悦楽

えつらく|The Pleasures of the Flesh|The Pleasures of the Flesh

悦楽

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レビューの数

15

平均評点

66.7(74人)

観たひと

113

観たいひと

17

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1965
公開年月日 1965/8/29
上映時間 91分
製作会社 創造社
配給 松竹
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督大島渚 
脚色大島渚 
原作山田風太郎 
製作中島正幸 
撮影高田昭 
美術今保太郎 
音楽湯浅譲二 
録音西崎英雄 
照明平田光治 
編集浦岡敬一 
スチル吉岡康弘 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演中村賀津雄 脇坂篤
加賀まりこ 稲葉匠子
野川由美子 
八木昌子 志津子
樋口年子 圭子
清水宏子 マリ
小林昭二 青年
小沢昭一 速水
戸浦六宏 桜井
浜田晃 花輪組1
江守徹 花輪組2
渡辺文雄 花輪組3
小松方正 江城
佐藤慶 刑事

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

山田風太郎の原作「棺の中の悦楽」を「天草四郎時貞」の大島渚が脚色・監督した。撮影は高田昭。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

三流の広告会社で働く安サラリーマン脇坂篤のところに、ある日篤がかつて家庭教師をしていたころの教え子稲葉匠子から結婚招待状が送られてきた。--篤はいつの日からか、匠子を密かに愛し続けてきたのだ、そしてそれ故に、匠子には知らせず、彼女がまだ小字生のころ暴行を働き、未だに匠子を脅迫し続けている青年を汽車のデッキから突落し殺してしまったのだ--。そして今、篤が得たものは、この一通の招待状であった。その夜酔って帰った篤は、以前、篤の犯行を目撃したという汚職官吏速水が、彼が出所するまでを条件に、篤に無理矢理に預けていった三千万円入りのトランクを開けた。速水が横領した金九千八百万円の一部であった。速水が帰ってくる一年半の間に、この棺にも似たトランクにつまった三千万円の悦楽をくみつくそうというのだ。一年半後には自らが、その棺の中に身を横たえればいいのだ。篤は大金をばらまいて次々と女を貪り、替えていった。打算的なバーのホステス眸、病身の夫を持ちながらアルサロで働く被虐的な女志津子、冷感症のインテリ女医圭子、言葉が不自由のうえ知的障害者で、異常な性欲を持つ街娼マリ。そして金を使い果たし、期日もあと十日ほどにせまったある日、篤はマリのヒモで刑務所で速水と同房だったという工藤に、速水が獄死したことを聞いた。二人は速水の残していった金をめぐってもつれ合い、工藤は間にわけて入ったマリの拳銃で射殺された。そんな折も折、篤は偶然匠子と再会した。匠子は、倒産した夫を救うためにと、篤に金を無心した。匠子は今までの篤の派手な生活を知っていたのだ。だが今の篤にはどうすることも出来ず、事の一切を匠子に告白した。匠子は去り、一人とり残された篤の手に手錠が鳴った。警察に篤の犯罪を密告したのは匠子であった。篤の顔が悲しみと怒りに赤く燃えていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2013年3月下旬号

巻頭特集 大島渚 全:大島映画と生きる「悦楽」

1965年11月上旬号

日本映画批評:悦楽

1965年9月上旬号

新作グラビア:悦楽

日本映画紹介:悦楽

1965年8月下旬記念特別号

次回作:「悦楽」

2023/04/26

2023/04/26

-点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 


『悦楽』。映倫マークが小っちゃくて潰れて読めない。脇坂(中村賀津雄)は妄想癖。公金横領犯役は小沢昭一、出番少ないのが残念。もりもり食べる小林昭二、ASAHIの缶ビールを飲む。キャバレーのテーブルにあった瓶ビールは緑っぽいラベル、サントリーか。匠子(加賀まりこ)は天然の性悪女かも。

2022/05/08

2022/05/10

70点

VOD/U-NEXT 


「人間を買おう! 女を買おう! くみつくせ、生の悦楽!」

大島渚監督作品、中村嘉葎雄主演。
面白い作品だったが大島渚感は薄く感じた。
お行儀の良い犯罪ドラマといったところ。
ラストもきれいな落とし方。
加賀まりこのラリってるような視線が印象的。

2021/06/27

2021/06/27

65点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 


息苦しくなるような作品

大島渚が作るような作品って監督自身のわだかまりをぶつけたような感じで、今はそういうのをまんがにしたものが多いような気がする。この映画が作られた1965年当時のまんがは、大人向けは仁侠ものとか侍ものとかポルノとか、子ども向けは青春スポーツもの全盛で、こういう内容をまんがにする人や、こういうまんがを載せる雑誌や、そういう雑誌の発行部数とかが少なかったから、まんがへ向かわなかった潜在的アーティストが多かったんじゃないかなぁと思います。(その中で「ガロ」とかに書き続けた人たちは偉い)(この映画は原作があるので、私は山田風太郎について書いてるのかもしれないけど)

昭和って時代は、人が「人間の心の中にあるものって、ないがしろにされてるけど、本当はすごく大事なんじゃないか」って思った時代なのかな。内省的、妄想的な作品が多くて不思議というか面白いです。共感の対極、興味深いという感じ。

この映画の主人公は、学生の頃から女性に対する欲望と妄想でひたすら悶々とし続ける人生を送ってる。逮捕よりもっとひどい結末もありうるけど、ギリギリ、現実的にありそうなところに落ちつけてるのかな。恐喝者が複数出てくるところにリアリティがすでにないけど、これが当時のリアリティなのかな…。

2021/04/03

2021/04/03

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『悦楽』。ユニークな設定。殺人を隠している男(中村賀津雄)と公金を横領した男(小沢昭一)の奇妙な取引。3000万円の金に目がくらんで女を買い漁る。野川由美子が飲んでいたのは500ml位の瓶入りコカ・コーラ。ラストシーンは新幹線に並走する横須賀線の線路脇だろうか。小林昭二は一言も喋らない。

2020/03/29

75点

VOD 


豪華な男優陣に比べ

タイトルが「悦楽」、監督が大島渚ということで、どんな芸術大作か、はたまたエロス大作かと思って心して鑑賞。
結果、プログラムピクチャーかと思うほどの、普通のミステリー、娯楽作品であり、とても見やすい。
それでも、もちろん、さすが大島という凝ったカットもあり、またそれが適度に抑えられていることで、娯楽作品として成立している。
男優陣が名優ぞろいで、すべて魅力的。一方、女優陣はどうも魅力に薄いというか、美しく撮ってもらっていない気がする。
女優の美しさ、可愛さあってのこの作品と思うのだが、あえてそうしているとしか思えないほど、魅力を引き出していないことが残念。主人公は、法外なカネを得て、女と寝ているばかりなのに、官能的なシーンがほとんど無いことも一因かも。

2020/02/26

2020/02/26

70点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


悪銭を使い切る

惚れていた女匠子(加賀まりこ)の過去を隠すために殺人までしたまじめな男脇坂(中村賀津雄)が、殺人を目撃した公金横領犯に強請られて横領金の一部を出所するまで預かり、それと引き替えに殺人のことは黙っていることになった。
しかし匠子に対する脇坂の妄想から、預かった金を彼が出てくるまでに使い切ることにし、彼が出てきたときには自殺をすることにした。そしてその金はすべて女につぎ込むことにした。やくざの女、人妻、看護師、知恵遅れの娘と様々に遍歴をし、預かった金を使い切ったところで、服役していた小役人が死んだという情報を得た。死を逡巡しているところへ匠子が来てすべてを話してしまう。
妄想か現実か、一人の愛する女のために人生を台無しにした男の物語。
原作者が山田風太郎なので、もっとしっちゃかめっちゃかな話かと思っていたが、意外にまともだった。