車夫遊侠伝 喧嘩辰

しゃふゆうきょうでんけんかたつ|----|----

車夫遊侠伝 喧嘩辰

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レビューの数

12

平均評点

76.2(59人)

観たひと

93

観たいひと

7

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1964
公開年月日 1964/4/5
上映時間 99分
製作会社 東映京都
配給 東映
レイティング
カラー シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督加藤泰 
脚色加藤泰 
鈴木則文 
原作紙屋五平 
企画坂巻辰男 
日下部五朗 
撮影川崎新太郎 
美術井川徳道 
音楽高橋半 
録音中山茂二 
編集宮本信太郎 
スチール杉本昭三 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演内田良平 中井辰五郎
桜町弘子 喜美奴
河原崎長一郎 栗原銀二郎
吉川満子 栗原梅乃
曽我廼家明蝶 西川弥三郎
千原しのぶ 西川おとく
藤純子 玉竜
曽根晴美 六発の政
那須伸太朗 おんびきの巳之
汐路章 ダイナマイトの鉄
北島三郎 パッチの正ぼん
徳大寺伸 横光忠次郎
近衛十四郎 光川弥太郎
大木実 矢島竜雲
横山アウト オケラの吉蔵

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

紙屋五平の原作を「残月大川流し」の加藤泰と鈴木則文が共同で脚色、「風の武士」の加藤泰が監督した仁侠もの。撮影は「人斬り笠」の川崎新太郎。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

明治も末期の頃。車屋の辰五郎は東京で事件を起し、新盛り場大阪へと流れて来た。大阪駅前は西村組が取り仕切る縄張りだが、一匹狼の辰五郎はその縄張りを歯牙にもかけず、持前の気ッ風とゴム輪の人力車で人気を呼び、車辰として異名をたかめていた。そんな折も折、西村組の親分弥三郎が思いをかける芸妓喜美奴が辰五郎の車にのった。お互い鼻ッ柱の強い二人のこと、一寸した言葉の行き違いから辰五郎は、喜美奴を川の中へ放りこんでしまった。赤い蹴出し散らつかせながら落ちて行く喜美奴を見た瞬間、辰五郎は彼女に惚れこんでしまった。日頃の恨みもあって、西村組は辰五郎を弥三郎の前に連れていった。このオトシマエはと詰寄る西村組の前で、辰五郎は喜美奴に惚れた事を話し、自分の身柄は西村組でどう処分しても構わないと度胸をみせるのだった。弥三郎はそんな辰五郎に一目惚れ、二人の仲人をかって出た。しかし、弥三郎が喜美奴に惚れていると知った辰五郎は、彼女との結婚を断ってしまった。辰五郎の心意気を知った弥三郎は、喜美奴の妹分、玉竜を囲うと言いだし、二人の結婚を迫った。だが、辰五郎の弟分を任ずる銀二郎と玉竜はできた仲だ。何も知らない辰五郎と喜美奴は結婚する事になった。その最中弥三郎は警察にあげられた。弥三郎の義兄半田弥太郎との柔術試合に敗れた矢島に禁制のダイナマイト漁を密告されたのだ。矢島は弥三郎の留守を狙って縄張を拡げていった。辰五郎は弥三郎の女房おとくを盛り立てて、必死の防戦を続けた。そんな頃に弥三郎が出所して来た。それを知った矢島は、弥三郎の暗殺を計った。だが、襲撃は矢敗に終わり、弥三郎の身代りとなって銀二郎が死んだ。泣き濡れる玉竜と喜美奴の姿を背に、辰五郎は矢島との決闘の場へ出かけて行くのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1964年4月下旬号

日本映画紹介:車夫遊侠伝 喧嘩辰

2023/06/25

2023/06/25

75点

レンタル/大阪府/TSUTAYA 


傑作

スピーディーな話運び、ローアングルのカメラ、男と女のたっぷりとした情感。加藤泰監督の傑作。ラストの橋の上のシーンはモノクロ画面ならでは。

2019/11/23

2019/11/24

75点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


橋の上の祝言

 スピーディな展開に付いて行くのには一苦労したが、主役の内田良平がとても良かった。無茶苦茶で喧嘩っ早い、乱暴ではあるが純情な辰五郎は、中村錦之助がやっていた一心太助を思わせる。
 物語はもっぱら喜美奴・桜町弘子とのラブ・ストーリーを中心に進んでいく…かと思いきや、そこに若き柔術の達人・曾我廼家明蝶がヤクザの親分へとのし上がり、辰五郎たちと対決するという別のエピソードを挟んで行く。ここに意外性があった。曾我廼家の妹である上品な女学生は東映の「お姫様女優」として有名な千原しのぶ。まさに適役。
 辰五郎と喜美奴はラスト、ようやく祝言をやることができたが、新郎新婦はすぐに離れ離れになってしまう。濃霧の中、橋の上での祝言は何処か幻想的で、哀感漂う名場面。しかしそこに別れの悲しみや絶望はなく、むしろ希望に近いもの、何時までも何時までも待っているという、新妻の芯の強さ、気丈さを感じさせる。

2016/12/31

2016/12/31

70点

テレビ/有料放送/WOWOW 


親分と子分四天王が見つめ合う間をグルグルと回るカメラ。
強い雨が降る。

2016/10/09

2016/10/10

100点

映画館/大阪府/シネヌーヴォ 


ブチュー

山根貞男さんの解説付き。藤純子の映画初キッス作品だそうです。
ただのキッスではないブチューだよ。

2016/08/24

2016/10/07

95点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


個人的なナンバーワン加藤泰映画

フィルムセンターの加藤泰生誕100年記念特集、30本目。加藤泰映画と言えば「喧嘩辰」。何度観ても大笑いし、胸躍り、心締め付けられ、背筋に何度も戦慄が走り抜ける、個人的なナンバーワン映画です。
加藤泰映画と言えば橋。「お竜参上」における雪の今戸橋での蜜柑の転がりの例を出すまでもなく、ほぼ全ての映画で橋が効果的に使われていますが、中でも「喧嘩辰」は、内田良平が桜町弘子を川に投げ込む橋を始めとして、ラスト、三度目の正直で二人だけの祝言を挙げる霧の中の橋まで、橋の上で情念がぶつかりあう、まさに橋の映画「喧嘩辰」です。
加藤泰映画と言えば若い恋への応援歌。「炎のごとく」での国広富之と豊田充里の恋を、文太ら大人たちが挙って応援する話や、「お竜参上」での長谷川昭男と山岸映子へのシンパシーなどと同じように、「喧嘩辰」では内田の弟分・河原崎長一郎と桜町の妹分・藤純子の恋を成就させようと、内田らが尽力するのですが、その先に悲劇が待っており、映画全体が哀しき情感を盛り上げます。

2016/09/27

2016/10/02

70点

テレビ/有料放送/WOWOW 


ゆるりとした任侠映画

加藤泰1964年の作品。1964年には加藤泰は「風の武士」「車夫遊侠伝喧嘩辰」「幕末残酷物語」と三本の映画を撮っている。1965年には「明治侠客伝三代目襲名」、1966年には「沓掛時次郎遊侠一匹」という傑作を撮っており、脂が乗っていた時だと言える。
主演は内田良平。曲がったことが嫌いで、喧嘩っ早い車夫が、やくざの親方(曾我廼家明蝶)に男惚れして、喧嘩に命を張る。親分がダイナマイト漁をした咎で、刑務所に入る時に、刑務所前で演説するなど、ゆったりとした任侠もので、敵役の大木実ものちの任侠映画ほどはあくどくない。
藤純子がまだぽっちゃりした可愛らしい姿で登場する。
また、加藤泰お得意の穴を掘ったところから撮影したと思しいローアングル撮影も嬉しい。