屋の常(藤岡琢也)や白タク運転手の五郎(小沢昭一)と共に、カネは無いながら気ままな生活を送つてゐます。この二人は終盤のレギュラーとして定着したやうです。五郎には出産間近い女房の玉子(坂本スミ子)がゐて、その為にも仕事に精を出してゐます。

 この五郎、九十九会といふヤクザのカシラ・白井(伊達三郎)に依頼され、関西方面に車を走らせてゐました。ところがこの車が何者かに襲撃され大破、爆発します。焼死体が発見されますが、損傷が激しく身元が分かりません。警察は死体は白井と認定し、五郎が殺害・逃走したと見て指名手配します。

 ショボクレこと木村刑事(天知茂)は玉子に、五郎は犯人ではないと自分も思ふから、貴方も信じなさいと告げます。鴨井は知らせたショボクレを怒りますが。しかしショボクレ情報によると、九十九会の白井は天心精霊会なる新興宗教団体と結託し、麻薬の売買で儲けてゐるらしい。捜査の途中で鴨井は五郎を発見します。五郎によると焼死体は天心精霊会のカシラ・天心(北城寿太郎)であり、白井は自分を犯人に仕立てやうとしたので、逃走したとのこと。

 怒つた鴨井は天心精霊会に乗り込み、天心の覆面を剥ぎます。案の定、正体は白井でした。大乱闘となりますが、鴨井が負ける筈がありません。いつものやうに鴨井はワルを殺さず、警察に任せて去るのであります。

 ゲスト出演者に印象的な人が多い。通常はチンピラ役が多く、早々と死ぬ事が多い伊達三郎がカシラであります。この風貌、面構へは一度見たら忘れられませんね。秘かなファンも多い。
 その伊達の情婦役に堕ちてゐた江波杏子は薬漬けにされてゐました。途中で殺されてしまふが、どうやら鴨井を狙つた弾が当つたやうです。幸薄い役で、彼女が演じるのは勿体ないとも感じます。
 その妹役に嘉手納清美さん。姉に会ひたい一途な態度が好印象です。「ウルトラセブン」ではニセウルトラセブンを操るワルとして登場しましたが。
 吃驚したのは財津一郎さんですな。気持ち悪いオカマ役だつたのが、実は......!といふ意外性。若い頃から濃ゆい人ですね。

 天知茂とのコンビも板についた一作で、お馴染みの坂本スミ子、小沢昭一、藤岡琢也も良い。シリーズならではの愉しみに満ちた娯楽作と存じます。

2019/06/22

2020/02/04

5点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


今更文句を付けてもナンセンス

ラピュタ阿佐ヶ谷モーニングショーの「犬」シリーズ第8作「早射ち犬」は1年前にも観て藤本義一脚本の粗雑さに呆れた映画ですが、大阪府警のショボクレ天知茂が、なぜ東京であんなにずっと捜査しているのか、どう考えても意味不明です。大阪で起きた殺しの容疑者・大川修の事件を捜査していたショボクレが、その事件の関連補充捜査のために東京に来たに過ぎない筈なのに、まるで東京で主任刑事扱いです。
クライマックス、北城寿太郎の新興宗教と成田三樹夫のヤクザ一家(どちらも実質的には伊達三郎がトップ)が、捕まえた小沢昭一を脅して田宮二郎を海辺に呼び出す理屈も、全く理解できません。新興宗教もヤクザ一家も、田宮と直接的な利害関係はないはずです。そもそも江波杏子のことはあっさり殺すくせに、小沢はなぜ生かしておくのでしょうか?
「犬」シリーズには、観る者をなるほどと納得させるような細部など、これまでに観た8作の中に只の1ヵ所もなかったのですから、「早射ち犬」に今更文句を付けてもナンセンスですが、夜の撃ち合いに際して白い帽子を被って“ここにいるよ”と知らせるようなバカのことを、拳銃の玄人などと描くとは片腹痛い。
「犬」シリーズで村野鐡太郎監督、山内正音楽というコンビは、第3作「ごろつき犬」と同じですが、「ごろつき~」の時の弛緩した劇伴が耳についたので、今回も音楽を気にして観ていたら、今度は大袈裟に鳴り響く劇伴を、僅かな隙間を除いたほぼ全篇に敷き詰めるという音響設計。村野の音楽趣味はどうなっているのでしょう。

2019/06/16

2019/06/18

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『早射ち犬』。田宮二郎の拳銃さばきはカッコいい。田宮二郎、小沢昭一&坂本スミ子夫婦が住んでいるアパートは「白鳥荘」。前後のカットから五反田近くの東急線線路脇らしい。おそらく目黒川をまたぐ池上線の高架駅が写る。飲み屋街に「大魔神怒る」、「中村銀之助」(笑)の公演ポスター。

2018/03/02

2018/06/18

10点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


脚本も演出も粗雑な愚作

シネマヴェーラ渋谷の大映男優特集、田宮二郎の「犬」シリーズのラス前、第8作「早射ち犬」は、昔TVで途中まで観たものの詰まらないので止めてしまった映画ですが、最後まで観ても全く面白くない、悪役の伊達三郎が悪事のいきさつなどを科白で説明して済ませてしまうという、藤本義一の粗雑極まりない脚本に呆れるばかりの愚作でした。
そもそも「犬」シリーズは9本作られたうち4本しか観たに過ぎませんから、偉そうなことを言える筋合いではありませんが、田宮二郎扮する早射ち男と、彼が“ショボクレ”と呼ぶ大阪府警刑事・天知茂とのやり取りが魅力のシリーズだと思われ、この第8作でもそれは踏襲されているものの、藤岡琢也扮する田宮と同じアパートの弟分という、わたくしの知らないキャラクターが、田宮と天知の間に入り込んで、二人のやり取りの邪魔をするのが、鬱陶しくてなりません。
この映画の藤本義一脚本は、ラストから逆算して話を組み立てながら、ろくに推敲もせずに書き殴ったような代物で、なぜ成田三樹夫は突然田宮二郎を殺そうと思うに至ったのか、なぜ伊達三郎は北城寿太郎を殺さなければならなかったのか、その罪を東京から来たタクシー運転手の小沢昭一に擦り付ける必要があったのか、等々、説明の付かない細部が多過ぎます。藤本義一は師匠川島雄三の墓前で顔を洗って出直してほしいものです。今さらこんなこと言っても遅いですが…。
村野鐡太郎演出も、夜の撃ち合いに臨む田宮二郎に、“俺はここにいるから撃ってくれ”とでも言わんばかりにナイトシーンでもくっきりと目立つ真っ白い帽子を被らせる愚かさには、馬鹿馬鹿し過ぎて目を逸らしたくなりました。

2018/02/24

2018/02/24

70点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


ガンプレイはかなりいい加減だが…

犬シリーズ8作目ですが、3本しか観ていない中で、一番面白かったです。
田宮二郎のニヤケた私立警官がごときハイテンションの活躍はいつも通りだが、脇役が主演の田宮を完全に喰っている。
いつもは眉間に縦ジワの天知茂が、ヌーボーとした刑事役を、田宮との掛け合い漫才の様に演じて楽しませてくれる。
小沢昭一や財津一郎は持ち前のキャラクターを充分に生かした役をけれん味たっぷりに演じています。
アクションやサスペンスといった処を期待すると物足りないないと思うかもしれませんが、コメディとしてとらえるといいかもしれません。

2016/03/13

2016/03/13

72点

テレビ/有料放送/チャンネルNECO 


これは「当たり」

シリーズものはネタ切れで後半ダレるものが多いけど、犬シリーズは脚本の出来にすごくムラがあると感じます。ラスト前の本作はなかなか楽しい仕上がり。

なぜか繁華街で流しをやっている鴨井がいつものようにやくざに絡まれるのですが、組長が伊達三郎様。殺されず最後まで出るし台詞もたくさんあるのは珍しい!

共演陣には小沢昭一や財津一郎、天知茂の木村刑事も登場してそれぞれ楽しませてくれます。江波杏子にも期待したんだけどなあ…。そのかわり財津一郎がなかなか見せてくれました。

ヤクザの資金源が麻薬で、その麻薬を捌いているのが事実上のフロント、新興宗教というのが効いています。

「オードール(eau d'or=黄金の水)」がなぜか赤く、新興宗教の色も赤で鴨井の家のケトルなども赤と不思議に赤が気になる画づくりなのはなぜ?