ぐれん隊純情派

ぐれんたいじゅんじょうは|----|----

ぐれん隊純情派

レビューの数

9

平均評点

72.1(26人)

観たひと

42

観たいひと

8

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1963
公開年月日 1963/7/27
上映時間 93分
製作会社 大映東京
配給 大映
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督増村保造 
脚色増村保造 
小滝光郎 
原作藤原審爾 
企画藤井浩明 
撮影小林節雄 
美術下河原友雄 
音楽池野成 
録音飛田喜美雄 
照明山崎幸一 
編集福田民雄 
スチル大葉博一 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演本郷功次郎 中村銀之助
藤巻潤 
千波丈太郎 
大辻伺郎 染公
当銀長次郎 十一郎
大川修 重夫
中村是好 福太郎
中村鴈治郎 雁右衛門
三条江梨子 雅子
弓恵子 加代
浜田ゆう子 京子
宮川和子 妙子
三木裕子 時子
須藤恒子 お信
ミヤコ蝶々 お梅
伊東光一 山下市之進
星ひかる 篠原院長
高村栄一 大森
杉田康 菊一
春本富士夫 稲村
花布辰男 警察署長
穂高のり子 蘭子
町田博子 お徳
小原利之 興行師
三角八郎 兼松一夫
此木透 海老原
北城寿太郎 権田
谷謙一 木島
伊達正 右門之丞
大山健二 大田
夏木章 東西芸能社社長
佐々木正時 備前屋の主人
南方伸夫 日本興業社長
橋本力 権田組幹部A
隅田一男 権田組幹部B
槙俊夫 権田組幹部C
工藤堅太郎 権田組若い者A
一ノ瀬賢 権田組若い者B
中原健 権田組若い者C
森一夫 権田組若い者D
後藤武彦 権田組若い者E
井上大吾 権田組若い者F
真塩洋一 権田組若い者G
長谷川峯子 掃除中の女の子
飛田喜佐夫 写真屋
網中一郎 客A
佐藤八郎 客B
原田玄 客C
篠崎一豊 客D
響令子 木賃宿の女中
守田学 刑事
松村若代 土地の女A
竹里光子 土地の女B
池上多加子 料亭の女中
三島愛子 宿屋の女中
山中雄司 青年A
仲村隆 青年B
藤山浩二 青年C
小山内淳 新聞記者
早川雄三 週間誌記者
中条静夫 プロデューサー
河原侃二 町長

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

藤原審爾の同名の原作を増村監督、「温泉あんま」の小滝光郎が脚色、「嘘(1963)」の増村保造が監督した社会劇。撮影は「赤い水」の小林節雄。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

食いつめやくざのチンピラ銀之助、松、豊たちは、旅役者の銀三郎の父・中村妻三郎が死んだことを知り、渡りに船と一座に乗り込んだ。銀之助を座長に生まれ変った中村座は、元歌舞伎役者の雁右衛門をかつぎ出し、都営住宅の一室で勢揃いした。稽古を続けるうち松、豊も最初の金もうけの企みはどへこやら、今は芝居一途に真剣に取り組み、雁右衛門も死場所中村座と決めた。スタートは順調に進み炭坑町、温泉町でも中村座の評判は上々、明るい空気が楽屋中にみなぎった。だが、一座の好評を流れきいた興行師の大ボス、大森の中入れを銀之助がすげなく断わったことから、悪らつな妨害を受けるようになった。しょげきった一座も豊が工面してきた金で生気を取戻し、上州のある町にやって来た。その夜、病気で倒れた爺やを見舞った銀之助は病院長の一人娘雅子に一目惚れ。一方、土地でいい顔のお梅ばあさんが大森にしめだされた一座に同情、その骨折りで開幕することが出来た。ところが、町のボスで病院の顧問弁護士山下が暗躍し、このため興行は難航、二人の仲はさかれる破目となった。一座は堅く結束して町のボスと闘い、山下の行状と銀之助・雅子の純愛を取り入れた「上州夜話」を上演した。この熱演の反響は町の青年たちの強い支援を受け、町の世論は沸き立った。結果は雅子の父の心を動かし、警察署長の協力もあって、銀之助は父妻三郎に劣らぬ座長にまでのし上り、雅子ともめでたく結ばれることになった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1963年9月下旬号

日本映画批評:ぐれん隊純情派

1963年8月上旬号

特別グラビア:「ぐれん隊純情派」の増村組

新作グラビア:ぐれん隊純情派

日本映画紹介:ぐれん隊純情派

2023/04/13

50点

選択しない 


タイトルからは意表を突く展開の旅芸人の奮闘記

 藤原審爾の同名小説が原作。
 組長を逮捕されて行き場をなくしたチンピラの松(藤巻潤)が、対立する組長に復讐をする…話かと思いきや、旅回りの一座を率いていた父を亡くした弟分の銀之助(本郷功次郎)をけしかけて座長を継がせ、自らも役者に転身を図るという意表を突く展開となり、元歌舞伎役者の雁右衛門(二代目中村鴈治郎)の指導の下、一途に稽古に励み、東京から締め出されて潮来のドサ周りからスタート。
 これが評判を呼び、興行師の大森からさらなる嫌がらせを受けてもへこたれず、上州の興行主・お梅(ミヤコ蝶々)に助けられる。
 ところが銀之助が町の有力者の一人娘・雅子(三条魔子)とできてしまい、県議の罠に嵌められて仲を裂かれる。そこで、この経緯を芝居にして上演。スキャンダルとなって手打ち式となり、二人は結ばれるというハッピーエンド。
 途中、中村座を巡るトラブルや人情噺を織り交ぜ、一難去ってまた一難と転がるように話が展開するので、飽きずに安心して増村保造の職人芸を楽しめる。
 藤巻潤の人の良いチンピラぶりがはまり役。一方の本郷功次郎がマジメ純情派で、チンピラに見えないのが若干喰い足りない。
 芸達者の二代目中村鴈治郎とミヤコ蝶々が脇を固め、古き良き時代のプログラム・ピクチャーを偲ばせる。
 役に立たなそうに見えても、芝居は見る者の肥やしになるというのが結論だが、演劇に意味を持たせ過ぎてちょっと照れる。

2022/10/27

2022/10/27

70点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


題名では想像できない

空っけつの三下ヤクザ松(藤巻潤)と豊(千波丈太郎)はもうけ口を探していた。弟分の中村銀之助(本郷功次郎)のところへ親父が死んだから芝居の一座を継いで欲しいと使いが来る。衣装道具などは50万円の価値があるという。そこで松と豊はそれらを売り飛ばせば金になると銀之助に後を継ぐように勧める。
しかし行ってみると古参の役者と継母ができていて劇団をおん出て行ってしまう。
松と豊は自分たちが役者になると行って仲間を集めて来、雁右衛門(中村鴈治郎)という元歌舞伎役者の指導でどうにか様になってくるが、興行主が難色を示し、千葉の方の小屋でドサ回りを始める。
人気は上昇するが、興行主の元締めに逆らったことからまたもやうまくいかなくなる。ある町の小屋主(ミヤコ蝶々)好意で芝居を打つことができた。そこで銀之助が地元の医者の娘に恋をしたことからまたもや一騒動起きる。
細かい話は省略して、まずど素人のチンピラたちが、いかに歌舞伎役者の指導を受けたからと言って急にうまくなるわけがない。こんなに成功できるのは物語上だけという自己了解が必要。チンピラたちの意気は認めよう。
医者の娘との恋路を邪魔された仇は舞台の上でというストーリーもよい。今なら名誉毀損で訴えられそうなきわどい内容。
若手俳優たちの顔見世映画であるが、まずまず楽しい。中でも鴈治郎と蝶々は存在感がある。

2022/10/23

2022/10/23

75点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


間然するところのない名作

最初から最後まで一気に集中力が全く途切れることなく見られたのは、非常に良く出来ている作品だからであろう。
増村保造の作品は、その日本映画の中では異端ともいえるテイストに一時期ハマっていて、日本映画専門チャンネルなどでよく見ていたが、今回、久しぶりに増村作品を見てみるとやはり面白い。
画面の構図が考え抜かれてしっかりしているのと、空間構成が緻密で、室内の間取りなどが必ずよくわかるように撮られていることには感心する。
増村作品の中では、軽い内容の方なので、代表作の一つというわけではなく、あまり知られていない作品だとおもうが、軽快なテンポの演出と、役者たちの演技、撮影も音楽もよく、十分に楽しめる小品である。
日本映画専門チャンネルは、マニアックな企画が多かった一時期に比べると随分と残念なほど通俗化しているが、蔵出し名画座などでたまにこういういいものをやってくれるのは、やはりありがたい。

2022/10/16

2022/10/16

77点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


役者は芝居で勝負する

 東京の愚連隊が田舎町の旅役者となり奮闘する話。金の工面に困り果て、ヤクザのボスを刺殺するまでは正直退屈するストーリーなのだが、一座の若き座長・本郷功次郎と町病院の院長の一人娘の悲恋から、一気に面白くなって行く。
 この恋愛を芝居にしてはどうかという女性陣の何気ない一言から出来た芝居「上州悲話」はとても見応えがあり、作中に込められた権力批判には説得力がある。映画の中で、芝居が持つ、世の中を変えてしまうような大きな力を我々は再認識させられることとなる。芝居は大受けし、町だけでなく、世論をも動かして行く。本郷の純愛もめでたく成就し、彼自身も一人の男として、役者として大きく成長して行くのであった。アクが強くて毒のある女性映画も良いけれど、増村にはもっとこういう男性映画も作って欲しかった。

2021/10/15

2021/10/16

85点

映画館/東京都/神保町シアター 


増村保造監督の傑作痛快劇

神保町シアターの藤原審爾特集の1本。案内チラシの「鴈治郎や蝶々、中村是好ら脇を固めるベテラン陣も好助演」に惹かれて観たが、超傑作。増村監督の“隠れた名作”だと思う。旅芸人一座の二代目中村銀之助(本郷功次郎)は、愚連隊になっていたが、親の死を契機に兄貴分の藤巻潤に薦められて一座を引き継ぐことに。しかし、一座の役者が銀之助の二代目を嫌っていなくなり、藤巻やその子分千波丈太郎が、愚連隊を辞めて役者になることを決意。藤巻は自分の彼女や、周囲にいるパンパンやはみ出し者をスカウトして頭数を揃える。この辺りは「七人の侍」風。素人を役者にするために、今は落ちぶれた歌舞伎役者中村鴈治郎(さすがの好演で唸ってしまった)を指導役に迎え、素人が一応役者に。興行師からマネジャー中村是好が劇場出演を断られるが、元パンパン女性が「故郷の潮来なら、処女を捧げた幼馴染が劇場主をしているから、その小屋に行こう」と言って、劇団は無事に旗揚げし、芝居は大評判となる。この旗揚げ芝居を次から次と見せるテンポの良さは、さすが増村監督、実に見事。その後、興行師との喧嘩から公演が妨害されるが、群馬の小屋主ミヤコ蝶々の登場で、劇団は公演可能に。しかし、人気カップルの引き抜き、千波丈太郎の傷害事件、中村是好の入院などピンチが続き、そこに本郷が地元の旧家の病院長の娘と恋仲になり、事態は村全体を巻き込む大事件に発展していく。笑えるシーンも多く、93分ぎっしりと中味が詰まった痛快劇だった。【生誕100年記念-映画に愛された小説家 藤原審爾の世界】

2021/10/15

2021/10/15

77点

映画館/東京都/神保町シアター 


旅芸人の物語

増村監督の作品の劇場鑑賞ということで楽しみに見に行きました。てっきりヤクザ系の映画かと思っていたのですが、確かに冒頭はヤクザたちが出てきましたが、あとは旅芸人になった元愚連隊の物語です。小津監督や成瀬監督などの昔の旅芸人ものを思い出します。それとか、伊豆踊り子とか…。伊豆の踊子は身分格差は乗り越えられないのですが、この作品は乗り越えてしまいました…。全体的には、それほどインパクトが強いキレのいい感じではなく、まったりとストーリーを見せてくれるタイプでした。

中村鴈治郎が素晴らしいと思いました。往年の役者という雰囲気がありました。ミヤコ蝶々も良かったです。劇団の女の人たちは、みんな同じような雰囲気に見えてしまいました(笑)。一応ヒロインと思われる院長の娘も、それほど目立っているわけでは無いですね。三条魔子といえば、新東宝のイメージです。出し物は、ずっと剣劇風のお芝居でしたが、最後は現代劇。これは笑いましたが、モロに実名を出して演技しているところや、示し合わせたような観客の合いの手が面白かったのでした。

増村監督の穏やかなコメディタッチの作品で、ちょっと珍しいのではと思いました。力強い作品ではあるのですが、女性が主役では無いので、いつものような女の情念はありません。そうそう思い出した。あのマネージャーのように働いている中村是好も素晴らしかったです。旅芸人の活躍した時代性もあるかもしれないのですが、どうやら男中心の劇団なのですね。巨匠が力が抜けて作った芸道ものという感じで、楽しめました。