『脱走大作戦』と同じく第2次世界大戦を背景に、権力に屈することなく飄々と生きるユニークな人物の姿を、ユーモアたっぷりに、ゆる~い笑いで描いた作品です。一見のんきで頼りない主人公ですが、戦時下においても権力を行使することもそれに屈服することもない、一つの理想が描かれているような気もしました。
南太平洋のニューギニア近くの海を、白い船を走らせる海の風来坊エックランド(ケーリー・グラント)。舳先にはペリカンが一羽。ラジオからはニューギニア戦線の日本軍の勢力が伝えられている。エックランドはラジオのチャンネルを音楽番組に切り替える。と、アコーディオン伴奏の陽気でのんきな歌が流れ始めた。あたりでは爆弾の音が鳴り響き、まるで音楽のリズム・パートのよう(笑)(ケーリー・グラントも合わせて歌を口ずさみご機嫌です!)
ここまでがタイトルバック
船を寄せた港で、連合軍の燃料や食糧をくすねていたエックランドは、ホートン中佐(トレヴァー・ハワード)にもうまく丸めこまれて(このあたりのやりとりが最高です!)、南太平洋の小島で敵機の監視員をさせられることになる…。
エックランドが救助に向かわされた離れ島では、そこの監視員はすでに殺され、キャサリン(レスリー・キャロン)というフランス領事の娘と、領事館学校に通う7人の少女たちが、疎開の途中に置き去りにされていた。
酒好きで無精ひげの自由な精神の持ち主、風来坊のエックランドは、女子どもの世話など真っ平ゴメンこうむりたい(笑)。無線でホートン中佐に早急に迎えにくるよう連絡するが、戦況がそれを許さない。初めはギクシャクしていたエックランドとキャサリンと子供たちだったが、だんだん心を許すようになり…
この作品の本当の面白さは、ストーリーを書くだけでは伝わらないところにあって…。どの場面も、セリフのやりとりの面白さや、絶妙の「間合い」、それにユーモアたっぷりの音楽使いが作りだす、何とも言えない面白い雰囲気に満ちています!
三枚目役のケーリー・グラントがいい味を出していて、レスリー・キャロン(「巴里のアメリカ人」の)は相変わらず綺麗。ホートン中佐役のトレヴァー・ハワードとグラントの掛け合いが面白いです
1964年のアカデミー賞では、原作者S・H・バーネット、脚本フランク・ターロフ&ピーター・ストーンが、アカデミー脚本賞を受賞しました
同じ脚本家コンビの『脱走大作戦』(ポール・ニューマン主演)とともに、とても好きな作品です
ぜひご覧ください