最初に映し出される大阪の街の様子は、今と違って活気があふれている。大きく動きつつある時代の空気を感じさせる映画だ。自分たちは立派な企業家だとうそぶく騙し屋4人組の活躍を表面に置きながら、沖縄は米軍占領下におかれ、傷痍軍人が見捨てられていくなかで、経済成長へと突進し、自衛隊が強化されていく時代の姿をあざやかに切り取ってみせる、実に知的な喜劇だ。そのしたたかな4人組が「胡瓜」の自衛隊入隊にコロリと騙されて餞別をつつみ、万歳三唱で見送ってしまうというラストも皮肉。国民を騙して税金をまきあげたり戦争にひきこんだりする、最大の詐欺師である国家を笑いのオブラートにくるんで示してみせる。伊藤雄之助が、ほんとにうさん臭くて上手いなあ。