その口紅が憎い

そのくちべにがにくい|----|----

その口紅が憎い

レビューの数

5

平均評点

65.6(8人)

観たひと

18

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1965
公開年月日 1965/5/16
上映時間 92分
製作会社 松竹大船
配給 松竹
レイティング
カラー シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督長谷和夫 
脚本橋本忍 
国弘威雄 
製作斎藤次男 
撮影長岡博之 
美術森田郷平 
音楽宮川泰 
録音鈴木正男 
照明小泉喜代司 
編集寺田昭光 
スチール金田正 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演内田良平 倉本良治
桑野みゆき 及川利恵
夏圭子 島野久子
小田草之助 伊東
山形勲 宮下
沢本忠雄 横溝
渡辺文雄 川西
園井啓介 八代
穂積隆信 花井
三島雅夫 毛利
中田耕二 森村
浜村純 落合
永井秀明 株式部長
水島真哉 タクシー運転手
松本克平 バーテン

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「仇討」の橋本忍と「幕末残酷物語」の国弘威雄が共同でシナリオを執筆、新人長谷和夫が監督した風俗もの。撮影は「大根と人参」の長岡博之。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

三流業界紙社長倉本はふとしたことから羽田空港を舞台としたニセドル事件に興味を持った。航空会社のソリスターである及川利恵の、賭けごとに妖やしいまでに熱中する姿を見た倉本は、ニセドル事件に関係あると直感して、利恵に近づいていった。一方警視庁第三課部長刑事宮下や横溝刑事もヤミドル事件を追及中であった。利恵に接近した倉本は、彼女から二十ドルのニセ札を手に入れ、利恵の背後関係を追及していた。そんな倉本の背後に、殺し屋八代の銃口が光っていた。倉本を愛する彼の社員久子の心配をよそに倉本は利恵に組織について激しく詰問した。やがて二人は、激しく愛しあうようになった。その頃利恵は大きな野望を抱いていた。組織のボスを裏切って、ある商事会社を手玉にとり、三十万ドルのニセドルを、一億二千万の邦貨にして、倉本とブラジルに脱出しようとする企みであった。野望は運よくはこび、実行に移された。だが倉本は、利恵とは反対に深く悩んでいる様子であった。やがて二人は旅客機に乗りこんだが、倉本は飛行機を降りて警視庁に通報した。その頃利恵は八代の拳銃で傷ついていた。倉本の変心には悲しい理由があった。倉本はかつて名バイオリニストと期待されフランスに旅立った妹がいた。その妹が、ヤミドル騒ぎにまきこまれ、ついに自殺をしたのだ。以来倉本の心に執拗にヤミドル事件はまといついていたのだった。一人スタンドにかけて、グラスをかたむける倉本の脳裏を、利恵の面影が通りすぎた。カウンターの上に利恵の好きなビラヴエド・リップが静かに置かれていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1965年6月上旬号

日本映画紹介:その口紅が憎い

1965年5月下旬号

新作グラビア:その口紅が憎い

1959年9月増刊 名作シナリオ集

特別グラビア:その口紅が憎い

「名作シナリオ集」東映東京作品:その口紅が憎い

2019/01/27

2019/01/28

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『その口紅が憎い』。偽ドルに絡むお話。経済週報新聞社社長(内田良平)が事件に首を突っ込む。空港の花屋前で桑野みゆきと園井啓介が何やら会話してたのは何の相談だったんだろうか。電話で指示する謎の男、声を聞くとアイツだと分かってしまう。桑野みゆきのオープンカーの車窓シーンは合成みたい。

2019/01/26

2019/01/26

60点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


松竹カラーの功罪

羽田空港を幕開けにして、外貨持ち出し制限を逃れようと暗躍する贋ドル闇ドルを扱うグループの蔓延を巡って、アカ新聞と目される新聞社の社長・内田良平が身体を張って取材にのめり込みます。
しかし、その動機が、社会正義の為でもなく、金目当てでもなく、ストーリーがかなり強引ぽいのが気になるところです。
一方で、桑野みゆきと園井啓介が名前を連ねると松竹大船メロドラマかと思いましたが、桑野みゆきはファムファタルとしては上品すぎて迫力不足で、園井啓介に至っては、メロドラマでは通用する煮えきらないキャラが、悪人グループの一員としてはありえず、完全にミスキャストとしか思えません。
キャスティングの難しさを教えてくれる作品でした。

2018/11/16

2018/11/16

65点

映画館/大阪府/シネヌーヴォ 


業界ゴロ、偽ドルを追う。

ネタバレ

<生誕百年 追悼 橋本忍映画祭>での上映作品。

内田良平が業界の新聞社社長に扮して、偽のドル札事件を追う物語。なぜ彼が事件を追うのか、事件の鍵を握る女に迫るためなのか、分け前に与るためなのか動機を明かさないが、事件の終息後に刑事の口から明かされる。

ラストでスッキリするものの空港での彼の焦燥ぶりが今ひとつ伝わらない点がクライマックスとしては弱い。山形勲扮する刑事の説明も、説明とは言え、説明的過ぎ。

青酸カリにしては効くまでに間がある理由も最後に分かる。薬物を入れるための飲み物を運んでくるホテルのボーイは若き藤岡弘だ。

タイトルは、カクテルの名前に由来する。その口紅憎しと女事務員が嫉妬で何かするかとも思ったが、それはミスリード。また、桑野みゆきが気に入っていて何度も聴くのは、同じく宮川泰による「真っ赤なスカーフ」にも通じるところのある哀調のある曲。

2016/11/28

2016/12/06

45点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


名手橋本忍脚本にしては粗い

ラピュタ阿佐ヶ谷の東京ロケ映画特集「その口紅が憎い」は、脚本を橋本忍が書いている(国弘威雄と共同)ので観たいと思った映画ですが、偽ドル札を巡る話ながら、ドルの日本からの持ち出しが制限されていた時代背景が今からすると理解し辛いし、主人公の内田良平がなぜ危険を冒してまでして、桑野みゆき扮する怪しげな女に接近するのか(いくら彼女が魅力的に美しいと言っても、危険過ぎることは明白です)、偽ドル問題に関与を深め、ついには桑野の上司である渡辺文雄の殺人にまで加担しようとするのか(結局、渡辺に盛られたと思われた毒薬は、致死的なものではなかったとはいえ)、そういった事情の一切をラストに明かすという作劇が、有機的に機能しているとは思えず、乗れない映画でした。橋本忍ともあろう脚本家が、このように構成的に欠陥のある脚本を書くとも思えず、監督が相当手直ししようとして、失敗したのではないかと想像します。
「その口紅が憎い」は、タイトルの元になっているのは何やら聞いた事のないカクテルの名前で(“ビラヴド・リップス”とか何とかいう名前です)、そのカクテルの名前と、ヒロイン桑野みゆきの唇と口紅がいつもお似合いでフィットしているという設定が、“口紅が憎い”というタイトルに繋がっているのですが、そもそもモノクロの映画で、唇と口紅の色を話題にされても困ります。観ている者は実感できないのですから。
この映画では、主人公内田良平が自宅アパートで聴くヴァイオリン協奏曲と、ヒロイン桑野みゆきがホテルのバーでジュークボックスに注文する曲(宮川泰がこの映画用に書き下ろした曲)が、何度も繰り返されますが、後者は後に宮川が書く名曲「約束」とは違って単調過ぎ、監督が狙うほどの効果を挙げていません。

2006/06/20

2015/08/15

68点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


ミステリーになり損ねた

ヘンな映画である。偽ドルの話だが、内田、桑野、夏の内面の変化が主軸のメロドラマで、ミステリーになり損ねた。これは橋本と国弘の感性が水と油だったためではないか。これはこれで、面白い化学変化ではあったが。