1968年日活製作《BG ある19歳の日記 あげてよかった》はモノクロ、シネスコ。
これは1966年東宝製作でカラー、シネスコ。タイトルどおりに冒頭から若い着物姿の娘が大勢登場する。ある短大の卒業式シーン。オープニングタイトルクレジットも《マイ・フェア・レディ》の真似ッコの花々だが、お金のかけ方、予算の少なさが丸わかりのしょぼさ。
音楽に華やかさがまるでないし。
そして一番の弱点は石坂浩二が貧相!ヘアスタイルが変だし。もうちょっと逞しい人はいなかったんですか?
まだ25歳だもんね。《犬神家》がこの10年後。男も30過ぎないとダメなのかなぁ?
対する浜美枝23歳、クレージー映画や怪獣映画で見せた華やかさがココでは感じられない。なんかおばさんクサイ。
ここでも『女でも社会に出て職業を持つべきだ』と宣言して、まずやるのは「タイピスト」なのである。
『女が本気で仕事をしようたって、なかなか大変なんだから』というセリフも出てくる。
父親が上原謙、継母が加藤治子でかなり上流の生活。家のセットがあり得ないような上流階級感漂うもの。《あげてよかった》でも二谷英明邸は同じようにすごかった。凄い家、居間の家具や調度を見せるのも観客の高度成長志向を煽るのに必要だったのだろうか?
実母、美容院を経営する藤間紫が一番納得できるキャラクターで、浜美枝が藤間紫に髪を梳かしてもらうシーンがいい。実母と娘、継母との関係が出てくるあたりはいかにも石坂洋次郎原作っぽいが、ドロドログチャグチャにはならない品の良さ。
石坂浩二のアパートがすごいオンボロで部屋も汚いのだが生活感はない。建築を勉強してるようなのだが、部屋にル・コルビュジエのポスターが貼ってあるだけ。
浜美枝の部屋には《悲しみよこんにちは》のポスターが。
《若い娘がいっぱい》と謳ってる割にはきちんと「娘」が描かれていない。《あいつと私》の方が当時の風俗や若者世代の考えや行動を知るのに適している。
藤間紫と石坂浩二の同級生、坊主の息子役の井上紀明が印象に残っただけかな。
水上スキーシークエンスなんかまったくの無駄。
*石坂浩二が浜美枝に作ってやろうとする料理『スパゲッティ・イタリアン・ナポリタン・ミラネーゼ』なんだって。